ブログ

カルネを使用した簡単な通関手続き3つのポイント【国際輸送の基本】

本記事では、国際輸送において重要な役割を果たすカルネについてご紹介します。

カルネとは

カルネとは、簡単にいいますと、「通関用の書類で輸入通関、税金の支払いが楽になるもの」です。

大きく分けると、以下のような2つの役割を持っています。

  • 一時的な輸出入の物品に利用できる通関用書類
  • 輸入税等の支払いや保証金の支払いが不要になる支払保証書

国際輸送においてさまざまな活用場面が考えられますが、例えば世界各国で行われている見本市や展示会があります。

そのような見本市へ自社の商品を海外へ持ち出し、見本市終了後に日本へ持ち帰る時、通常の通関手続きでは、以下のような4回の手続きが発生します。

  1. 日本からの輸出
  2. 海外での輸入
  3. 海外での再輸出
  4. 日本での再輸入

そして、複数の国の見本市を回る場合には、それぞれの国で輸入と再輸出を繰り返す必要があります。輸入のたびに関税や輸入消費税が発生します。

こうした通関手続きを簡便化するために、一時輸入を簡略化できる通関用書類が「カルネ」です。

カルネの種類

カルネには2種類あります。

  • ATAカルネ(世界約80か国が加盟。)
  • SCCカルネ(日本―台湾、一往復のみ使用可能。)

カルネが認められる用途は下記の通りです。

  • 展示会、国際的な催し、国際会議
  • 職業用具
  • 商品見本市
  • 1年以内に日本に商品が戻ってくること
  • 持ち込もうとする国が、ATA条約に加盟していること

カルネを使う際の注意点

カルネを使う際の注意点はとして、持ち込む国により、必ずしも全部認められるものではないという点がございます。

そのため、事前に「一般社団法人 日本仲裁協会」で確認しましょう。

一般社団法人 日本商事仲裁協会 JCAA

また、輸出する際の商品がそのままの形で1年以内に日本へ戻ってくるものにしかカルネは使用できません。

例えば、以下のようなものはカルネの使用ができませんので、この点も注意が必要です。

  1. 日本へ持ち帰らないもの。(展示会で配布するパンフレット等はカルネに含めてはいけません。)
  2. 輸出時と形状・性質が変化するもの。
  3. 消耗品や食品、価額が0円のもの。
  4. 修理や加工を施すもの。
  5. 各国の法律で輸出入不可のもの。
  6. 大型掘削機など自然破壊に通じる用具。

カルネの目的と利点

ATAカルネは、世界の主要国の間で結ばれているATA条約に基づく国際制度による通関書類で、物品の一時輸入が簡略化できます。

簡略化できる理由としては、カルネには下記の2つの機能があることがあげられます。

  1. 税関に提出する書類としての機能
  2. 担保としての機能

1.税関に提出する書類としての機能

ATAカルネは税関に提出する輸出入の申告書、及び物品の明細書として機能しています。よって、通常の輸出入書類(インボイスとパッキングリスト)は必要ありません。

ATAカルネに物品の明細と貨物詳細を記載することになりますので、商品は見本市や展示会に出展する最新の販売前の商品でも、極端に安い価格ではなく、一般の市場価格を記載しましょう。

2.担保としての機能

輸入税の担保書類として機能しますので、当該物品は免税扱いとなります。通関後は、ATAカルネに記載されている物品をその輸入国内のどこへでも携帯できます。

手続きと費用

ATAカルネは日本では「一般社団法人 日本商事仲裁協会」が発給します。(カルネ | 一般社団法人 日本商事仲裁協会 (jcaa.or.jp)

事務所は東京事務所と大阪事務所の2か所のみです。

まず、お近くの事務所でカルネが申請できる国か、そしてその国に輸入できてカルネが使用できる物品か、確認しましょう。

カルネが使用できることが確認できたら、早速登録を始めていきましょう。

1.利用登録

Step1.オンラインで必要事項を入力し、仮登録をします。

カルネ電子申請利用登録 | カルネ電子申請利用登録システム (jcaa.or.jp)

