貨物を海上輸送にて輸出する際には「カット日」と言われる「締切日」がとても重要です。
「カット日」を少しでも過ぎてしまうと該当便での輸送ができなくなってしまうので、確実に守らなければならないものです。
本記事では「カット日とは何か?」「カット日の注意点」など説明します。
目次
1.カット日とは?
「カット日」とは海上輸送における「締切日」を指し、「貨物」と「書類」に関するものがあります。
カット日を過ぎると、船に貨物を積み込めなくなり、貨物輸送に大きな遅れが生じる原因となるでしょう。
そのため、カット日を事前に把握して、逆算して準備を行う必要があります。
「カット日」には「CY CUT」「CFS CUT」「DOC CUT」「DG CUT」の4種類あります。
以下でそれぞれ見ていきましょう。
1-1.CY CUT
CY CUTとは「コンテナヤードカット」の略であり「コンテナ集積場への集積締切日」のことです。
貨物が「コンテナ1本以上の場合」に用いられるCUT日になります。
CY CUTは「本船入港の前日」です。
書類上では「C/O」と記載され、船会社間では「LRD」と表記されます。
1-2.CFS CUT
CFS CUTとは「コンテナフレイトステーションカット」の略です。
貨物が「コンテナ1個に満たない場合」に用いられる締切日であり、他の貨物との混載になります。
CFS CUTは、混載になるためCY CUTより早く定められており「本船入港の2日前」などです。
ヨーロッパ向け本船のCFS CUTは早めに設けられている事が多いです。
1-3.DOC CUT
DOC CUTとは「ドキュメントカット」の略であり、ここで言う「DOC」とは「DR(Dock Receipt)」や「危険品明細」を指し、これら書類の提出期限になります。
通常、CY CUTやCFS CUTよりも早めに期限が設定されています。
DOC CUTは船荷証券(B/L)の元となる書類です。
※DR(Dock Receipt)とは、船舶会社が指定する保税地域に搬入された貨物に対して、受け取り証として発行する書類のこと。海貨業者は船荷証券(BL)をもらうために船舶会社にDRを提出します。
1-4.DG CUT
DG CUTとは「DANGEROUS GOODS CUT」の略で、危険品明細書の提出期限です。
DGとは、国際輸送における危険品のことを指します。
DG CUTの締め切りはCY CUTやCFS CUTより早い時期に設定されています。
2.カット日までに必要な準備
ここでは、カット日までに必要な3つの準備について説明します。
- 貨物準備
- 書類提出
- 輸出許可申請
2-1.貨物の準備
まずは、輸出する貨物が出荷できる状態にする必要があります。
以下について確認してください。
- 個数、品名、添付ラベル、マークの確認
貨物の「個数」「添付ラベル」「マーク」は、正しいものが貼られているか確認を行ってください。
マークやラベルがないと輸出できないのでしっかり確認しましょう。 - 仕向け地に必要なマーク/ラベル(GHS等)を確認
輸出先によっては必要とされるマークやラベルがあります。
輸出国に必要なマーク/ラベルを確認してください。 - 危険物を輸送する際には「UNマーク」「品名」「国連番号」「危険物クラス」の表記が必要になります。
危険物クラスは以下8つに分類されます。
・火薬類
・高圧ガス
・引火性液体
・可燃性固体
・酸化性物質
・毒物および伝染性病原体
・放射性物質
・腐食性物質
・その他有害性物質 - コンテナへの詰め込み
貨物の準備ができたら輸送するコンテナへの積み込みが必要です。 - コンテナヤードへの搬送
上記が整ったら、コンテナ集積場(コンテナヤード)へ運び込みます。
2-2.提出書類の準備
必要な書類として税関書類になりますが「通常貨物」「危険物貨物」によって必要書類が違います。
2-2-1.税関書類(通常貨物)
通常貨物で必要な書類は「INVOICE」「PAKINGLIST」「SHIPPING INSTRUCTION」の3点です。
- INVOICE(商業送り状)
商品と費用が記載された書類のことです。INVOICEもとに輸出通関手続きを行い、申告金額から関税を算出するので、金額に間違いがないか確認してください。
- PACKINGLIST(梱包の明細書)
貨物の「梱包方法・輸送方法・重量・個数・荷姿」など、貨物の詳細が示された書類です。
- SHIPPING INSTRUCTION(船積作業指示書)
「貨物の詳細」や、いつどの船に積むのかなど「作業の詳細」が記されたものです。
SHIPPING INSTRUCTIONを元にB/L(船荷証券)は作られるので、間違いのないように気を付けてください。
2-2-2.税関書類(危険品貨物)
危険物の通関書類は、上記通常貨物の必要書類に加えて「SDS」「危険物容器検査証」「UN容器」の以下3点の書類が必要となります。
- SDS(安全データシート)
SDSとは、Safety Date Sheetの略で化学物質や化学物質混合物を譲渡および提供する際に必要な文書です。
