これからタイへ輸出する商品、どんな輸送手段があるのでしょうか。
また必要な手続きはどんなことでしょう。そのような疑問や悩みにお答えします。
目次
タイ向けの輸送手段
タイへの輸送手段:2つの選択肢とその特徴
日本から海外へ小包を発送する方法は、大きく下記のような方法があります。
- Door to Doorサービス(国際宅急便)を利用する。
- フォワーダーに依頼する。
Door to Door(国際宅急便)サービスを利用する。
Door to Doorサービスとは、国際版 宅配便のようなイメージです。DHLやFedEx, UPSといった輸送会社のかたに自宅まで集荷しに来てもらえます。事前に送り主の登録が必要なので、集荷前に早めに登録を済ませておきましょう。(着払いもできますが、送り先の方の顧客番号が必要になり、確認が取れてからの手配になるので、着払いを予定している場合は荷受人に事前に聞いておきましょう。)
フォワーダーに依頼
フォワーダーとは、国際利用運送事業者のことで、お客様からの貨物をお預かりし、他の業者の運送手段(船舶・航空・鉄道・トラックなど)を利用し、貨物輸送を行う事業者のことです。ちょっと大きな荷物になってしまった場合で費用も抑えたい時は、国際貨物輸送のプロ(フォワーダー)に尋ねると貨物の引取の調整や輸出申告、タイでの輸入通関の疑問点など、大きな力になってくれます。貨物の大きさによって掛かる費用が違いますので、高くても早い方がいいのか、時間はかかっても安い方がいいか、航空便と船便、どちらも手配可能なフォワーダーがいいでしょう。
2021年現在、航空便のスペース、また船便のコンテナやスペースが不足しているため、ブッキングが取りにくくなっています。貨物が出来上がっていても、スペースが取れない場合は出荷できないので、早めにフォワーダーに問合せしましょう。
輸出可能か確認
タイへ貨物を輸出する前に、対象の商品がタイで輸入可能かどうかを必ず確認しましょう。日本国内での調査も可能ですが、タイの荷受人(バイヤー)に事前に確認を取るのが確実な方法 です。
特に、インコタームズ(貿易取引条件) の適用範囲や、商品ごとの輸入規制について問い合わせておくと、後のトラブルを防ぐことができます。
また、タイでは 特定の製品(食品、化粧品、医薬品、電気製品など) に厳しい輸入規制が設けられているため、輸出前に必要な許可や認証の取得を済ませることが重要です。
もしも事前の確認を怠ると、税関での輸入拒否や追加コストの発生 につながる可能性があるため、慎重にチェックしましょう。
書類を準備
海外へ荷物を送る時、荷物に貼り付ける送り状だけでは送ってもらえません。
インボイスと呼ばれる商品内容と代金、数量を記載した書類が必要になりますので、ご自宅で準備して持参しましょう。
(フォーマットはEMSのWebからダウンロードできます。)
インボイスに記載する内容
- 差出人名、住所、電話番号
- 受取人名、住所、電話番号またはメールアドレス
- 内容品名、個数、代金
- 総重量、大きさ
書類を準備する際の注意点
先方へのプレゼントだからといって、商品代金を0円と記入はできません。
たとえ家にあったものを送るとしても、0円ではなく市場価格で適正な値段を記載してくださいね。
タイの輸入規制
タイでは、下記の商品は輸入禁制品や輸入ライセンスが必要なものがあります。
必ずバイヤーや通関業者、フォワーダーにきいてタイで輸入できるものかどうか確認してから送るようにしましょう。
タイで輸入禁制品に指定されているものは下記の通りです。
- タイ到着後、75日以内に輸入許可がおりない危険物貨物
- 特定の種類の犬(ロットワイヤー、ピットブル)など
参考:PowerPoint Presentation (y-logi.com)
タイで輸入ライセンスが必要となる品物は下記の通りです。
物品 | ライセンス |
食品 | 輸入ライセンスの取得、及び保健局からの輸入許可証明書が必要。 |
タバコ製品 | 輸入ライセンスが必要。 |
医薬品、化学薬品 | 輸入ライセンスが必要。 |
ワクチン | 輸入ライセンスの取得、また食品医薬品局からの輸入許可証明書が必要。 |
動物 | 輸出前に、受取人の輸入許可手続きが必要。特に、繁殖目的で動物を輸入する場合、衛生証明書と狂犬病予防接種証明書が必要。 |
植物 | 衛生証明書が必要。輸入禁止対象の植物が多数あるので、事前の調査が必須。(輸入禁止対象植物の例:びわ、マンゴー、ニガウリ等) |
放射性物質 | タイ原子力庁から発行された輸入許可証明書が必要。 |
