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税関検査とは 貿易における税関検査の目的や種類、費用など詳しく解説

貿易で製品の輸出入を行う際、税関検査が発生する場合があります。

税関の主な役割は大きく分けて以下の2点がございます。

  • 社会の安全を脅かす薬物、食品、知的財産侵害物品、武器の輸出入を取り締まること
  • 日本への輸入品に対して適正な関税、消費税の賦課と徴収をすること

貿易業務という観点では、税関検査は金銭的、時間的なコストをもたらすだけでなく、適切な対応をしなければ企業としての社会的な信用にも影響を与えるものです。そのため、税関検査について正しい知識を持つことが必要です。

この記事では、どのような場合に税関検査になるか、税関検査の目的と種類、検査の費用や流れ、どれぐらい時間がかかるかなども含めて詳しく解説します。

税関検査の対象はどのようにして決められるか

現在の輸出入における通関手続きは、ほぼ全てNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を通して行われています。

NACCSとは、船や航空機の入出港や、輸出入貨物の税関等での行政手続きと民間業務をオンラインで処理するシステムのことです。

貨物を輸出入する際には、NACCSから税関へ申告を行います。申告を受けたNACCSはシステムに蓄積されたデータに基づいて対象の貨物の申告区分を決めます。

申告区分は下記の通りです。

区分1:簡易審査扱い

輸入(納税)申告後に直ちに輸入許可がされます。通関書類の提出は求められません。

通関時にライセンスなどが必要な場合は、輸入許可後に書類を税関に提出することがあります。

区分2:書類審査扱い

通関書類と、必要であればライセンスや商品説明書をNACCSを通して税関に提出することが必要です。

税関での審査で問題がなければ許可を得られます。

区分3:検査扱い

検査扱いの場合は、通関書類だけでなく、現物を税関に提出することが必要です。

現物検査は、基本的には税関の検査場で、通関業者立会いの下に行われます。

書類審査と現物検査で問題がなければ許可を得られます。

NACCSの区分判定は税関担当者の判断で変わることがあることも知っておきましょう。

例えば、NACCSの判定結果が区分2でも、税関担当者が検査の必要ありと判断すれば、区分3に変更されます。

また、税関の担当者で通関書類を審査して、現物検査の必要なしと判断すれば、NACCSの区分が3でも区分2に変更されます。

なお、区分1については変更されることはありません。

税関検査の目的

ここでは税関検査を行う目的について見ていきましょう。

輸出と輸入で共通する検査事項は下記の通りです。

  • 輸出、または輸入される品物と申告書の内容が一致しているか
  • 法律が定めた基準に適合しているか
  • 申告されていない品物が紛れ込んでいないか

税関検査の目的は、輸出と輸入で異なります。

それぞれの特徴について見ていきましょう。

輸出税関検査の目的

輸出税関検査は主に輸出貿易管理令という法律に基づいて行われます。

輸出貿易管理令とは、テロや戦争などに転用がされる可能性がある品物の輸出を規制する法律です。規制の対象は繊維からパソコン、ゴムやプラスチック製品など多種類あります。

輸入税関検査の目的

輸入の検査は輸出より確認事項が多くなっています。
これは、輸入の際の税関検査は国内の安全と産業を保護することを目的としているためです。

輸入税関検査の確認事項

輸入禁止物(拳銃、麻薬、コピー商品等)は入っているか
原産地が正しく申告されているか
関税の申告内容に問題はないか
税関への申告前に他省庁での手続きが完了しているか

税関検査の種類

ここでは税関検査の種類について見ていきましょう。

見本検査

見本検査とは、貨物の一部を抜き取って税関で目視検査をすることです。

貨物の内容を税関職員が目視検査するのみで、数量の確認はしません。

目視検査で問題がなければ許可になります。

一部指定検査

一部指定検査とは、貨物の中から税関で指定したものを一部抜き取って、数量と内容の検査をすることです。

例えば、複数のカートンがある中から1個を抜き取って、税関の検査場でカートン内の数量と内容の確認をします。

全量検査

文字通り、全ての貨物を検査することです。

コンテナ内に混載貨物が積まれたLCL(Less Than Container Load)の場合は、該当貨物を全数抜き出して、X線、または、税関での持ち込み検査を行います。

コンテナを1本をまるごと使用するFCL(Full Container Load)の場合は、税関の大型X線検査装置でコンテナごと検査を行います。もし、コンテナ内に不自然な影や申告外物品が発見された場合は開被検査、場合によっては全量デバン検査となるため、許可を得られるまで時間がかかるでしょう。

税関分析

税関分析とは、貨物の一部を採取して税関の中央分析センターで化学分析をすることです。

輸入通関の際に主に化学品に対して行われ、輸入申告がされたHSコード(輸出入統計品目番号)等と分析の結果に相違がないかを確認します。

検査の頻度は低いですが、もし検査になった場合は、結果が出るまでに2週間〜1ヶ月ほどかかります。そのため、輸入許可のタイミングを以下の2つから選ぶことが可能です。

  • 分析結果が出た後に輸入許可をする
  • 分析結果が出る前に輸入許可をして、必要に応じて後日に修正申告を行う

なお、税関分析が発生する場合には、税関から見本の採取についての事前連絡があります。

税関検査が行われる場所

税関検査が行われる場所は主に3ヶ所です。

税関の検査場

検査場は税関の建物内にあります。
税関検査の指示があった場合は、検査場に対象の貨物を持ち込み、税関職員による検査を受けます。

大型X線検査場

税関の近くにある、税関が管轄する大型X線検査装置が設置された場所のことです。

ドレー車でコンテナごと装置内を通過することで、コンテナ全体のX線検査をすることができるのです。コンテナから貨物を出す必要がないため、何も問題がなければ10分程で検査は完了します。

現場検査

大型貨物のため税関の検査場へ持ち込みができない場合は、税関職員が保税地域や保税倉庫に出張して貨物の現場検査を行います。

税関検査の費用

税関検査において、税関検査に立ち会う通関業者やフォワーダーへの立会い費用が発生することは多いです。

それだけでなく、税関の検査場にコンテナや貨物を持ち込む際の往復の輸送費用、開披検査があった場合の作業料なども発生します。

税関検査の流れ

税関検査がどのような流れになっているか見ていきましょう。

  1. 税関検査の連絡が税関から入る
  2. 検査対象のコンテナを輸送するドレー車、または、貨物を運搬するトラックの手配をする
  3. 貨物が保管されているコンテナヤード、CFS倉庫に税関検査になる旨を連絡し、検査日当日の貨物搬出を手配してもらう。
  4. 税関の検査場を予約する
  5. 税関での検査日に貨物を引き取って検査場に持ち込む
  6. 税関での検査を受ける(目視検査、開披検査、X線検査等)
  7. 輸入の場合は問題がなければ当日の輸入許可と貨物引取ができる

税関検査にはどれぐらい時間がかかるか

税関検査から貨物が引きとれるまでは最短で2日、最長で5日程かかります。

ただ、税関検査にかかる時間は、税関の検査場の混雑状況と、ドレージ・トラック業者の車両の空き状況で変わります。

特に連休前や繁忙期には早めの手配が必要になるでしょう。

まとめ

今回は、国際輸送における税関検査についてご紹介しました。

税関検査の指定を受けた場合は検査に応じる必要があります。

そのため、税関検査の金銭的、時間的コストを意識した事前準備が必要です。

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