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中国に輸出するときのポイントや注意点を分かりやすく解説

中国は現在GDP世界第2位の大国です。以前はさまざまな製品を安い労働力で生産する世界の工場の役割を担ってきましたが、現在では経済力が底上げされ巨大な市場として世界から注目を集めています。

貿易の主要輸出国は、アメリカ、日本、韓国で主要輸入国は台湾、韓国、日本となっています。

中国とのビジネスでは政治的な問題が経済および貿易に即座に反映されることが多く、対応が難しいことも多々あります。ある意味カントリーリスクを考慮した上でビジネスを進めることが必要です。

この記事では中国に輸出するときのポイントや注意点を解説していきます。

中国とのビジネスの際に注意するポイント

中国とビジネスをする際の注意点を説明します。

  • 中国語が通じないことが壁となるため、通訳を同行するか中国語ができるスタッフと行動する。通訳は相手に任せず日本側から同行させること。
  • 契約書の内容を詳細にチェックし、判断基準や責任分界点を明確にする。あいまいな部分が紛争の源になる可能性があります。
  • 支払方法はできるだけL/Cなど銀行を経由した決済を基本とし、手形決済、送金決済は避けること。
  • 知財権の事前申請をしておかないと模倣品が作られる可能性があります。
  • 代金回収では銀行取引先を複数用意することが重要です。取引停止されても対応できるようにするためです。
  • 企業間信用調査や信用格付け認定機関での信用度チェックが先決。海外企業に対する与信調査はある意味難しいのですが、中国企業を相手にする場合は与信調査をしっかり行うこと。

以上のポイントに注意すれば、中国企業との安定したビジネスが実現できるでしょう。

輸出に際し注意すべき法令

中国に向けて輸出する際に遵守すべき法令、ルールについて説明をします。

日本国内

日本から商品を輸出する際は中国向けに限らず守らなくてはならない法令があります。それが「貿易管理令」です。輸出する商品がこの「貿易管理令」に該当する商品かどうかを事前に確認し、必要な場合は経済産業省などに輸出許可の申請をしなくてはいけません。

貿易管理令は、日本から海外に製品や技術を輸出する場合に、国際平和と安全保障の維持のために遵守しなければならないルールを定めた命令です。

主な内容は以下の通りです。

  • 輸出を規制する貨物や技術のリスト(輸出貿易管理令別表)があり、これらを輸出するには経済産業大臣の許可が必要。
  • 輸出する製品や技術が軍事転用される恐れがある場合、事前確認が必要。
  • 輸出先や 最終使用者が治安維持の観点から問題がある場合、許可が下りない。
  • 許可なく戦略物資等を輸出すると罰則が適用される。

この法律の目的は国際平和を守ることです。輸出者はこの法律に従い、禁輸品の輸出防止に努めなければなりません。この貿易管理令の中に出てくる輸出貿易管理令別表については以下に詳しく説明しました。

輸出貿易管理令別表とは、規制対象となる貨物や技術のリストです。主に、武器や双用品(軍事及び民生の両用途に用いることができる貨物)がリスト化されています。リストに掲載された品目を輸出する場合、経済産業大臣の許可が必要となります。別表には15項目が記載されており、1項は武器、2項は天然ウランなどが規制対象となっています。貨物の他、技術やソフトウェアも規制対象としています。リストは国際レジームに合わせて定期的に更新されています。ですから自社の輸出品がリストに該当するか注意して確認する必要があります。リストは経済産業省のウェブサイトでも確認できます。

このように、輸出貿易管理令別表は、国際平和を守るための重要なリストとなっています。

輸出する商品が決まり次第、この貿易管理令をチェックし事前に輸出許可の手配をする必要があります。

中国は「ホワイト国」には該当しないため、注意が必要です。貿易管理令におけるホワイト国とは日本から輸出しようとする貨物品目が大量破壊兵器等に転用される恐れが比較的少ないとされる国のことです。具体的には日本と同じように体制が安定した先進諸国が想定されており、例えば、米国や英国、フランス、ドイツなどがこれに該当します。

