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付加価値基準(VAルール)とは

VA(Value-Added)は、国際輸送における原産地を決定するための基準のひとつです。

このルールは、貨物が最終的な形で使用される国で加工、または付加価値が生じた場合にその貨物の元々の原産地として加工地が認識されるというものです。

付加価値基準(VAルール)は、貿易協定に基づいて異なる国々で異なりますが、

一般的には、製品の設計や開発、技術的な改良などが含まれます。

では、VAルールがどんなものなのか詳しく見ていきましょう。

1.付加価値基準(VAルール)とは?

一般的に、国内で生産される商品の原料は海外からの輸入品を使用しています。

例えば片手鍋を作る場合、海外から持ち手部分を日本に輸入して、その後国内工場では外国製の持ち手部分と日本で製造した鍋本体を特殊な技術で加工して一つの商品に仕上げます。

この鍋の持ち手部分は海外製品です。

はたしてこれは日本製品といえるでしょうか?疑問に思いますよね?

実際、この製品は日本産の原産品なのです。その秘密がVAルールにはあるのです。

2.付加価値基準の定義

付加価値基準VAルールは、国際貿易における原産地の規定の一種で、製品の生産過程における付加価値の割合に基づいて原産地を判断する規定で、貿易品の原産地に付加価値があるかどうかを判断するための基準です。

このルールでは、製品に使用される原材料の産地だけでなく、生産工程で付加された価値(人件費、技術、設備など)を考慮して、最終的な製品の原産地を判断します。この規定は、製造業を中心に広く使われており、GATT(現在のWTO)の原産地規定にも採用されています。

3.付加価値基準の目的

付加価値基準(VAルール)の目的は、製品の原産地を決定するために使用される基準を提供することです。このルールには、製品が原産地基準を満たしている場合のみ原産地証明書を発行できるようにするための規則が含まれています。貿易において原産地の証明が求められる場合に重要な役割を果たします。

4.付加価値基準VAルール(規則)の適用範囲

付加価値基準が適用されるためには域外生産品=非原産材料(外国産と日本産)の物を製造の際に組み合わせた場合、一定の値を日本で与える付加価値が超えた時に日本産とする仕組みになります。ただし、協会によってこの値は異なります。数値の平均は「40~50%」です。

具体例をあげれば100円の内、40円相当の価値部分を日本で付加していれば日本が原産国となります。

5.付加価値基準(VAルール)に含まれる物とは?

付加価値基準(VAルール)では日本で付加された価値が基準となります。

要になるのは加算の対象で、日本の工場で生産の際に使ったリソースの全てです。

日本で認められる付加価値の例

  1. 原産部材
  2. 人件費
  3. 日本の工場でかかった製造経費
  4. 工場の利益
  5. 販売費
  6. 工場から日本の港までの輸送費

金額が基準となっているので、価格に対する証明が重要になります。

・原産地証明書


原産地証明書には、自己証明(輸出者自身が証明したもの) のほか、貿易当事者以外の第三者
によるものがあります。より真実性を保証するための書類、官庁や輸出国所在の輸入領事館、輸出地の商工会議所などが第三者証明の証明書類があります。

例えば、東京商工会議所が原産地証明書を発給する場合においては、原産地証明を輸出者自身が行い、私製で発行された原産地証明の認証はサイン証明が必要です。
契約者やL/C、輸入者などから依頼があった場合などに原産地証明書が必要になります。
貿易取引される輸出品や輸入品(貨物の原産地)の国籍を証明することが目的です。
申請期間は原則、輸送手段の詳細が確定したのち船積みされるまでの期間となります。通常通りの申請であれば6か月以内、船積みしてから6か月経過し、1年以内の場合は別途典拠資料が必要になります。船積み後1年を超過した場合の、証明書の発給は原則不可ですので注意が必要です。
※サイン証明とは
任意で私文書を申請者自身が作成した際の署名が肉筆だったなら、その署名が商工会議所に登録されている署名と同一であることを証明しなければなりません。正式な署名者によって発行された書類であることを間接的に証明するためです。証明申請の前に発行者自身が書類を申請する必要があります。発行者以外の署名がある他社の発行書類では、証明申請はできませんのでご注意ください。

6.付加価値基準(VAルール)のメリット

では、付加価値基準のメリットはどんなものがあるのかみていきましょう。

付加価値基準のメリットは、製品の価値を高め、グローバル市場で競争力を維持するための規制を確立することです。このルールに基づいて、製品の付加価値を高め、輸出品の品質を確保し、製造プロセスの改善を促進することができます。VAルールに従うことで、企業は製品の品質を向上させ、信頼性を高め、国際市場での評判を確立することができます。

そのため、VAルールは透明性を高め、取引における信頼性を確保することができるのです。

7.VAルールの厳守に関する規則

 

付加価値基準VAルールの厳守に関する規則は、WTO(世界貿易機構)の条約である「原産地規則に関する協定(ROO)に基づいています。RCOには、原産地を決定するために必要な要件が明示されており、これらの要件を厳守することが求められています。

また、VAルールの場合、加工工程に関する規則を守ることが求められます。具体的には、原材料や部品の輸入国と輸出国の加工工程に関する情報を正確に記録・報告することが必要です。

これにより、製品の原産地を適切に判断することができます。厳守に関する規則に違反した場合、輸出入業者に対して罰則が課せられる場合があります。

8.原産地の判定

原産地の判定は原則、申請者ご自身が確認のうえ、申請を行い原産地証明書を用意します。
万が一、虚偽が発覚した場合は登録抹消、証明発給停止などの罰則が科せられますので、申請に当たっては十分にご注意ください。

9.VAルールの違反とその手続き

VAルールの違反とは、仮に違反してしまった場合どうすればよいのか?みてみましょう。

付加価値基準VAルールの違反としてはVA基準に基づいていない原産地証明書の提出や、VA基準にもとづいていない計算方法でVA値を産出することが挙げられます。また、VAルールに違反した場合、関税の支払いを求められることがあります。

違反が発覚した場合は、当局に報告しなければなりません。当局は、関税の再評価を行い、必要に応じて違反行為に対して罰則を科します。罰則は、違反内容によって異なりますが、関税の支払いや、税関の処分を受けることがあります。

まとめ

付加価値基準VAルールは貿易において原産地を判断するための基準の1つであり、生産プロセスにおける付加価値基準の割合を元に原産地を明確にすることができ、輸出入において税制上優遇措置をうけることができます。ただし、ルールの厳守が求められ、違反した場合は、規則や罰則が科せられることもあります。また、VAルールには例外規定があり、特定の場合においてはVAルールの適用が免除されることもあります。

国際貿易には様々なルールや規定があり複雑です。その都度的確に対処することが大切です。

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