世界でたった一つ、唯一無二の美術品。
日本だけでなく世界に作品を届けたい!また世界の素晴らしい作品を日本で紹介したい!と博物館や美術館で展示が開催されることもあります。
昨今では、国際輸送のサービス向上で、本物の作品に触れる機会が増えています。
デジタルで画面を通して、または写真でしか見られなかったようなものが、日本の博物館で特別展が開催されたりしています。
さて、このような美術品の輸送はどのように行われているのでしょうか。
今回は、個人で製作されているかた向けに、美術作品の輸送時のポイントや料金、送る前の注意点などをご紹介します。
目次
「美術品」に含まれるもの
書画・彫刻・工芸など、美術の作品を思い浮かべる方も多いと思います。
歴史上重要な作品ももちろんですが、現代の絵画、彫刻、陶芸、工芸、デザイン、骨とう品(アンティーク)、一点ものの作品なども輸送のなかでは美術品として扱われることが多くあります。
それぞれの美術品は一点ものなので輸送もその美術品にあわせて手配する必要があります。
見本市へ出展される新作の商品などは、美術品としての価値もありますがそれよりもカルネを使用した国際輸送をお勧めしています。
イタリアの75年以上を経た家具の1点ものの輸送もあり、美術品というのもどこからどこまでがそのくくりになるか決められるものではないのが実情です。
どのような手段で運ぶの?
日本から海外へ小包を発送する方法は、大きく下記のような方法があります。
- 美術品の専門サービスを利用する。
- フォワーダーに依頼する。
- 美術品の専門サービスを利用する。
美術品を扱う国際輸送業者はあまり多くなく、美術品輸送に特化した業者やサービスを持った大手企業が扱っています。
美術品輸送 | 専門輸送 | 物流サービス | 日本通運 (nittsu.co.jp)
1977年に結成された、世界34か国76社が加盟する美術品輸送規格水準向上を目的としたICEFAT(International Exhibition and Fine Art Transporters)に加盟している輸送業者もいます。
ロジスティクス事業 | カトーレック株式会社 (katolec.com)
フォワーダーに依頼
フォワーダーとは、国際利用運送事業者のことで、お客様からの貨物をお預かりし、他の業者の運送手段(船舶・航空・鉄道・トラックなど)を利用し、貨物輸送を行う事業者のことです。ちょっと大きな荷物になってしまった場合で費用も抑えたい時は、国際貨物輸送のプロ(フォワーダー)に尋ねると大きな力になってくれます。航空便と船便、どちらも手配可能なフォワーダーがいいでしょう。
フォワーダーは世界各国に代理店を持っており貨物が輸送する国へちゃんと届けられているか、また現地の出荷が予定通り行われているかの確認や、梱包業者、通関業者との繋がりもあるので梱包も最適な荷姿で仕上げることが可能です。
手続きや書類の準備
手続きはまずどんな美術品なのか商品を知る事から始めます。商品の特徴をつかみ、どのような目的で輸出される(または輸入される)のか、納期があるのかないのか、個人使用なのか商用なのか、様々な背景をお聞きし、最良の方法を見つけ出します。
ここでは、木を用いた美術品について日本からイタリアの輸出でお話したいと思います。
輸入可否を調査
日本の国内輸送ではあまり問題にならない木の種類。国際輸送では木の種類を特定し、輸入したい国に輸入できるか調べる必要があります。
木の種類について調べるのはなぜか?それはこの条約があるからなんです。
ワシントン条約、これは1975年7月1日に発効した条約ですが、CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約で、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的としています。
輸出したい商品の木がこの条約規制対象に含まれてないか、まずは輸出国で調べなければなりません。
調べ方は、以下の通りです。
1.学術名を特定する。ラテン語の学術名を調べておきましょう。
2.付属書(リスト)を確認する。
3.付属書(リスト)に掲載されている対象種の場合は、輸入・輸出で外為法の手続きがあります。
4.付属書(リスト)に掲載されていない種の場合は、ワシントン条約に係わる手続きは不要ですが、当該貨物がワシントン条約で規制されていないことを税関が容易に確認できるよう、INVOICEなどに記載しましょう。税関が容易に確認できるようにするには、規制対象外であることがわかる具体的な内容、例えば学術名や原産国や飼育されたものなどを表示するのがよいでしょう。
輸出国でワシントン条約の規制対象に含まれていないようであれば、輸入国でも同様に輸入できるか確認しましょう。(特に木の輸入には厳しい国もありますので、注意が必要です。)
また、個人の方向けの特例制度もあります。
個人の方向けの特例制度に関する情報 (METI/経済産業省)
輸送方法の検討
木の種類が特定できたら、輸送方法を検討していきましょう。
航空輸送をするのか、海上輸送でおくるのか。日本からイタリアへ送る場合を考えると、航空輸送だと商品の集荷から現地への到着まで直行便だと、輸出通関や輸入通関で問題が無かった場合1週間~10日、経由便だと10日~15日くらいで到着しますが、海上輸送だと50日~60日も掛かります。最近は積替え地での混雑もあり更に一週間かかることもあります。海上を運航するコンテナ船のコンテナ内は50℃にもなります。温度管理のできるコンテナもあるので適温に保ったコンテナを使用するのがよいでしょう。LCLで温度設定しているサービスはないので、コンテナ1本を使用することになりますが、他の貨物と一緒になることがないなど利点もあります。
梱包
次に、梱包をどのように行うか検討します。木は湿気、水濡れ、乾燥、また振動で割れたりしないよう厳重に梱包しなければなりません。緩衝材だけでなく乾燥剤を同梱したり、角当てで商品を固定したり、国際輸送に耐え得るしっかりした梱包にする必要があります。
保険の付保
最後に、保険を付保するのを忘れないようにしたいものです。保険は盗難保険のみでなく、保険会社によっていろいろなサービスがあるので、輸送途中の破損や汚損などもカバーしてもらえるものが良いでしょう。
書類の準備
書類の準備は、インボイスと呼ばれる商品内容と代金、数量を記載した書類が必要になりますので、ご自宅で準備しましょう。また自身で梱包した場合は、パッキングリストも作成します。(見本市へ出展するのであれば、カルネも申請するとよいでしょう。)
インボイスに記載する内容
- 差出人名、住所、電話番号
- 受取人名、住所、電話番号またはメールアドレス
- 内容品名、個数、代金
- 総重量、大きさ
- 送るものがワシントン条約の規制外であることの記載(あれば)
書類記入時の注意点
先方へのプレゼントだからといって、商品代金を0円と記入はできません。
たとえ家にあったものを送るとしても、0円ではなく市場価格で適正な値段を記載する必要があります。
あとは、フォワーダーに依頼して発送をしましょう。
フォワーダーに依頼した場合は、追跡サービスを行っている会社もありますが基本的に現地の代理店と直にメールのやり取りをしているので、貨物情報を聞けば調べて教えてくれます。
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