一方で、大量破壊兵器拡散などの懸念度が高いと見做される国については、同じ貨物であっても日本からの直接輸出は規制対象となります。たとえば、イランなどがそれに該当します。

これらホワイト国の有無によって、規制の適用条件が大きく異なるため、輸出取引で正確な確認が必要です。

中国国内

日本から中国に製品を輸出する際に注意が必要な中国国内法規制について説明します。

代表的なものとして、輸入製品の品質検査と認証を取得義務付ける「強制認証制度」があります。例えば電気製品、機械製品、自動車、医療機器などは、中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)あるいはその認定機関から認証を取得しなければ、中国への輸入が禁じられます。認証にはCNCAが定める中国国家規格(GB規格)への適合性検査が条件とされています。GB規格とは、中国国内で販売される製品に対して定められた強制規格です。例えば電気機器の場合、中国版UL規格にあたるGB 4943.1規格があります。

この中で電気製品に要求される安全基準や試験方法が具体的に規定されており、中国での販売にはGB 4943.1への適合性検査に合格することが義務付けられています。検査は中国政府認定の試験機関で行われ、合格証が発行されるとCCCマークを取得でき、中国向けに製品を輸出入し販売することが可能となります。GB規格不適合の場合は税関抜き取り検査で輸入差し止めとなるリスクがあるため、事前の対応が必要不可欠です。

日本と中国の安全基準には差異があるため、個別に認証対応が必要であり、認証なしで輸出すると、税関で止められたり罰則の対象になることがありえます。

中国に輸出するときに特に注意する点

中国への輸出において注意すべき点は以下のとおりです。

1 知的財産権の事前対策

中国での商標登録や特許出願をしておかないと、そっくりの商品が作られる危険性が高いです。

2 契約書の確認

支払条件や管轄裁判所の設定など、日本企業に不利な条件が盛り込まれていないか入念にチェックする必要があります。

3 代金回収リスクへの対策

信用力を確認し、複数の銀行口座を用意する等して、取引停止になっても代金回収できる体制を整えておきましょう。

4 習慣の違いへの対応

値切りや飲み会文化への対応など、中国ビジネスでは日本と異なる商習慣が数多く存在しています。事前学習が重要です。

中国と日本の間には現在も様々な政治問題が存在しています。

その政治問題が経済、しいては貿易に大きな影響を与えることがあるので注意が必要です。最近の例では福島第一原発の処理水をめぐって日中間で対立が生じました。処理水を海へ放出することに関して中国は即座に反発を表明し、日本産の水産物の輸入を全面的に停止しました。その結果、日本からの水産物の輸出は減少し深刻な影響が広がっています。日頃から政治的な面を含めて動向に注目する必要があります。

船積み手配

ここでは東京、上海間を例にとって船積みの手配について説明をしていきます。

船便の場合

東京港と上海港を海上輸送する船便の所要日数は以下の通りです。

  • コンテナ船の場合: 約 5日
  • 貨物船の場合: 約 10日

コンテナ船の方が高速型の設計が多いため、貨物船と比べて所要日数が短くなっています。

実際の日数は寄港地や運航船舶等によって多少の変動が生じますが、大まかな目安は上記のとおりです。

例えば、東京港から上海港までの代表的なコンテナ船の航路では、韓国・釜山に寄港した上で、所要5日程度で上海に到着するケースが多いです。

上海までの距離や船便の本数を考慮すると、東アジア間の海上輸送としては比較的スピーディーな部類に属します。

東京港から上海港への船便での輸出入の手順について説明します。

  1. 船会社と輸送契約を締結し、運賃とスケジュールを確認する。
  2. 輸出入通関書類(インボイス、パッキングリスト等)を準備する。
  3. 倉庫からトラックなどで東京港のコンテナヤードまで海上輸送用のコンテナに商品を詰める。
  4. 東京税関で輸出通関の手続きを行い、船会社にコンテナを引き渡す。
  5. 船便で東京港→釜山(仁川)→上海港まで約7日間を要して輸送。
  6. 上海税関で輸入通関手続きと関税納付を行う。
  7. 上海港の保税区から輸入者の倉庫や工場に引き渡す。

