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マニフェスト(積荷目録)とは 海上輸送で重要な役割を果たすマニフェストの特徴を詳しく解説

マニフェスト(積荷目録)は、危険物の輸入防止のために使用される書類です。

輸入地の税関で、マニフェストに記載されている本船の積荷明細を確認することで、危険物の流入を防いでいるのです。

マニフェストは、国の安全保障に関わる重要な書類のため、記載ミスは通関トラブルにつながります。

日々の貿易業務で使用する船荷証券(B/L)の内容が、マニフェストに反映されるため、ミスのない書類作成を行うことが必要です。

本記事では、マニフェストの特徴、役割、記載内容と種類、発行と発行後の流れ、注意点、マニフェスト訂正の流れについて詳しく解説をしていきます。

マニフェスト(積荷目録)とは?

マニフェスト(積荷目録)とは、船に積まれている貨物の明細書のことです。

マニフェストは、船荷証券(B/L)に記載されている貨物情報に基づいて、輸出地の船会社が発行をしています。

マニフェストには下記の内容が記載されています。

  • 船名
  • 積地
  • 揚地
  • B/L番号
  • 数量
  • 荷姿
  • 重量
  • 容積

LCL(混載便)の場合には、コンテナに積まれている小口貨物の明細がマニフェストに記載されます。

マニフェストの役割、記載内容、種類について詳しく見ていきましょう。

マニフェストの役割

マニフェストの役割は、貨物の明細を、輸入地の税関に事前に伝えることです。

マニフェストが導入された背景には、2001年にアメリカで発生した同時多発テロをきっかけにして、テロ防止を目的にした「船積24時間前のマニフェスト提出ルール」が世界的に義務付けられたことがあります。

「船積24時間前のマニフェスト提出ルール」とは、本船に貨物が積まれる、または、本船が出港する24時間前までに、マニフェストを輸入地の税関に提出することを定めたルールのことです。

輸入地の税関でマニフェストの事前確認を行なうことで、危険な貨物が入ってこないようにしています。

マニフェストの記載内容

マニフェストには「本船についての情報」と「貨物についての情報」が記載されています。

本船についての情報

  • 本船名
  • 船籍(本船の国籍)

貨物についての情報

  • コンテナの種類
  • コンテナ番号
  • コンテナのシール番号
  • シッピングマーク
  • 品名
  • 梱包形態
  • 貨物の数量
  • 総重量
  • 容積
  • 仕出地
  • 仕向地
  • 荷送人
  • 荷受人

マニフェストの種類

マニフェストの種類について見ていきましょう。

  • 貨物マニフェスト

貨物についての情報が記載されています。運賃は記載されていません。

  • 運賃マニフェスト

運賃、貨物料金、貨物明細を一覧表示しています。マニフェストに記載された料金の総額は、

荷受人、または、荷送人に請求されます。

  • 危険貨物マニフェスト

船に積まれている危険品の明細が記載されたマニフェストです。危険品のクラス、明細、国連番号などが記載されています。

  • ゲージ外マニフェスト

サイズが大きいため、船内のゲージ外に積まれている貨物の詳細が記載されています。

  • リーファーマニフェスト

冷凍貨物の明細を記載したマニフェストのことです。湿度設定や、船内監視などの、特別な手配が必要な冷蔵コンテナが船に積まれている時に使用されます。

マニフェスト発行と発行後の流れ

マニフェスト発行から、輸入地の税関で検査されるまでの基本的な流れは下記の通りです。

  1. 輸出地の船会社で、本船に積まれる貨物に対して発行された船荷証券(B/L)を基に、マニフェストを作成する。
  2. 輸出地の船会社から、輸入地にある代理店に、マニフェストが送付される。
  3. 輸入地の代理店から、現地の税関にマニフェストが提出される。