化学物質の「性質」「成分」「危険性」「有害性」「取り扱いに関する情報」が記されています。
- 危険物容器検査証(容器証明書)
国土交通省が定めた技術基準に適合していることを日本舶用品検定協会が検査を行い、適合している場合、UN検査証(UNマーク)を表示することが認められます。
その際に「危険物容器検査証」が発行されます。
- UN容器 (危険品を収納する専用容器)
UN容器とは、危険物の輸送時に必要な容器です。
UN容器には決まった規格・容器があり、適合しているものにUNマークの記載がされます。
番号が割り振られているため、マークをみることで「容器の材質・容器機能」などを識別できるようになっています。
2-3.税関への申告
上記の書類の準備ができたら、税関で申告する必要があります。
「貨物」と「書類」の税関の確認が終わると、税関から輸出許可をだしてもらえます。
カット日までに許可をもらう必要があるので余裕をもって申請しましょう。
税関申告において、注意点が2点あります。
1.書類の修正は難しい
税関から許可が下りた後の書類の修正は難しいので間違いのないように気を付けてください。
価格の変更・個数変更など生じる場合、税関に変更許可をもらう必要がありますが、なかなか許可が下りない傾向にあります。
2.外貨貨物になり接触不可
税関での許可の下りた貨物は国内貨物(内貨)から外国貨物(外貨)になるので、接触ができなくなります。
予定日に届けるためにも、不備のないように気を付けましょう。
3.カット日において注意すべきこと
ここではカット日において注意すべきことを紹介します。
3-1.「24時間ルール」とは?
「24時間ルール」とは、出港地から船積みされる24時間前までに、輸出貨物の情報(
マニフェスト)を輸出相手国の税関へ提出しなければならないという制度です。
24時間ルールが適用される場合には「CY CUTは、本船入港3日前」・「CFS CUTは、4日前」と通常より早くカット日が設定されています。
港によって異なりますので、事前に必ず確認しましょう。
24時間ルールは、2001年に起きたアメリカ同時多発テロが発端となり、テロ対策の一環として、2002年にアメリカで導入されたルールです。
具体的には「テロに使用される恐れのある貨物をあらかじめ把握して対策を講じる」ために制定されました。
現在では、アメリカのほか「EU・中国・カナダ・メキシコ・トルコ」でも導入しています。
提出が必要とされる情報は以下の6点です。
1.正確な貨物の名称
DOCK RECEIPT(D/R)に記載
2.HS Code(統計品目番号)
HS Codeについては税関ホームページにてご確認ください。
3.貨物の数量
・梱包単位での記載を行う必要がある
・FCL(コンテナ1個単位の貨物)の場合:CONTAINER LOAD PLAN(CLP)の写しを提出
・LCL(コンテナ1個に満たない混載貨物)の場合:Dock Receipt(船会社へ提出する貨物の明細書類)に記載
・外装がPallet / Bundle / Skidの場合には目視で数えられる内個数の表記が必要
・FCLで 複数のコンテナになる場合には、コンテナ単位での個数・重量の記載が必要
4.危険品明細
危険品に該当する場合、危険品明細(UN NO./CLASS)の記載が必要です。
5.荷主名・荷受人の正式名称と住所
・住所・企業コード・連絡先・担当者名・E-MAIL ADDRESSなどの記載が必要
・FCL(コンテナ1個単位の貨物)の場合:SHIPPING INSTRUCTION(船積み指図書)に記載
・LCL(コンテナ1個に満たない混載貨物)の場合:Dock Receipt(船会社へ提出する貨物の明細書類)に記載
6.コンテナ番号およびシール番号
コンテナ番号およびシール番号は空コンテナピックアップ時に船舶会社から通知されます。
3-2.日本独自の「24時間ルール」とは?
日本に輸送されてくる海上コンテナ貨物に関して「港を船舶が出港する24時間前までに、積荷情報(マニフェスト)を電子的に税関へ報告しなければならない」ルールです。
日本独自の24時間ルールも、内容は上記の24時間ルールと同様です。
ただし、釜山・上海から出港する場合は「出港時間の24時間前」と規定されています。
船積書類の内容の不備・差し入れ遅延が生じた場合、船積開始24時間前までに「不備の訂正」もしくは日本税関による「積荷情報のリスク分析」が完了されないときは、船積が出来ないことがあります。
規則に違反した場合には、1年以下の懲役または50万以下の罰金に処せられます。
4.まとめ
本記事では、海上輸送におけるあらゆるカット日(締切り日)について説明しました。
ここでは一般的なカット日を紹介しましたが、船会社によって違いますので確認が必要です。
一つでもミスが出てしまうと、貨物に大幅な遅れが出てしまう恐れがあるので、輸出をする際には専門家の意見を仰ぐようにしましょう。
「カット日」には気を付けて、輸送を円滑に輸送を行ってください。