以上が基本的な流れです。輸出の通関や船の手配などは乙仲をうまく利用しましょう。

航空便の場合

東京(成田)から上海(浦東)への航空便の所要日数は以下の通りです。

  • 直行便のフライト時間は約5-6時間
  • 週5-7便程度の直行便が就航
  • 出発日から到着日まで、通常2-3日程度
  • 貨物便の場合は、上記に1-2日程度追加

したがって、航空機の場合は船便と比べると10分の1程度の所要日数で、東京から上海への空輸が可能です。

寄港都市や使用機材等によって多少の増減は生じますが、3日以内で上海まで到着できるのが大きなメリットといえます。梱包の程度にもよりますが、日配品や高付加価値貨物などが空輸に適していると言えます。

次に東京(成田)から上海(浦東)へ航空便で輸出する際の手順を詳しく説明します。

  1. 成田空港の貨物ターミナル取扱会社と航空運送契約を締結
  2. 航空会社へ輸送予約と通関書類(AWB、インボイス等)を提出
  3. 商品を工場から成田空港内の貨物エリアまで陸送
  4. 成田で税関出口通関と安全検査を受ける
  5. 航空機で上海浦東空港まで輸送(約2-3日間)
  6. 上海税関で入口通関手続きと税関検査を受ける
  7. 空港から輸入者指定の工場等まで国内輸送

以上が、東京から上海への航空便輸出の基本的な流れです。2-3日で到着するメリットがあります。

輸出後のフォロー

商品を日本から中国に輸出した後には、輸出に関連する様々な業務が発生します。以下は、その後の主な業務やポイントです。

  • 輸出入関税・税金の確認:貨物が中国に到着した際、関税や税金がかかる場合があります。これらの費用を確認し、適切な手続きを行います。
  • 通関手続き:中国への輸入には通関手続きが必要です。正確な輸出入手続きを知り、必要な書類を提出します。通関代理店の利用も考慮できます。
  • 商品の配送と保険:商品の最終的な宛先に適切に配送されるように手配し、必要に応じて適切な保険をかけます。物流プロバイダーと連携して円滑な輸送を確保します。
  • 中国の法令と規制の順守:中国の法令や規制に準拠することが不可欠です。特に製品の種類によっては、許認可が必要な場合があります。
  • 商品のラベリングと規格:中国に輸入される商品は、中国の規格に準拠したラベリングが必要です。製品に適切な表示がなされているか確認しましょう。
  • 法的なサポートの確保:中国での法的な問題や紛争が発生する可能性があるため、現地の法務顧問や専門家と連携し、法的なサポートを確保します。
  • 通貨取引と支払い条件:取引に関する通貨取引や支払い条件を確認し、円滑な財務取引を確保します。信頼性のある支払い手段を選択します。
  • アフターサービスと顧客サポート:製品が中国市場に到着した後も、アフターサービスや顧客サポートが求められる場合があります。適切な対応を行い、顧客満足度を維持します。
  • 市場動向のモニタリング:中国市場の変化や競合動向をモニタリングし、ビジネス戦略を適宜調整します。
  • ビジネスパートナーシップの構築:中国での成功を目指す場合、現地のビジネスパートナーとの協力やネットワーキングが重要です。地元の文化やビジネス慣習に理解を深めましょう。

これらの業務を適切に管理することで、中国でのビジネス展開を成功させることができます。地元の専門家やコンサルタントの助言を受けることも、スムーズな進展に寄与します。

まとめ

中国に製品を輸出するときのポイントや注意点を解説してきました。輸出の際は日本国内はもちろん中国国内の法令も遵守する必要があります。事前に確認を進めスムーズな輸出ができるように手配を進めてください。

中国の場合は政治問題がすぐに経済、貿易に反映されることが多々あります 。新しい法令が突然できたり急な変更もありえることはある程度覚悟して、魅力ある大きな市場である中国でのビジネスを進めましょう。

中国ビジネスを成功させる秘訣は事前の調査と正確な手続きおよび素早い状況判断にあります。

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