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EUの関税撤廃について 概要や国際輸送への影響を徹底解説

2019年2月1日に日EU・EPAが発効しました。

日EU・EPA発効が国際輸送にもたらす大きな変化の一つとして、日EU間における関税が最終的に撤廃になることがあります。

工業製品に関税がかからないようになるだけでなく、日本からEUに輸出される農産物についても関税がほぼかからなくなります。

2017年にはEUから約2,800億円の関税を課されていたことを考えると、日EU・EPAを活用することによるコスト削減効果は大きなものになるでしょう。

関税撤廃にともない、輸出入の際に日EU・EPA特恵税率の適用申請を行う機会も増えてきています。

本記事では、日EU・EPAの概要、輸出と輸入で特恵税率の適用申請を行う際の流れについて解説します。

日EU・EPAの概要

EPA(Economic Partnership Agreement)とは、特定の国同士、または、地域間で結ばれた経済連携協定のことです。

EPAは貿易と投資の促進を目的に投資環境の改善や、輸出入時の関税の削減と撤廃について取り決めています。また、労働ビザの規制を緩和することで人的交流を増やすことも目的としています。

日EU・EPAが貿易にもたらすメリットをまとめました。

  • 関税減免によるコスト削減で価格競争力が向上するだけなく、商品の入手も容易になる
  • 中小企業が海外進出しやすくなる

日EU間で電化製品、自動車、食品などの多岐に渡る製品への関税撤廃が進んでいるため、自社の扱う製品にEPAが適用されるか、実際にどれくらいの関税減免が受けられるかを正しく把握しておくことが重要です。

次に、実際に日EU・EPA特恵税率の適用申請をする際の流れを輸出と輸入でそれぞれ解説します。

輸出における日EU・EPAの流れ

日本からEUに商品を輸出する際に、関税の減免を受けたい場合は、下記の流れで手配を行いましょう。

  1. 商品のHSコード(関税分類番号)を調べる
  2. HSコードから商品の関税率を確認する
  3. 日本が原産地であることを証明する書類を用意して申請を行う

HSコード(関税分類番号)を特定する

HSコードとは、輸出入される商品を分類する番号のことで、関税率や原産地ルール、適用される法令を調べるのに用いられます。

HSコードはWHO(世界税関機構)が定めた番号であることから、日本とEUを含めたほぼ世界中で使用されています。

輸出時にHSコードを調べたい時は、EU側の輸入者に確認してもらうのが効率の良い方法です。

関税率を確認する

HSコードが分かったら、次は関税率を調べます。

関税率を調べる際には下記の2つの税率を確認しましょう。

  • 最恵国税率(MFN):WTO加盟国に対して、WTO税率、基本税率、暫定税率の中から、最も低い税率を適用するものです。
  • 日EU・EPA特恵税率:日本、またはEUが原産地の商品に対してEPAに基づく特別税率を適用します。

ここで注意が必要なのは、最恵国税率(MFN)の方が、日EU・EPA特恵税率よりも税率が低い場合があることです。

日EU間の関税は将来的には撤廃されますが、輸出する商品に現在どれくらいの税率が適用されているかを確認しておくことが必要です。必ず上記2つの関税を比較するようにしましょう。

両税率共に、WorldTariffというデータベースから検索が可能です。WorldTariffは、日本貿易振興機構(ジェトロ)のホームページを通して登録を行えば、日本の居住者は誰でも利用できます。

日本貿易振興機構(ジェトロ)のホームページ

日本が原産地であることを証明する

輸出する商品に対して特恵税率の適用を希望する場合は、下記の2つの条件を満たしていることが必要です。

  • 原産地基準と品目別原産地規則(PSR)に適合している
  • 原産地基準と品目別原産地規則(PSR)への適合を証明できる

それぞれについて解説します。

原産地基準と品目別原産地規則(PSR)に適合している

下記の3つの基準のいずれか、または、複数を満たしていることです。

  • 完全生産品であること

農産物、水産物、天然資源といった完全に日本国内で得られた産品のことです。

  • 原産材料のみが生産に使用された商品であること

日本国内で生産された材料(一次材料)のみが使われた産品をいいます。

  • 品目別原産地規則(PSR)を満たした商品であること

品目別原産地規則(PSR)とは、日本が原産地でない材料(二次材料)に対して、日本国内の製造地で「実質的な変更」を加えた場合、完成品を日本の現産品とする制度のことです。

