ベトナムと日本は経済連携協定(EPA)を締結しており、有効な貿易関係が築かれています。
この記事では、
- ベトナムに輸出するとき予め知っておくべきこと
- ベトナムに輸出するときの注意点
このような疑問にお応えしていきます。
特にベトナムに輸出するとき「制度」や「規制」などの理解を深めておくことが大切です。
制度や規制の理解があることで、輸出手続きをスムーズに行えます。
この記事では、ベトナムに輸出するときのポイントを7つにまとめています。
この記事を最後までお読みいただくことで、ベトナムに輸出するときに必要な知識が得られるでしょう。
目次
ベトナムに輸出するときのポイント7つ
ベトナムに輸出をするときのポイントは次の7つです。
- ベトナムの特徴
- ベトナムはWTO加盟国
- ベトナムの減免優遇措置
- ベトナムの関税制度
- ベトナムと日本の貿易関係
- ベトナム輸出の必要書類
- ベトナム輸出手続き
ベトナムの特徴
ベトナムに輸出をするポイントとして、ベトナムの特徴を抑えておきましょう。
ベトナムは発展し続けている新興国であり、年々人口が増加していることが特徴的です。
人口増加は販路拡大や労働力の確保が大いに期待できます。
例えば、ベトナムの人口推移は以下の通りです。
- 2000年 7900万人
- 2010年 8741万人
- 2020年 9664万人
参考:ベトナムの総人口推移(1950年-2021年)と2100までの総人口予想推移 (world-guide.jp)
データを見て分かる通り右肩上がりで人口が増加しています。
このように、人口増加と共に発展し続けているベトナムはビジネスチャンスが生まれやすい国だと言えるでしょう。
ベトナムはWTO加盟国
ベトナムに輸出するときのポイントとして、ベトナムはWTO加盟国であることを覚えておきましょう。
なぜなら、WTO加盟国との貿易にはメリットがあるからです。
■WTOとは?
WTOとは国際貿易の自由化、貿易紛争解決を目的とした国際機関のこと
例えば、WTO加盟国のメリットは以下のようなものがあります。
- 貿易紛争解決制度の利用
- 関税の低減・撤廃
- 貿易の透明性
貿易紛争解決制度は、万が一トラブルが起きても制度を利用することで円滑なトラブル解決が可能です。
また、WTO加盟国は関税率などの情報を一般公開することが義務付けられていることから、貿易の透明性があります。
このように、WTO加盟国であるベトナムには貿易をするメリットがあると言えます。
ベトナムの減免優遇措置
ベトナムには業種や投資地域によって法人税、関税などの「減免優遇措置」があります。
貿易では、「輸入関税の優遇措置」がそれにあたります。
■ベトナムの関税
- 標準課税
- 優遇税
- 特別優遇税
(関税については次項で詳しく解説します。)
上記のようにベトナムの関税では条件によって優遇税や特別優遇税のように関税が免除されます。
原則、関税は輸入者(買手)が支払うため、「減免優遇措置」によって輸入者(買手)にメリットを提供できます。
「減免優遇措置」は輸入者(買手)と条件取り決めのポイントとして抑えておきましょう。
ベトナムの関税制度
ベトナムへ輸出するときは関税制度について理解しておきましょう。
ベトナムの関税制度は次の3つです
- 標準関税
- 優遇税
- 特別優遇税
例えば、標準関税は、優遇税率、特別優遇税率以外の輸入貨物に適用されます。
優遇税はベトナムと“恩恵国待遇”の関係を結んでいる国からの輸入貨物に適用され、特別優遇税はFTAやEPAなどの“特別優遇輸入関税”に関する協定を結んだ際に適用されます。
■FTAとは
Free Trade Agreementの略称である自由貿易協定のこと
■EPAとは
Economic Partnership Agreementの略称で経済連携協定
ちなみにFTAとEPAは“FTA税率、EPA税率”とも呼ばれます。
日本は、2009年10月にJVEPA(日越経済連携協定)が発行されておりEPA税率が適用されています。
合わせて覚えておきましょう。
関税制度について詳しくは以下のページで確認することができます。
関税制度 | ベトナム – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ (jetro.go.jp)
ベトナムと日本の貿易関係
ベトナムと貿易(輸出)をするうえで、日本とベトナムの貿易関係についても知っておきましょう。
関係性を知っておくことで、ビジネスにおいて大切な「信頼性」の確認ができます。
日本とベトナムは経済連携協定(EPA)を締結していることもあり貿易関係は活発です。
