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輸出貿易管理令とは 分かりやすく解説

近年は輸出・輸入を個人で行うなど、気軽に貿易が行えるようになりました。
ですが、輸出にはしっかりとした法律があり、理解・遵守が必要です。

特に大量破壊兵器や武器などの製造に関わる恐れのあるものは、厳格に取り締まっています。
輸出者にその気がなくても、無意識のうちに危険なものを輸出している可能性もあるので、注意が必要です。

この記事では、輸出貿易管理令という法令についてくわしく解説しています。
輸出に関するルールをしっかりと学びたいという方は、ぜひご覧ください。

輸出管理はなぜ必要か

個人取引が増加するなど、近年では輸出・輸入が身近なものになっています。
そのため、輸出についてのルールをあまり知らずに取引している方も多いでしょう。

輸出を行う際は、商品が法律に即しているか、抵触していないか必ず確認することが必要です。
その理由をくわしく見ていきましょう。

昨今の世界情勢の変化

最近の世界情勢は目まぐるしく変化しています。
ロシアとウクライナの戦争、北朝鮮によるミサイル発射、中国と台湾の緊張関係等、さまざまな不安要素があります。

このような情勢下では、外国に危険な物や技術を渡さないように、しっかりと輸出を管理することが必要です。

平和・安全につながる

大量破壊兵器や、武器につながる物や技術を国外へ出さないということは、間接的に平和・安全のために貢献していることになります。

適切な輸出管理をすることで、現在起こっている戦争・紛争を拡大させないことができます。
また、今後戦争・紛争などが起こりうる可能性のある国や地域への輸出を管理することで、事態の悪化を防ぐことにもつながるでしょう。

自社の事業を守ることができる

貿易をメインに事業を展開している会社は、輸出管理を徹底することで自社の事業を守ることができます。

輸出管理をしっかり行っていないと、気がつかないうちに危険なものを輸出している可能性も出てきます。
法令にふれるものを輸出してしまうと、厳しい罰則や自社のイメージダウンなど、よいことがありません。
今後の会社経営にも影響が出るでしょう。

経営を順調に行うためにも、輸出管理をしっかりと行うことが必要です。

輸出貿易管理令とは

輸出貿易管理令は、大量破壊兵器や武器の製造に関わる可能性のあるものの、輸出を規制する法令です。
外国為替及び外国貿易法(外為法)という法律に基づいて制定されています。

日本やその他の先進国は、大量破壊兵器や武器の製造に関わる物や技術の流出を、防がなくてはなりません。
そのため国際輸出管理レジームという、世界的な枠組みを作って輸出に対する規制を行っています。

外為令とは

外為法で規定されている法令は、輸出貿易管理令の他に外為令というものがあります。

外為令は、輸出貿易管理令と同じく、大量破壊兵器や武器に成りえるものの輸出を規制する法令です。
輸出貿易管理令は、「もの」を規制する法令でしたが、外為令は「技術」を規制する法令になります。

具体的には、設計図などの図面や製造方法を記したものの提供などがあります。

輸出貿易管理令と共に、輸出規制に関する法令ということを覚えておきましょう。

該非判定

輸出の際は、輸出貿易管理令に該当しているかどうかをチェックする必要があります。
この判定のことを「該非判定」といいます。

輸出しようとしている者は、経済産業省が発行している「貨物・技術のマトリクス表」を確認し、輸出物が規制対象になっていないかを判断しなければなりません。
規制対象ではなかったときは、「非該当証明書」を発行して輸出をすることが可能になります。

また、規制対象に該当したときは、輸出するには経済産業大臣の許可が必要です。

参考:経済産業省・貨物・技術のマトリクス表
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/matrix_intro.html

リスト規制とキャッチオール規制

外為法では、リスト規制とキャッチオール規制で輸出品目の規制を行っています。
リスト規制とキャッチオール規制は、それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

リスト規制

リスト規制とは、リストによって輸出規制品目を記したものです。
リスト品目は第1項から第15項まであります。
大量破壊兵器や武器に転用されそうなものが対象です。

リスト規制に掲載されているものを輸出するときは、経済産業大臣の許可が必要です。

参考:新潟大学・リスト規制一覧
https://www.niigata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/02/beppyouyouyakuban02.pdf

キャッチオール規制

リスト規制の対象外だからといって、すぐに輸出ができるわけではありません。
リスト規制の対象外のものは、全てキャッチオール規制の対象になります。

キャッチオール規制は、食料や木材・紙製品などの軍事転用される可能性の低いもの以外に適用されます。

ホワイト国とは

特定の国への輸出は、キャッチオール規制の対象から外れています。
これらの国はホワイト国(現在ではグループA)と呼ばれ、輸出に関して優遇されています。

大量破壊兵器等に関する条約や、国際輸出管理レジームに参加している26カ国が対象です。

参考:関西大学・グループA
https://www.kansai-u.ac.jp/renkei/industry/format/asset/index/form_00021.pdf

輸出貿易管理令に違反するとどうなるか?

輸出貿易管理令は、大量破壊兵器や武器に関するものの輸出を規制する、とても重要な法令です。
違反すると外為法違反となり、厳しい罰則があります。

懲役は10年以下、罰金は法人だと10億円以下というとても厳しい罰則です。
違反をした理由を問わず課せられるので、法令を知らなかったでは済まされません。
また、企業名や代表者名なども公表されるので、今後の経営にも大きな影響を及ぼします。

輸出の際は、規制対象ではないか必ずチェックするようにしましょう。

まとめ

世界情勢は日々変化しています。
以前では想像できなかった戦争が起きるなど、国際平和に対する関心は高まっているといえるでしょう。

大量破壊兵器や武器を製造させないためには、原料となる物や技術を提供しないことが重要です。
輸出貿易管理令をしっかりと理解して、正しい貿易活動を行いましょう。

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