国際取引の輸出管理に関わる安全保障貿易管理は、世界平和と安全な貿易を行うために必要な制度です。
安全を脅かす、危険な国や人との取引を防止するため、輸出品を規制するのが目的です。安全な輸出取引を行うために安全保障管理制度はあります。
国際関係は安全であるとはいい切れないのが現状です。戦争や紛争、テロは地球上で今も起こっています。こうした危険と隣合わせであるのが貿易取引ともいえます。
貿易取引をより安全に行える体制を整える必要があります。輸出品が安全か判断し、取り締まるために安全保障貿易管理制度はあります。
国内生産品を外国で売り利益を追求することは国を豊かにする利益の追求でもあり、輸出取引はなくてはなりません。この記事では輸出取引を安全に行うため、また危険から輸出取引を守るための安全保障貿易管理の内容や制度の仕組みについて解説します。
目次
安全保障貿易管理とは?
安全保障貿易管理制度を管轄するのは経済産業省です。国の経済的発展を追求する機関でもあります。輸出取引は自国生産品を国外に提供し利益を追求する目的もあります。
国際関係ではこの貿易取引が常に行われています。自国の利益追求はもとより、安全すなわち国際平和を追求します。
戦争やテロに利用されないか、戦争やテロに加担しないのが安全保障貿易管理制度の目的です。
安全保障貿易管理制度の概要
安全保障貿易管理制度の歴史を紐解けば、1940年代にアメリカが金融を掛ける貿易取引を規制するためには誕生したといわれています。
ただ、国際関係、情勢の変化と共にその規制、目的は変化し、発展しています。現代国際社会における目的は、戦争やテロに加担しない、規制する対象は国からテロ・ヒトへと発展しています。
輸出管理を規制するのが安全保障貿易管理制度と先にもいいましたが、輸出品が戦争やテロに加担しないかが判断の基準になります。
目的
安全保障貿易を管理する目的は、繰り返しになりますが、世界平和と安全な貿易取引、輸出を安全に取引するためです。
安全保障貿易管理が提示するリストに該当すれば輸出できる商品です。対しリストに該当しない、いわゆる該非商品は輸出をすることは出来ません。
輸出取引を取り巻く国際関係
貿易取引は国際関係に大きく関わります。輸出・輸入の取引がありますが、ここで取り上げるのは輸出取引です。輸出取引を取り巻く国際関係を平和にし、安全に行うための規制制度です。
安全保障貿易管理は経済産業省が管轄しています。経済産業省が管轄する、輸出品を管理しているのです。安全な輸出取引を行う、その責任は輸出者にあります。これから輸出する商品が安全な取引を可能にするのか、リスト該当品であれば問題はありませんが、少しでも不安や疑問が残るのなら、非該当証明をする必要があります。
【リスト規制】輸出できるもの・できないものとは?
安全保障貿易管理では、輸出可能な商品かどうかを判断するためにリスト規制という仕組みが設けられています。
輸出者は、自社の輸出品が規制対象に該当するかどうかを確認するために、経済産業省が定めたリストを参照する必要があります。
このリストに該当するかどうかを判断する手続きが該非判定です。
該非と非該当
経済産業省は、安全保障貿易管理を適正に運用するために、輸出可能な製品を管理する輸出貿易管理令別表第1(リスト規制)を定めています。
輸出者は、自社の製品がこのリストに該当する(=規制対象となる) のか、非該当(=規制対象外)なのかを判定する必要があります。
この該非判定を行うことで、輸出品が安全保障上のリスクを伴うかどうかを判断し、該当する場合は原則として経済産業省の許可を取得しなければなりません。
リスト規制は、日本だけでなくEUの「EUリスト規制」など、各国や地域ごとに異なる規制が設けられています。
そのため、国際取引を行う企業は、輸出先の国の規制も確認する必要があります。
該非判定とは
該非判定とは、輸出品や技術がリスト規制の対象に該当するかどうかを判定するプロセス です。
該当する場合(=リストに記載がある場合)は、輸出するために経済産業省の許可が必要 となります。
一方で、リストに該当しない場合(=非該当)であれば、原則として許可不要で輸出可能 ですが、キャッチオール規制が適用される場合もあるため、注意が必要です。
非該当品証明書
非該当とは、輸出管理のリスト規制に該当しない商品や技術のことを指します。
非該当品は基本的に輸出が許可されますが、輸出先や用途によっては規制の対象となることもあるため、慎重な確認が必要です。
特に、大量破壊兵器や通常兵器の製造に利用される可能性がある場合、非該当品であってもキャッチオール規制の対象となるため、輸出者の適切な管理が求められます。
リスト規制
リスト規制よりも更に安全に取引を規制するのがキャッチオール規制です。キャッチオール規制は特にリスト規制品に該当しないものの、その取引相手である輸入者が大量破壊兵器や通常兵器に利用転換されないかを判定します。