Step2.受信したメールに記載されているURLにアクセスします。

日本商事仲裁協会より送信されるメールに記載されているURLをクリックすると、登録申請書入力画面になります。そちらから必要事項を入力して送信してください。

Step3.登録申請書を印刷します。

入力後、登録申請書を印刷し、登録印(法人で登録する方:法人印鑑証明書の印、個人で登録する方:印鑑証明書の印)を押印してください。

Step4.登録申請書と登録関連書類を日本商事仲裁協会へ提出します。

登録関連書類として、下記の書類をまとめて郵送してください。

  • 法人登録者:登記事項証明書/印鑑証明書/※決算報告書
  • 個人登録者:住民票/印鑑証明書/※所得証明書

※(カルネ発給料を「担保措置料」で希望する場合)

Step5.カルネ電子申請システム利用のための通知書を受領します。

登録書類に不備や不足が無い場合、原則3営業日以内に登録者へ簡易書留でIDとパスワード記載の通知が届きます。

2.カルネ申請/発給/使用/返還

Step1.オンラインで申請をします。

カルネ電子申請システムを利用して、発給申請内容を入力後、送信します。

  1. 申請送信後、申請状態が確認できます。システムにログインしてみましょう。
  2. 審査が完了すると、発給予定日と発給料金が確定します。
  3. 発給予定日までに料金を振り込みます。

※申請時に選択すれば、審査完了時のメールを希望するアドレスに受信できます。

Step2.カルネの受け取り。

発給日以降にカルネを受け取ります。(着払い宅急便、または日本商事仲裁協会の窓口)

  1. 発給料金の入金確認後にカルネが発給されます。
  2. 領収証、カルネ記入例が添付されて発給されます。

Step3.(輸出:日本出発時)日本の税関がカルネと物品を確認します。

物品とカルネはセットで考えましょう。

物品を輸出する時は、通関業者にカルネを渡し、輸出通関を行ってもらいます。

物品を携行する場合は、日本からの出国時(チェックイン前)に、カルネ通関を行います。

  1. 輸出ページに必要事項を記入し、カルネと物品を税関へ提出します。
  2. 税関による物品検査後、通関記録のあるカルネを受け取ります。(紛失しないようご注意ください。)

Step4.(輸入:入国時)外国の税関がカルネと物品を確認します。

一時輸入国への入国時に、カルネ輸入通関を行います。

  1. 輸入ページに必要事項を記入し、カルネと物品を税関へ提出します。
  2. 税関による物品検査後、通関記録のあるカルネを受け取ります。(紛失しないようご注意ください。)

Step5.(再輸出:出国時)外国の税関がカルネと物品を確認します。

一時輸入国への出国時(チェクイン前)に、カルネ輸出通関を行います。

  1. 輸出ページに必要事項を記入し、カルネと物品を税関へ提出します。
  2. 税関による物品検査後、通関記録のあるカルネを受け取ります。(紛失しないようご注意ください。)

Step6. (再輸入:日本戻り)日本の税関がカルネと物品を確認します。

日本への入国時に、カルネ輸入通関を行います。

  1. 再輸入ページに必要事項を記入し、カルネと物品を税関へ提出します。
  2. 税関による物品検査後、通関記録のあるカルネを受け取ります。(紛失しないようご注意ください。)

Step7.カルネの返還

カルネは日本商事仲裁協会に返還します。速やかに返還しましょう。
※一時輸入国でのカルネ使用内容に問題があった場合、一時輸入国税関から輸入税等を請求されます。

カルネ発給手数料—
<基本手数料>14,000円~+①か②のいずれか

  1. 担保提供(現金担保、または、現金担保と同額の銀行保証書)—カルネ返却後、問題なければ返金されます。
  2. 所定の担保措置料(審査基準に適合する場合のみ)—返金はありません。

①担保料率%と②担保措置料は、国や物品表の総額によって料金が違います。

申請種類と発給料金 | 一般社団法人 日本商事仲裁協会 (jcaa.or.jp)

この記事を読んだ方にオススメの記事はこちら!


>>弊社サービスについてのお問合せ・お見積りはこちらから!


PAGE TOP
advanced-floating-content-close-btn無料相談・お見積もり