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外食店舗の原料輸入で気をつけるべきポイントとは【貿易初心者必見】

弊社では海外の外食店舗(レストラン)ブランドの日本国内展開において食品輸入のお手伝いをさせて頂いております。

今回はフォワーダー目線での食品の国際輸送 & 輸入手続きの話です。

外食店舗を立ち上げるには

まずは輸入元様が海外の外食店舗を探し出し、これは日本国内でもヒットしそう!という手ごたえがあれば、店舗運営本部との交渉を経て契約が成立すれば、そこから具体的な店舗展開計画や輸入原料・食器類、厨房機器の選定など、実務面での手配がスタートしていきます。

USA本店パンケーキの味、また台湾の老舗店舗で作られる伝統的な豆花の味を正確に再現するためには、どの原料・機器を輸入するべきか?逆にどの品目は日本国内で調達可能なのか?を検証していきます。

食材を輸送するには

食品に関しては品目によって温度帯の設定が必要な場合が出てきます。

温度による劣化の心配がない場合は安価な常温輸送(ドライコンテナ)です。

通常はコンテナ1本単位でコンテナ船スペースを購入し輸送しますが、物量が少ない場合は他の荷主様の貨物とともに合積み(LCL)となります。

次に極端な温度上昇により商品が劣化してしまうリスクがある場合は定温輸送(リーファーコンテナ利用)となります。

例えばワインはコンテナ内部を16℃程度に設定し、コンテナ船がヨーロッパから日本へ向かう途中に赤道を通過する際にも温度を一定に保てるよう設定します。ちなみに赤道通過時にコンテナ内部は気象条件にもよりますが最大70℃まで上がるそうです。

更に低い温度帯としては、魚介類などアジアで加工し、冷凍で輸入する場合はマイナス20℃設定が可能です。

食品輸入

食品輸入において、まず最初にぶち当たる壁が「そもそも日本に輸入できるか否か」の確認です。

我が国においては食品衛生法に基づき、輸入者は指定の書類、分析結果などを輸入申告時に所轄の検疫所へ提出する義務があります。

必ず必要な書類は、成分表と製造工程表です。

上記は基本、どのような食品でも提出が必要です。

どういった成分・添加物が何%含まれていて、それが食品衛生法で定められた指定添加物リストに記載された添加物なのか?使用基準値内に収まっているか?用途は正しいのか?などの厳しいチェックが入ります。

これらは飲食によって生ずる危害の発生を未然に防止するための、輸入者・販売者としての大きな責任と言えます。

頻繁に問題になるのが、国によって添加物の使用基準が異なる点です。

USAでは使用が認められているのに、よくよく調べてみたら日本では使用禁止の成分だった、という事が日本の港に到着後に判明すると大変です。当然ながら検疫所は輸入不可としますので、船便で出発地へ積戻し(ship-back)または日本で滅却処分(焼却)となってしまいます。

他法令

また品目によっては他法令での申請~許可が必要となります。例として、

  • 生ハムなど:農林水産省による動物検疫。輸出国政府発行の衛生証明書など提出義務
  • コーヒー豆(生豆)農林水産省による植物防疫検査(害虫、土が付着していないか)
  • 砂糖類:農畜産業振興機構への申請。国内農畜産物の安定供給を図るための価格安定対策)
  • 米、麦など:農政納付金の支払い。食糧法、関税法などに基づく支払い。

このように、複数の法令に基づく申請を経て検疫所 & 税関の審査を経て、ようやく輸入許可となると原料を店舗へ発送 ~ 調理し、お客様への提供が可能となります。

海外サプライヤーの認識の違いで注意する点

ただし海外の人達には、日本の輸入審査の厳しさを何度説明しても理解して頂けない事が多々あります。

一例として、プレッツェル製造用のミックス粉の成分表をUSAメーカーに送信依頼すると、使用成分は記載されているけども、成分比率%が記載されていない?

これでは検疫所の審査に回せないので、%情報も記載するよう担当者に依頼すると、「それは企業秘密の部分だから開示できないよ」という回答が。そうすると輸入できないという事で、何度も何度も担当者と交渉した挙句、機密情報保持契約書にサインさせられて、ようやく情報を提供してもらえた、なんて事もありました。

また別のUSAヨーグルトメーカーにおいては、成分比率をどうしても日本のフランチャイジーに開示したくないらしく、「お前たちには送ることはできないが、日本の検疫所に成分比率を直接送信するのはOKだよ」なんていう考え方もありました。もちろんこれは不可です、基本全て輸入者の責任となるため検疫所は海外との直接のやり取りなど対応してくれません。

台湾の瓶詰め唐辛子メーカーは、瓶の成分記載欄に「とうがらし、にんにく、塩」としか記載が無いので添加物は不使用、輸入OK?と安心しましたが、念のため工場に直接電話して聞いてみると、この食品に対して使用が認められていない添加物(防腐剤)の含有が判明、輸入計画が白紙になった事がありました。これは非常に危険なケースです、瓶の成分記載を信じて輸入したら食品衛生法違反になってしまうところでした。

これら基準を満たして輸入OKの確認が取れた商品においても、食の安全性を定期的に確認する意味で検疫所によるモニタリング検査指示(サンプルを摂取して分析にまわす)、または年1回の輸入者による自主検査指示が入ったりします。

台湾産の小豆缶詰においては人工甘味料を使用していないかの検査、USA産ピーナツ油においてはカビ毒が発生していないかの検査など、食の安全を保つため、あらゆる手段が取られている事が分かります。

基本、海外メーカーの皆さんも売上実績をアップしたいので協力的ではあるのですが、日本の厳しい基準を説明して納得頂くまでが本当に、本当に骨の折れる作業です。上から目線で高圧的なアメリカ人、親日的だけど適当な(おおらかな)台湾人。でもそれらを乗り越えて、原料輸入を完了 ~ 無事に日本第1号店をオープン!そしてお客様の入店待ち大行列 & 笑顔で食事を楽しむ姿をみたら、そんな苦労も全て吹っ飛んでしまいます!!

ちなみに弊社では食品輸入に関する事前チェックも対応しておりますので、新規商品取り扱いに向けての疑問点や不明な部分がある場合など、気軽にご相談ください。

国際輸送を含めたご相談、または食品輸入の部分だけでもOKです。

昨年より始まったコロナ禍の影響で、外食産業においては全般的に苦戦が続いている事かと思います。今後、ワクチン接種が順調に進んでコロナ前の水準に人出が戻り、以前のような活発な市場が復活することを心より望んでおります。

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