「ほしょう」という単語が表す意味は複数あります。
例えば、借りていた図書館の本をなくしてしまった場合、自分で購入して弁償しなければなりません。
この時に使われる「ほしょう」を漢字にすると「補償」です。賠償ともいわれます。
また医療保険といった保険業者がもしもの時に積み立て金に代わってくれる「ほしょう」は、漢字にすると「保障」です。
他にも、電化製品をなどを購入した時にメーカーが修理を無料でするといった「ほしょう」は、「保証」です。
このように「ほしょう」には様々なものがありますが、国際輸送でも補償状と保証状が存在します。
少しややこしいですが、これらの違いを知ることで、国際輸送をより深く知ることができます。
国際輸送では、国による言語や文化、商習慣の違いがあり、それらを乗り越え、安全で信頼性に満ちた契約と取引を成り立たせなければなりません。
また、海上輸送の環境は海上です。天候や国際情勢によって大きく影響を受けます。
このように不安定な貿易を安全に行うために必要になってくるのが、補償状・保証状です。
目次
補償状L/Iとは
補償状とは、取引相手の損失により弁償される、賠償できることを約束した書類です。
正式名称はLetter of Indemnityで、略してL/Iと表記されます。ちなみに、indemnityは補償という意味です。
具体的にどのようにに利用されるのかというと、輸入者である貨物の受取人が受け取った貨物にもしも契約数よりも過不足があったり、貨物そのものにダメージがあっても、クレームを述べないことを約束するレターです。
貨物によってどうしても避けられないダメージ、多少の過不足には目をつむり、スムーズな取引を完了することを目的としています。
補償状L/Iは貨物を受け取る輸入者が約束するレターです。
補償状を使用するのはいつ
補償状を使用する機会は、B/L原本を発行してもらうときです。
B/Lの発行について
ここでB/Lの発行について説明を加えると、B/Lは輸出者が貨物を船会社に預ける際に発行します。
発行された原本のB/Lは、取引相手である輸入者の手元に届けます。注意が必要なのはB/Lの原本は貨物と一緒に移動するのではなく、貨物とは別に取引相手の元に航空輸送で1足先に届けられるという点です。到着した貨物の受け取りと引き換えにB/Lが必要だからです。貨物の受取人であることをB/Lが証明します。
L/Iを使用する機会について整理すると、B/Lの発行と同時に受け取る貨物に多少ダメージや過不足があっても文句はいいませんと約束するものです。貨物の過不足・ダメージがあっても届いた貨物を受け取ることを輸出者に補償します。補償状を受け、貨物は船積みされ、港を出発します。
補償状について1つずつ確認していきましょう。
輸出者の立場にとっての補償状
輸出者にとって、輸送中のダメージはどうしても防げない可能性もあります。
輸送するものによっては、気候による荒天や船積み貨物によってはダメージを受けやすいのもあります。
長期間の輸送により容積の変動もあります。補償状は、そうした可能性のあるものを補償してくれます。
国際輸送の取引において非常に重要な書類といえるでしょう。
保証状L/Gとは
次は、保証状です。
保証状は、取引の前に確実に保証することを明示した保証です。
保証状の正式名称はLetter of Guaranteeです。略してL/Gと表記されます。Guaranteeの訳は保証です。
貿易においての保証状とは取引者間でもしもの損失がおきた場合に備えて保証を取り決めておきます。取り決めの詳細を明確に提示したのが保証状で決める直接的なという働きがあります。
ここからは、具体的にどのように保証状を使用するのかを説明します。
保証状の種類
保証状の役割は、大きく分けて以下の3種類です。
- B/Lの訂正
- 信用状の訂正
- B/Lの代行
輸入者にとっての保証状
保証状があることで、輸入者は貨物を予定通り受け取ることができます。
取引をする双方の立場によってその効果が違うのは分かります。
2つの種類の「ほしょう」を必要とする海上輸送は、それだけ国に違いによる言語や文化、商習慣の違いをも乗り越えて安全で安心、信頼できる取引を可能にするために必要な書類だといえます。
B/Lを訂正する
保証状L/Gの働きの1つめは発行したB/Lに記入漏れやミスに気づいた場合に使用するための保証状です。記入漏れやミスを正確な内容に訂正し、差し替える働きがあります。
もしB/Lの記載にミスがあれば貨物を受け取ることは出来ません。
もしも記載にミスがあってもL/Gがあれば、差し替え貨物を無事受け取ることができます。
当事者間で保証する内容になっています。
信用状の訂正
信用状取引においての差し替えようのL/Gです。銀行が発行する信用状に記載の漏れやミスがあった場合急いでL/Gを作成し差し替えます。
信用状は、輸入者に対して貨物を保証し、輸出者に対して代金の徴収を保証しているのが特徴です。
輸出入をそれぞれ第三者機関である銀行が保証してくれることで安心して契約・取引を可能にします。
B/Lの代行
保証状には、貨物が届くときと、B/Lが輸入者の手元に届くときのタイムラグにも対応を可能にしてくれる働きがあります。
通常であればB/Lが輸入者の手元に先に届いていて、貨物が届き引き取るのと引き換えにB/Lを差し出します。なんらかのトラブルで順番が逆になる場合があります。そんなときに役に立つのが保証状L/Gです。荷物が届いたのにB/Lが手元に届いてなくて貨物を引き取ることができないということを防ぐことができます。B/Lの代行としてL/Gを差し出せば無事貨物を受け取ることができるのです。
このように、保証状はもしもの時に損失を保証してくれます。
無くてはならない書類とは異なり、オプションのような働きをもっています。
補償状と保証状の違いとは
最後にもう一度、補償状と保証状の違いをまとめてみましょう。
補償状は、輸入者が届いた貨物に多少の過不足やダメージがあってもクレームをつけないことを約束する書類です。
保証状は、B/Lや信用状の代用を可能にします。B/Lや信用状に記載漏れやミスがあった場合、訂正し差し替えるための保証状です。
おさえておきたいポイント
補償状と保証状の違いにおいて、おさえておきたいポイントは輸出者によるものか、輸出者によるものかです。
補償状は貨物を受け取る輸入者が過不足やダメージを補償することです。保証状は重要書類の差し替えとしての働きをすることです。この違いのポイントは海上輸送にとって重要な役割があります。
海上輸送の輸送環境は海上という自然環境に左右されるだけでなく、国際情勢によって大きく影響を受けるということです。
取引相手に対し安全な貨物の輸送と、もしもの時は状況によって対応する補償と必ず保証することを約束すると明示するために必要です。
まとめ
海上輸送のとりまく環境は複雑で、困難さを感じる機会も少なからずあります。こうした状況にも対応できるように備えているのが「ほしょう」に関わるレターです。
補償と保証、表す意味を確認しながら、説明をしてきました。万が一の損失に備えておくことで、契約取引をスムーズに進めることを可能に安心した取引をすることができます。
補償状と保証状の違い、内容や特徴に目を向けることで貿易の理解も深まることでしょう。
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