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リチウムイオン電池の国際輸送について 注意点やポイントなど詳しく解説

リチウム電池は、パソコンや携帯電話、ゲーム機器など私たちが日常的に使っているものに使用されています。そのため、海外に送る場合には、あまり意識しないかもしれません。

リチウムイオン電池は取り扱いを誤ると輸送中に火災を引き起こす可能性があるので、全てのリチウム電池は危険物とみなされます。

航空・陸上・海上、いずれも安全な輸送のため厳格なルールがあります。

ここではリチウムイオン電池の国際輸送時の注意点・必要な書類・ラベル・発送手続きを解説します。

リチウムイオン電池は海外に送れるの?

取り扱い輸送機関の規則や規定を守りさえすれば輸送自体は可能です。では、送るリチウム電池がどのようなものなのか確認しましょう。

リチウム電池の種類

リチウム電池の種類としては、以下のようなものがあります。

  • リチウムイオン電池:携帯電話、ノートパソコンやMP3プレーヤーなど携帯用電子機器に最もよく使用され、電池切れの際に再充電することが可能なバッテリーです。
  • リチウムメタル電池:一般的なアルカリ電池に比べ長持ちするので電卓や玩具に使用されます。再充電は出来ないので電池切れの際は破棄する必要があります。

海外輸送できるリチウムイオン電池を使用した電化製品

リチウムイオン電池を国際輸送する場合の条件として以下のようなものがあります。

  • 破損していないこと
  • 欠陥品やリコール品に該当しないこと
  • 機器に取り付けられた状態であること
  • リチウムイオン電池の場合は組電池100wh以下2個まで、単電池20wh以下4個まで
  • リチウム金属電池の場合は組電池2g以下2個まで、単電池1g以下4個までが輸送可能。

ただし、以下のリチウム単体の荷物は送れません。

  • モバイルバッテリー及び交換用バッテリー
  • 受電機能ケース付きワイヤレスイヤホン
  • 電子タバコ

これらは日本郵便の配送方法(EMS/AIR/SAL/船便)すべてにおいて配送不可となります。

リチウム電池は危険物?

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以降、国際輸送は厳しく制限されるようになりました。また、数年程前にスマートフォン用バッテリー等の発熱や発火事故が相次いで発生したため、各種法制度が見直され、受託規制がより厳しくなりました。

航空機が安全に渡航するために危険物を機内に持ち込んではいけない決まりを航空搭載禁止といいます。航空危険物には火薬・高圧ガス・引火性液体の他、ヘアスプレーや化粧品、日用品の中にも航空搭載禁止に該当するものは数多く、リチウムイオン電池も含まれます。

リチウムイオン電池は危険物に分類されます

リチウムイオン電池は輸送時に発火を引き起こす危険を伴うことがあります。

形態や容量の条件により危険物に該当しUN38.3をクリアする必要があります。

その他にも、細かい規定がもうけられ順守が義務づけられておりますが、リチウムイオン電池が機器に組み込まれているなど条件を満たせば送ることは出来ます。

※ここでの危険物とは、国際連合危険物輸送勧告(United Nations Recommendations on the Transport of Dangerous Goods) の9つの分類と区分に1つ以上該当する物質を指します。

国連勧告輸送試験UN38.3とは

UN38.3とは、航空、海上、鉄道輸送の際求められる、リチウムイオン電池の国際輸送に必要な安全性認証試験です。試験の種類はT1からT8の8種類あり、これらすべてに合格が必須です。

T1~T5は同一電池で実施し、T7は組電池、T8は単電池に適用となります。

リチウムイオン電池の国連番号 UN3489/3481
リチウム金属電池の国連番号 UN3090/3091

バッテリーの輸送プロセスのすべてに適用されるので必要です。

安全にリチウムイオン電池を国際輸送するポイント

航空輸送の基準が一番厳しく、航空輸送基準PI(Packing Instruction)個数や重量制限の大きなものには危険物申告書の添付が義務づけられています。

バッテリー航空輸送安全ラベル規格

既定のラベルを添付している場合、航空手荷物として機内持ち込みが可能となります。

①20個まで、または ②機器に装着された1個+スペア2個まで持ち込み可能です。

航空機の場合、原則預け入れは出来ません。
(①2015年8月より ②2016年8月より順次貼付。)
・国連試験基準マニュアル試験に合格している
(UN Manual of Test and Criteria, Part-III,sub-section38.3)
・リチウムイオン組電池
①ワット/時 定格値が100wh以下である
②ワット/時 定格値が100whを超え160wh以下である
・ワット/時 定格値は電池ケースの外側にマーキングが施されている
※バッテリーが160whを超えるものは機内持ち込みは不可です。