日本のリスト規制では、以下のようなカテゴリの品目が対象となります。
- 武器関連(兵器やその部品)
- 原子力関連(核燃料やその製造技術)
- 化学・生物兵器関連(有毒化学物質やその製造装置)
- ミサイル関連(ロケットや推進装置)
- 汎用品・汎用技術(軍事転用可能な半導体、電子部品、素材など)
これらの規制は、国際的な輸出管理レジーム(ワッセナー・アレンジメント、MTCR、オーストラリア・グループ、NSGなど)に基づいて策定されています。
キャッチオール規制とは
リスト規制よりも更に安全に取引を規制するのがキャッチオール規制です。キャッチオール規制は特にリスト規制品に該当しないものの、その取引相手である輸入者が大量破壊兵器や通常兵器に利用転換されないかを判定します。
該非判定は輸出品(技術)のみに注目し判定しますが、キャッチオール規制はその相手まで判定し規制します。
キャッチオール規制とは(リスト規制との違い)
規制の種類 | 対象 | 規制の適用条件 |
リスト規制 | 特定の品目(事前に指定) | リストに掲載されている品目はすべて規制対象 |
キャッチオール規制 | リスト外の品目(広範囲) | 輸出先や用途によっては規制対象 |
非該当証明書の作成
繰り返しになりますが、非該当証明書は公式なフォーマットはありません。非該当証明書はどのように作成するのでしょうか。非該当証明書はを明記します。
証明内容を記載し、明示することができれば良いのです。非該当証明書について更に詳しく解説します。
輸出者が作成
非該当証明書の作成は輸出者の責任で行います。
輸出者は、自社の輸出品がリスト規制の対象ではないことを証明し、安全保障上問題がないことを明示しなければなりません。
輸出管理は細かい基準が設けられており、専門的な知識が求められます。
そのため、輸出管理担当者には、輸出管理に関する知識や資格(CISTEC認定の「安全保障貿易管理士」など)を持つことが推奨されています。
輸出者は非該当証明書の作成プロセスを正しく理解し、適切に対応することが求められます。
判定基準
非該当証明書を作成する前に、判定基準を明確に理解することが重要です。
非該当証明の基準は、経済産業省が定める「リスト規制」に基づいて判断されます。
該当しなければ非該当判定となり、輸出可能です。
国際上、安全であると証明できる、いわゆる該当証明書をもってしっかりと証明できるなら非該当商品となり、輸出が認められるのです。
判定の流れ
- リスト規制を確認する
・該当する場合 → 「該当」 として経済産業省の許可が必要
・該当しない場合 → 「非該当」 として輸出が可能 - キャッチオール規制を確認する
・非該当であっても、輸出先や用途によっては規制対象になる場合がある - 非該当品証明書を作成する
・輸出品がリスト規制に該当しないことを証明するため、非該当証明書を作成
非該当証明書の記載内容
非該当証明書には特定のフォーマットはないものの、以下の内容を明記することが必要です。
- 輸出品の名称・型番・仕様
- 該非判定の結果(リスト規制の該当有無)
- 輸出先の情報(国名・企業名・用途)
- 輸出者の署名・押印
違反に対する罰則規定
安全な輸出取引を規制しているにも関わらず違反し、輸出した場合、罰則規定があります。
「違反原因や実際の用途等を考慮した上で、刑事罰、行政制裁(3年以下の輸出等の禁止)、経済産業省貿易経済協力局長名による警告(原則企業名公表)、経緯書又は報告書の提出(原則企業名非公表)、等の処分・対応が行われることがあります。なお、事案によっては当該企業が保有する包括許可が取り消される場合もあります。」
こうした罰則を受けるか受けないかよりも、大事なことは、安全な輸出取引を行うか、輸出者としての本来の目的や目指すことです。
目先の利益に翻弄されるとなく、輸出者として誇れる取引をするべきです。
輸出した商品が輸入相手を豊かにするのか、戦争に加担するのか、その重責があることを決して忘れないことです。
まとめ 国際取引を安全にするために安全保障貿易管理制度がある
国際取引は国を豊かにします。自国のみならず取引する相手をも豊かにすることができるのです。
取引するのは、物やエネルギー、知的財産など多様です。国際関係は身近な生活のなかでも感じられます。
取引する相手の文化を知る機会でもあります。国際友好は貿易取引によって行われています。
貿易取引、この記事では輸出取引を安全に行うための安全保障貿易管理内容と制度の仕組みについて解説しました。
危険から守るために、重要である該非判定、輸出者にとっての心得でしょう。
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