船積書類の1つである「船積通知」は、発送元と受取人が安心して取引するために大切な役割を担っています。
国境を越えた物流輸送では、「契約した貨物がいまどこにあるのか」「貨物はいつ届くのか」といった様々な不安がよぎります。
そんな受取人の不安を解決すべく、貨物が無事に出港されたことを教えてくれるのが船積通知です。
この記事では、あまり知られていない船積通知の重要な役割や注意点をご紹介します。
目次
船積通知とは?
船積通知とは、貨物の船積完了の旨を発送元から受取人に知らせる書類のことです。
船積案内書やS/A(shipping advice)とも呼ばれます。
契約期間の長い国際物流において、「依頼した貨物はいまどこにあるのか」「いつ発送され、いつ到着するのか」など運搬時に貨物に関する情報が少ないと、受取人は不安になってしまいます。
そのため受取人に船積通知をすることは発送元、輸出者の義務といえます。
船積通知の特徴
スムーズで安心した国際取引を行うのに重要な船積通知。ここでは、船積通知の特徴をお伝えします。
船積通知の特徴①他の書類と合わせて送付
船積通知は、船荷証券(B/L)やインボイス(請求書)、パッキングリスト(梱包情報)、原産地証明書などの船積書類と一緒に送られることもあります。
長距離便などスケジュールに余裕がある場合、貨物船が出向したことを証明する「船荷証券」や商品の詳細が記載されている「パッキングリスト」といった船積書類と一緒に「船積通知」が送られることも多いです。
船積通知の特徴②書類送付・電子メールのどちらでも可
船積通知は紙面での送付や電子メール、FAXでの送付のいずれも可能です。
アジア便など到着までの時間に余裕がないときは、出港予定日が決まった時点で先に船積通知だけを電子メールで送ることもあります。
船積通知の特徴③保険のかけ忘れを防ぐ
船積通知は、受取人の保険のかけ忘れを防ぐ役割もあります。
受取人が貨物に保険をかけるとき、まずはじめに「予定保険」をかけます。
”予定”というのも、まだ貨物が発送されていない段階では船名や出港日など、貨物輸送に必要な詳細情報を確定できていないからです。
契約が決まった段階で、出港日前に仮の内容で保険に加入することを「予定保険」といいます。
発送元から船積通知が届くと受取人は貨物が発送されたことを知り、「貨物の詳細が確定した」と認識できます。
この段階で受取人は「予定保険」から「確定保険」に切り替える手続きが必要です。
船積通知が来ることで、受取人は「確定保険」への切り替えを忘れることを防げます。
船積通知の特徴④通関手続きに必要
受取人は船積通知を受け取ったあと、通関業者に船積書類の転送をします。
通関業者は転送された書類をもとに通関準備をするため、船積通知は輸入申告において大切な書類なのです。
船積通知の記載内容
船積通知には、以下のような内容が記載されています。
- 貨物の注文番号
- 品名
- 数量
- 金額
- 船名
- 出港日
- 入港予定日
- 荷揚げ港
- 積荷港
このような、ローディングに関する詳細が船荷証券には記載されています。
遠い場所にある契約貨物の詳しい情報を知ることで、受取人は安心して取引できますね。
船積通知の注意点
船積通知は、安心した取引のために大切な役割を担う書類です。しかし法規制があるわけではないので、いくつか注意が必要になります。
船積通知が来ない時
船積通知は義務とされていますが、法律などで規定されているわけではありません。
そのため、場合によっては発送元から来ないことがあります。
「船荷証券(B/L)を送ること=船積完了の通知」としている発送元もあり、わざわざ分けて船積通知をしないこともあるのです。
貨物受け取り後のスケジュールを立てやすくするためにも、船積通知を希望する場合は発送元とよくコミュニケーションを取りましょう。
基本的に船積通知は発送元の義務とされているので、不安なことは遠慮せずに確認してみましょう。
短距離の場合は船積通知を早めに送る
船積通知はタイムリーな送付が重要です。
特に、2〜3日で貨物が到着する航空輸送やアジアへの海上輸送の場合は、出向予定日がわかった時点で共有しましょう。
早めにスケジュールを把握できることで、受取人も予定を立てやすくなります。
一般的に、船積通知は船積みが終わった直後に送られるものです。あくまで貨物の到着が速い契約のときには、フォワーダーや受取人との関係性も踏まえて臨機応変に対応しましょう。
まとめ 安心した取引に重要な船積通知
本記事では、船積が終わったことを受取人に知らせる船積通知についてご紹介しました。
船積通知の特徴は、大きく分けると以下の4点です。
- 他の船積書類と合わせて送付
- 紙面・電子メールのどちらでも可
- 保険のかけ忘れを防ぐ
- 通関に必要
自分の契約した貨物が「いま・どこにあるのか」を知ることができ、安心して貨物の到着を待てますね。
発送元の義務でありつつも、船積通知の有無や送付のタイミングは発送元によって異なります。
疑問があったら、発送元に遠慮なく質問してみてください。
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