「1006.10」
いきなりですが、この数字の羅列はいったい何を表しているかわかりますか。
実は、この数字はHSコードといって、国際貿易において使われている貨物の分類番号です。
HSコードを知っておくと、数字の羅列を見るだけでどのような製品が輸出入されるかを判断することができます。
円滑な貿易取引において欠かせないHSコードの特徴や、その使い方をご紹介します。
目次
HSコードとは?
HSコードとは、貿易業務で使用される貨物品目の分類番号のことです。このコードを基に輸出入の関税率が決められます。
HSコードは、HS条約という「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」に基づいて定められていて、貨物のジャンルや製品状態を細かく表します。
HS条約の加盟国は同じHSコードを使うため、国際貿易で無くてはならない存在なのです。HSコードは、「輸出入統計品目番号」「関税番号」「税番」「通関統計」などとも呼ばれます。
HSコードの特徴
全世界で通用するHSコードの特徴を5つご紹介します。
HSコードの特徴①6桁の数字
HSコードは、6桁の数字の羅列です。例えば、「チューイングガム:1704.10」「グランドピアノ:9201.20」といったように表記されます。
6桁以降のHSコードは各国独自のコードとなっていて、日本は統計細分の3桁と電子申請を意味する記号の1桁を加えた10桁までコードが存在しています。
HSコードの特徴②世界200ヶ国で共通
2022年現在、HS条約には世界で150ヶ国以上が加盟しています。加盟国以外にもHSコードを使う国があるため、それらを含めると共通のコードを使う国は全世界で200ヶ国以上にのぼるのです。
HSコードは貿易界において世界共通言語であると言えるでしょう。6桁の数字を見るだけで輸出入する貨物の詳細や関税率がわかるため、スムーズな貿易やりとりに貢献しています。
HSコードの特徴③約5年で改正される
HS条約の加盟国のなかで、約5年ごとにHSコードの見直しをすることが決められています。この改正は、関税率の見直しや品目の新設が主な目的です。
最新の改正は2017年1月1日にされていて、ハイブリット自動車やLEDランプといった品目が新設されました。新しい関税率は、改正された1月1日時点で適用になります。
HSコードの特徴④製品の分類で関税率が決まる
関税率は製品のHSコードによって決められています。貨物のHSコードを特定できないと、関税額を計算することができません。
HSコードの特徴⑤24時間ルール
EUやアメリカへ輸出するときには、24時間ルールが定められています。船積みの24時間前までに、輸出先の税関へHSコードを含めた貨物情報の送信を行わなければなりません。
HSコードの分類
6桁で構成されるHSコードは、「類」「項」「号」の3つに分類されます。
まず最初の2桁で表される「類」は、第1〜99類まであります。類は、製品のジャンルを大まかに分けたものになっていて、動物・穀物・美術品などの種類によって番号が割り振られています。
ついで「項」は、「類」の次の2桁で表されています。類で分類されたジャンルをより細かく分けたものになっていて、穀物ジャンルであれば小麦なのか、ライ麦なのか、米なのか、といった製品の形態を示します。
最後に「号」は、6桁の最後の2桁で表されています。号では、項で分類された製品の原料や材質を示したものになっていて、「類:穀物」「項:米」「号:玄米」といったようにHSコードは6桁で製品を細かく定義してくれるのです。
HSコードの使い方
HSコードは、輸出入の申告時に輸出国・輸入国ともに使われます。そのため国によってHSコードの解釈が異なると、関税率が変わってくるため大変です。
HSコードの使い方として、一般的には輸出入のときに通関士がHSコードを選定します。選定の過程において、あらゆる種類の貨物が世界でやりとりされているため、品名だけでHSコードを判断できないこともあるのです。
その場合には、過去の実績を照会したり、原料などの製品情報を細かく調べたりすることでコードを特定していきます。HSコードの選定に迷ったときには、税関に問い合わせることも可能です。
HSコードの調べ方
HSコードと関税率は、税関HPより調べることができます。
税関のHPの中央「品目分類について調べたい」というメニューから、「実行関税率表」ボタンへと進み、関税率の一覧ページに飛びましょう。第1類〜第97類までがジャンルによって分類されているので、とても見やすく作られています。
もし特定の製品だけのHSコードと関税率を調べたい場合には、「品目分類について調べたい」というメニューから、「事前教示回答(品目分類)を調べる」を選択しましょう。
次に「事前教示回答(品目分類)検索画面へ」というボタンが最上部にでてくるので、調べたい貨物や製品を直接入力して検索できます。例えば「不織布マスク」を調べたい場合には、検索ボックスに「不織布マスク」と入れて検索します。そうすると、「不織布マスク」に関連した、今まで税関に寄せられた質問内容や処理内容、そのHSコードに至った経緯などがデータベース化されています。
不織布マスクにも色々な種類があるので、もし事前教示回答の検索でピッタリのHSコードがヒットしない場合は、アメリカ税関HPのHSコード事前教示のデータベースで調べてみましょう。日本より大きい貿易国ですので、莫大な量のデータを検索することができます。
EPAを結んでいる国との貿易
EPAとは自由貿易協定のことです。EPAを結んでいる国への輸出のときには、原産資格を満たすことで関税率に優遇を受けることができます。関税の優遇を受けるためにも、原産地証明書にHSコードを正しく記載することは大切です。
HSコードが輸出国と輸入国で異なることも…
世界共通言語のHSコードですが、まれに輸出国と輸入国で異なることがあるのです。
一般的に、HSコードから製品の詳細を確認したいときは、関税率表と照会するだけで簡単に製品の特定ができます。一方で、製品情報からHSコードを特定するときには、専門知識が必要なため難易度が高くなります。輸出国が主張するHSコードが輸入国と異なることや、はたまた輸入者と税関のHSコード認識が異なることがあるのです。
HSコードの認識が異なると関税率や輸入規制の審査が変わってくるので、トラブルの原因となります。製品の素材を正しく認識し、必要な情報を収集することが大切です。
まとめ 世界共通言語である「HSコード」
知らないとただの番号の羅列でもある「HSコード」には、スムーズな貿易やり取りに欠かせない役割がたくさんつまっています。
HSコードの特徴をまとめると、以下の5つです。
①6桁の数字
②世界200ヶ国で共通
③約5年で改正される
④製品の分類で関税率が決まる
⑤24時間ルール
輸出入手配を行う通関士を担う場合には、HSコードの特徴や概要、どのように使われているかなどを理解しておきましょう。
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