なぜなら、ベトナムの輸出入シェアはいずれも日本が3位だからです。
■ベトナム輸入相手国
輸入相手国 | 輸入シェア率 | |
1位 | 中国 | 33.0% |
2位 | 韓国 | 17.3% |
3位 | 日本 | 6.5% |
■ベトナム輸出相手国
輸出相手国 | 輸出シェア率 | |
1位 | アメリカ | 29.4% |
2位 | 中国 | 15.6% |
3位 | 日本 | 6.5% |
参考元:ベトナムの貿易と投資 | ベトナム – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ (jetro.go.jp)
上記のデータから、日本とベトナムは貿易取引において有効な関係性であると言えます。
6.ベトナム輸出の必要書類
輸出手続きをスムーズに進めるため、必要書類はあらかじめ把握しておきましょう。
日本からベトナムへ輸出するときは、以下の書類が必要になります。
- インボイス
- パッキングリスト
- SI(シッピングインストラクション)
- 委任状
- 特定原産地証明書
上記の中でもインボイス、パッキングリスト、SI(シッピングインストラクション)は必ず必要になります。
委任状は、通関業者に“通関”を初めて依頼するときのみ必要です。
また、特定原産地証明書は輸入者(買手)が減免を受けられるので合わせて覚えておきましょう。
輸入者(買手)から特定原産地証明書の取得依頼があれば輸出者(売手)が取得する必要があります。
ベトナム輸出の手続き
日本からベトナムへの輸出手続きは以下の流れが一般的です。
- 売買契約の締結
- 貿易条件(インコタームズ)の取り決め
- 輸送・通関手配
- 代金決済
ですが、輸出手続きは貿易条件(インコタームズ)によって変化します。
例えば、貿易条件(インコタームズ)がFOBの場合「輸出者(売手)の負担すべき範囲は貨物を本船に積み込むまで」といった条件下で輸出手続きが進みます。CIFであれば危険負担はFOB同様ですがそれ以外の負担は輸入港までです。つまり貿易条件(インコタームズ)によって手配内容が変わります。
ですから、大まかな流れを踏まえた上で、輸入者(買手)と条件を確認して手続きを進めましょう。
ベトナムへ輸出するときの注意点
ベトナムへ輸出するときの注意点は2つです。
- リスト規制、キャッチオール規制
- ベトナムへ輸出できないもの
それぞれ以下で解説します。
リスト規制、キャッチオール規制
ベトナムへ輸出する際は輸出する商品がリスト規制、キャッチオール規制に該当していないか確認しましょう。
なぜなら、規制対象品を輸出するには経済産業大臣の許可が必要だからです。
■リスト規制とは
輸出される貨物や技術が大量破壊兵器などに用いられる恐れがないか、品目をリスト化し政府が管理すること
■リスト規制品目の例
- 鉄砲
- 鉄砲弾
- 核燃料物質
- 核原料物
- ロケット
- 無人航空機
- 複合サイクルエンジン
- t.c…
リスト規制では上記の様に品目分けがされており、法令は毎年改正されます。
法令については、以下の経済産業省の安全保障貿易管理ホームページで確認できます。
安全保障貿易管理**Export Control*リスト規制 (meti.go.jp)
また、キャッチオール規制はリスト規制以外の品目を対象とした規制のことです。
その中でも食品・木材など「大量破壊兵器にはまずなり得ない品目」は除外されます。
輸出する商品が規制対象品に該当していないか事前に確認しておきましょう。
ベトナムへ輸出できないもの
ベトナムには輸出できないものがあるので注意が必要です。
なぜなら、輸入規制品目が“政令(69/2018/ND-CP)”に掲げられているからです。
例えば、ベトナムへ輸出できないものには以下があります。
- 武器
- 弾薬
- 爆薬
- 花火各種
- 電化製品、電気冷蔵機などの中古消費材
- 中古のIT商品
詳しくは以下のページで確認できます。
vn2B010_import_regulation.pdf (jetro.go.jp)
事前に、そもそも輸出商品がベトナムへ輸出できるかを確認しておきましょう。
まとめ
今回は、ベトナムへ輸出するときのポイントと注意点について解説しました。
■ベトナムへ輸出するときのポイント7つ
- ベトナムの特徴
- ベトナムはWTO加盟国
- ベトナムの減免優遇措置
- ベトナムの関税制度
- ベトナムと日本の貿易関係
- ベトナム輸出の必要書類
- ベトナム輸出手続き
■ベトナムへ輸出するときの注意点
- リスト規制、キャッチオール規制
- ベトナムへ輸出できないもの
制度や規制などを理解し、円滑な輸出手続きを進めていきましょう。