例外的に、輸出地の船会社から、輸入地の税関に、マニフェストが直接送られる場合もあります。

また、仕向地によって、マニフェストについての決まりが異なる場合があるので、事前に確認することが必要です。

マニフェストの注意点

マニフェストの注意点は主に2つあります。

  • 船荷証券(B/L)の記載内容の間違いが、マニフェストにも反映されてしまう
  • マニフェスト訂正には時間とコストがかかる

それぞれについて解説をいたします。

船荷証券(B/L)の記載内容ミスはマニフェストにも反映される

マニフェストの注意点は、船荷証券(B/L)の記載内容に誤りがあると、マニフェストにもその誤りが反映されてしまうことです。

輸入された貨物の内容が、マニフェストの記載内容と異なっていると、輸入地の税関からの確認が入り、輸入通関の遅れにつながります。

輸入地でのトラブルを防ぐためにも、船荷証券(B/L)の内容に間違いがないかを、よく確認することが重要です。

船荷証券(B/L)に限らず、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書の内容が、マニフェストと一致しているかも必ずチェックしましょう。

マニフェストの訂正には時間と費用がかかる

マニフェストの訂正を船会社に依頼しても、すぐには対応してもらえない場合があります。

マニフェスト・ロックという、マニフェスト発行後から一定時間、または、本船出港後から72時間経過後に、マニフェストの内容を変更できないようにする仕組みがあるからです。

輸入地の代理店が、マニフェストの情報を取り込んだ段階で、マニフェスト・ロックがかかります。

ロックがかかった後は、輸入地の代理店の許可を得ない限り、マニフェストの変更を行なえません。

マニフェスト訂正をするには、まず、輸入地の代理店の許可を得てから修正を行なうことになるため、時間がかかるのです。

また、船荷証券(B/L)と、マニフェスト訂正には追加費用が発生します。

費用は船会社によって異なり、輸出者と輸入者双方に請求される場合があります。

輸入者にとっては、思わぬ追加費用になるため、トラブルの原因となるのです。

輸入者とのトラブルを避けるためにも、船荷証券(B/L)とマニフェストの訂正がもし必要になった場合は、訂正にかかる追加費用の金額と請求先を事前に船会社と確認するようにしましょう。

輸送距離が短い国の間での輸出入の場合、船荷証券(B/L)とマニフェスト訂正をしている間に、船が輸入地に到着してしまい、通関手続きの遅れや、保管料の発生につながることがあります。

マニフェスト訂正の流れ

マニフェスト訂正の流れについて見ていきましょう。

  • 海上運賃以外が原因による訂正
  • 海外運賃についての訂正

海上運賃以外のマニフェスト訂正

マニフェストに記載されている、貨物の数量や、貨物についての説明を訂正する場合の流れは下記になります。

  1. 船会社に船荷証券(B/L)を訂正してもらう
  2. 船会社に、船荷証券(B/L)の訂正内容を、マニフェストに反映してもらう
  3. 輸出地の船会社でマニフェストのデータ内容を訂正し、輸入地の代理店に訂正したデータを送る
  4. 輸入地の代理店が、修正したマニフェストを現地の税関と港湾当局に提出する

海上運賃に関するマニフェスト訂正

マニフェスト・ロックがかかった後に、海上運賃を輸出者支払い(Freight Prepaid)、または、輸入者払い(Freight Collect)から変更する場合は、船会社にマネタリーコレクション(MONETARY CORRECTION)を発行してもらう必要があります。

また、海上運賃を輸入者払い(Freight Collect)に変更する場合は、貨物が輸入者に引き渡される前に行いわないと、未払いのリスクにつながるため注意が必要です。

まとめ

マニフェストは、国の安全を守るための重要な書類です。

普段の業務で扱う船荷証券(B/L)との関連性を理解することで、厳密な書類チェックが必要であることがより理解できるようになります。

書類にミスがあると、訂正に時間とコストがかかるだけでなく、輸入者と、輸入地の税関との信頼関係にも影響します。

船荷証券(B/L)と、船積書類は慎重にチェックするようにしましょう。

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