リチウムイオン電池の航空輸送について

ICAO(国際民間航空機関)技術指針2023-2024版にもとづきIATA(世界の航空運輸関連企業団体)IATA DGR危険物規則書が改訂され、同63版が2023年1月1日より適用となりました。

リチウムイオン電池の航空輸送には、IATA危険物規則書に従って行う必要があります。

  • 機内持ち込み手荷物:機内でご自身の席まで持ち込む手荷物
  • 機内預け入れ手荷物:カウンターでお預けになるスーツケース等の手荷物

上記2種類に分類されます。機内持ち込み可能な手荷物(サイズ制限および総重量)の詳細などは、各航空会社によって規定が異なります。また、上記国際規制を満たしていても、輸送できない場合もありますので、あらかじめ渡航国、利用航空会社に確認をおすすめします。

リチウムイオンバッテリーは持ち込み手荷物としてのみ輸送可能で、預け入れでの輸送は出来ません。

リチウムイオン電池の海外輸送手続き

IATA DGR(航空危険物規則書)の危険物規則にしたがって梱包されている貨物にラベルを貼付し、申告済を証明する書類作成して添付します。

危険物申告書は危険物取扱資格保持者が作成する必要があります。

署名は荷送責任者または指定代理人が行う必要があります。

国によっては手書きラベルでは先方に届かなかったり、そもそも輸送自体を受け付けてもらえなかったりするので注意が必要です。ラベルをダウンロードし印刷するか、データを受付時に提示し送り状を受け取り貼付してください。

また、手続きが正しく行われなかった場合には、無申告危険物の輸送として法律で罰せられることがあります。危険物の航空運送には適切な申告手続きや梱包が必要です。

リチウムイオン電池の国際輸送梱包の仕方

では、リチウムイオン電池はどう梱包すればよいのでしょうか?

個別梱包及びオーバーラップに個別梱包箱に入れる外箱に指定のラベルを貼り付けます。

航空・海上・陸上・リチウムの状態(単独・同梱・内装)によって貼り付けるラベルの種類が異なるので注意が必要です。

リチウムイオン電池を国際輸送するときの注意点時必ず確認しよう

国際航空運送協会(IATA)の規則が一般的な基準となり、荷物に適用されます。

さらに、送り先国の輸出入制限や国際規制が厳格に適用される場合があります。

リチウム電池(リチウムイオン電池、リチウム金属電池)輸送について、主要な5つが変更され、2023年1月1日から適用されました。

  • ボタン電池のテスト要件の削除
  • A154に該当する輸送禁止
  • リチウム電池マークラベルの電話番号表示が不要となる
  • セクションⅡオーバーパックの固定要件
  • PI968 IB および PI965 IB 3mの積み重ね追加試験

実際にリチウムイオン電池を国際輸送する場合、フォワーダー(自らは輸送手段を持たず貸物輸送を行う事業者)からSDS(安全データシート)の提示を求められます。SDSの内容から受託の可否を判断します。必要な書類はあらかじめ取り寄せ用意して下さい。

この他にもフォワーダーから様々な質問を受けます。

リチウムイオン電池の国際輸送は通常の貨物よりも厳しいのである程度の経験が必要です。自分自身では難しいと感じたら危険物輸送が得意な業者に相談したり、代行を依頼することもひとつの手です。安全な国際輸送の確保のため、条件が余儀なく変更される場合もあります。最新情報は取扱い輸送機関にご確認ください。

安全で適切なリチウムイオン電池の国際輸送の参考になれば幸いです。

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