例えば、日本が原産地でない金属を材料にして、日本国内で包丁を製造した場合は「実質的な変更」になるため、包丁は日本の原産品となります。

「実質的な変更」であるとする基準は主に下記の3つです。

  • 関税分類変更基準:非原材料に対して関税分類番号(HSコード)が変わるほどの変更が加えられたため、完成品には完全に別の関税分類番号が使用される

注)関税分類番号が何桁変われば原産性を認められるかは品目により

  異なるので、後述の「附属書3-B 品目別原産地規則」を参照して下さい。

  • 加工工程基準:非原産材料に対して特定の加工(化学反応など)が加えられている
  • 付加価値基準:一定以上の付加価値が非原産材料に対して付加されている

品目別原産地規則は日本とEUで共通のため、下記の外務書発行のガイドラインを参照してください。

附属書3-B 品目別原産地規則

なお、日EU・ EPAにおける品目別原産地規則(PSR)には、品目による違いだけでなく、例外規定、救済規定もあります。

本記事では全てを紹介しきれないため、日本貿易振興機構(ジェトロ)の日EU・ EPA解説書をお役立てください。

日 EU・EPA解説書

原産地基準と品目別原産地規則(PSR)への適合を証明する

日EU・EPAの特恵税率の適用したい場合は、EU側の輸入者が現地の税関に適用を要求することが必要です。

現地税関に原産地の証明をする方法は下記の2つの中から選ぶことができます。

  • 日本の輸出者が作成した宣誓文入りインボイスと、原産性の根拠を証明する書類を提出する

「日本の輸出者」とは製品の輸出者、または、生産者のことをいいます。

輸出者は下記「附属書 3-D」の文言が記載された宣誓文入りインボイスを作成します。24言語ありますが、内容は共通です。

附属書 3-D(24言語 英語での作成を推奨)

合わせて、原産性の根拠になる資料の用意も必要です。

宣誓文入りインボイスの原紙は輸入者に送り、インボイスコピーと資料は輸出者で保管します。

協定により、輸出者は関連書類を作成日から最低4年間保管することが必要です。

輸入者が宣誓文入りインボイスの原紙を現地税関に提出し、特恵税率の適用を申請します。

  • 輸入者の知識を基にした申請

輸入者が輸入品の原産地が日本であるという知識を基に税関に特恵税率の適用を申請します。

輸出者からの宣誓文入りインボイスは必要ありません。もし、税関から確認が入った場合は、輸入者で根拠書類の提出を行います。

輸入者が問い合わせの窓口になるため、輸出者は予め全ての必要情報と資料を輸入者に渡すことが必要です。関連資料の保管は輸入者で行います。

通常のEPAのように日本商工会議所発行の原産地証明書を使用せず、自己申告で特恵税率適用申請を行えることが、日EU・EPAの大きな特徴の一つです。

画像URL:https://unsplash.com/photos/pyzjoMvyCmw

輸入における日EU・EPAの流れ

EUから日本へ輸入を行う際の流れは基本的には輸出と共通しています。

  • 関税分類番号(HSコード)から特恵税率の対象になっているかを確認する

輸入貨物の6桁のHSコードと、3桁の統計細分を基に、下記税関ホームページにある実行率関税表より確認できます。

実行率関税表

  • EU域内が原産地であることを証明できる根拠書類を用意する

輸入貨物が完全生産品、EU原産材料だけを使用した産品、品目別原産地規則(PSR)に適合する産品のいずれかに該当していることを証明する根拠書類が必要です。

  • 輸入申告を行う

輸出者による申請である場合と、輸入者の知識による申請である場合で、申請に使う書類が異なっています。

  • EUの輸出者で申告書を作成する場合は、インボイスに付属書 3-Dに定められている「原産地に関する申告文」の文言と、輸入貨物がEU現産品である根拠を示す情報を記載する

   付属書 3-D (日本語)

   付属書3-D (24言語)

  • 日本の輸入者で申告書を作成する場合の書式は任意

※税関で書式の見本を公開しているのでご参照ください 

 書式の見本と注意事項

また、申告書以外にも、輸入者が入手できる範囲で、輸入貨物がEUを原産地とすることを示す根拠書類が必要です。

根拠書類の提出責任は、輸出者申告の場合と、輸入者申告の場合で異なるので注意が必要です。

  • 輸出者で申告書を作成した場合、輸入者は入手可能な範囲の根拠資料の提出ができればよい。根拠資料を用意できないことで特恵税率の適用が認められなくなるものではない。
  • 輸入者で申告書を作成した場合、輸入貨物がEUを原産地とし、特恵税率の適用を受けられる根拠となる情報を入手していることが必要です。

その他の輸入通関における留意事項をまとめました。

  • EUからの輸出後〜輸入申告前までの間に、輸入貨物に変更を加えないこと

※貨物の品質を良好に保つための一定の工程は認められていますが、

 税関に事前確認をした方がよいです。

  • EUから日本への輸送の際に非原産国を経由した場合は「運送要件証明書」を提出すること

※運送要件証明書とは、輸送時に非原産国を経由する際に、該当国の税関の管理下に

 ある場所のみで一時保管と積み替えを行なったことを証明する書類のことです。

  • 輸入貨物に対する課税価格が総額20万円以下の場合は、現産品申告書と根拠書類、及び、運送要件証明書の提出は必要ありません。

まとめ

日EU・EPA発効により、特恵税率適用申請に関わる手配が国際輸送業務に新たに加わることとなりました。

自社で取り扱う商品にEPAが適用されるか、他の税率と比べて有利なものか、申請に際する要求事項は何かを正しく理解して、有効に活用していきましょう。

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