武器、砲弾、爆発物 | 警察省へ事前の輸入許可が必要。個数や目的等を記載した書類、特殊梱包が必要。 |
貴金属や宝石 | 輸入ライセンス取得、及びタイ銀行発行の換金許可証明書が必要。 |
商品がタイの輸入規則にそぐわない場合は、滅却処理(破壊して廃棄する方法)、または積戻し(シップバック)になりますので、タイ側で輸入もできず費用だけがかさみます。まずはバイヤーに確認するか、書類を送って通関業者に確認してもらいましょう。
小包で送る場合は、シングルカートンではなくダブルカートンを使用し、中身をしっかり詰めたらテープで封をしましょう。積替え地や到着地での商品の抜き取りを防ぐため、可能であれば、テープは珍しい色の物を使用したり、破れにくいものを使うといいでしょう。また、ラップでしっかり巻いておくるのも手です。
海外では思いのほか、手荒い扱いを受けるのでカートンの中にも緩衝材を入れるなど、念には念をいれてダメージを最小に防ぐ工夫が必要です。
海上便を使って輸送する場合は潮の影響もある場合があり、航空便でも雨で水濡れの危険性は少なからずありますのでビニールに包んでからカートンに詰めるのもいいかもしれません。その上でラップもできたら安心です。
準備ができたら、Door to Doorサービスを利用する場合は集荷をお願いするか営業所へ持ち込みします。フォワーダーに依頼している場合は、集荷に来てもらうのか、指定された倉庫まで運ぶなど指示に従いましょう。
無事に預けることができたら、送り状番号を先方にお伝えしておくとよいでしょう。送り状番号をWebで追跡していくと、送った貨物が今どこにあって、どのような手続きをされているかが分かります。
追跡サービスを行っている会社もありますが基本的に現地の代理店と直にメールのやり取りをしているので、貨物情報を聞けば調べて教えてくれますが、大手になるとカスタマーサービスと輸出業務、営業が分かれていたりして、時間が掛かることがあります。
タイ輸出の最新トレンドと課題
タイの経済状況や貿易政策は常に変化しており、輸出を成功させるためには最新のトレンドや課題を把握することが重要です。
ここでは、現在のタイ輸出の主要なトレンドと、輸出業者が直面する課題について解説します。
タイ輸出の最新トレンド
Eコマース市場の拡大
タイでは、ShopeeやLazadaなどのECプラットフォームが急速に成長しており、個人向けの小口輸出のニーズが高まっています。
特に、日本製の化粧品、健康食品、ファッション雑貨などは、その品質の良さから非常に人気です。
➡ ポイント:オンライン販売を活用する場合、現地の販売規制や物流コストを考慮する必要があります。
環境配慮型商品の需要増加
SDGsや環境規制の強化により、タイ市場ではエコフレンドリーな製品(オーガニック製品、再利用可能な包装材など) の需要が拡大しています。
➡ ポイント:環境に優しい包装材を使用することで、タイ市場での競争力を高められる可能性があります。
自由貿易協定(FTA)の活用が進む
日本とタイの間には 日タイ経済連携協定(JTEPA)があり、多くの日本製品が関税削減の恩恵を受けています。
さらに、ASEAN域内での貿易自由化も進んでおり、関税面でのメリットを活かすことが可能です。
➡ ポイント:原産地証明書(C/O)を適切に取得し、関税優遇措置を利用する。
タイ輸出の主な課題
規制の厳格化
タイでは 食品・化粧品・医薬品などの輸入規制が厳しくなっており、事前にFDA(食品医薬品局)の認可が必要なケースが増えています
➡ ポイント:輸出前に現地の輸入規制をしっかり確認し、必要な許可を取得することが重要
物流コストの上昇
世界的な輸送費の高騰や燃料価格の変動により、タイ向け輸送コストも上昇傾向にあります。特に、海上輸送のコンテナ不足や航空輸送の運賃変動が影響しています。
➡ ポイント:複数の物流業者から見積もりを取得し、最適な輸送方法を選択することがコスト削減の鍵です。
タイ国内の競争激化
タイ市場では、すでに韓国・中国製品が多数流通しており、日本製品との差別化が必要になっています。特に、価格競争に巻き込まれると利益率が低下する可能性があるでしょう。
➡ ポイント:品質やアフターサービスの強みを活かし、日本ブランドの信頼性を訴求する戦略が重要。
まとめ
タイへの輸出は、Eコマース市場の拡大やFTAの活用などのチャンスがある一方、規制強化や物流コストの上昇といった課題も存在します。
市場動向を把握し、適切な戦略を立てることが肝要となります。
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