輸出入の物流が増え、効率的な輸送をしたい、物流コストを削減したい、でもダメージも心配。。。とお考えの方。国際輸送において、物流の効率化やコスト削減が求められる中、パレットの選択が重要なポイントになっています。
パレットを正しく選ぶことで、輸送中の荷物の安全性を確保し、作業効率の向上にもつながります。
本記事では、国際輸送で使用されるパレットの種類とそのメリットについて詳しく解説します。
目次
パレットとは
パレットは、物流業界で広く活用されている荷役台で、パレットの脚と脚の間にフォークリフトやハンドリフトの爪を差し込んで、簡単に持ち上げたり降ろしたりします。
パレットを使用することで、輸送時の作業効率が大幅に向上し、荷物のダメージを防止することが可能です。
パレットの種類
パレットには4種類の素材が多用されています。
熱処理パレット(強度:強)(wooden pallet)
熱処理材が使用されたパレットで、積み付ける製品サイズに合わせて作る事ができます。
熱処理材とは、病害虫が充分に除去された木材のことで、殺虫されていない木材を56℃以上で30分以上加熱処理を施した木材です。
木材梱包材の輸入規制が広がっており、熱処理材で造られたパレットには HTスタンプが押印されており規制のある国でも輸出が可能です。
合板パレット(強度:強)(plywood pallet)
合板を使用したパレットで、積み付ける製品サイズに合わせて作る事ができます。
合板材には、ベニヤ板(veneer)とLVL材(laminated veneer lumber)があり、ベニヤ板は薄く切った単板を複数枚重ねて、熱圧接着した板です。
重なり合う単板の木目が互いに交差するように積み重ねてあり、熱処理木材にくらべて含水率が極めて低く、軽量な木材加工品です。
LVL材は薄く切った単板を複数枚重ねて熱圧接着した板で、重なりあう単板の木目が同一方向に積み重ねてあります。
ベニヤ板と同様、含水率が極めて低く、丈夫で軽量な木材加工品です。
メリットは下記のような点が挙げられます。
- サイズや加工を自由に指定できる。
- 安価である。(杉や松材を使用)
- 強度や寿命に優れる。(10年以上)
- 積み荷やフォークリフトとスリップしにくい。
- 補修ができる。
- 高温になっても強度が落ちない。
- 低温になっても割れにくい。
- 静電気が発生しにくい。
- 結露しにくい。
- 科学変化が起こりにくい。
プラスチックパレット(強度:強)(plastic pallet)
プラスチックパレットの場合、サイズが限定されるので積み付け後にデッドスペースができやすい欠点がありますが、熱処理証明などの手続きも不要です。
その他のメリットは下記のような点が挙げられます。
- 洗浄が容易。
- 同じ強度だと、木製パレットより軽量。
- 木くずやヤニ、カビが出にくい。
- ほぼ無臭。
- 耐水性に優れる。
- 重量や寸法にばらつきが少ない。
- 再生パレットとしてリサイクルできる。
段ボールパレット(強度:弱)
積み付ける製品に合わせて作る事ができます。
強度面から比較的小さいサイズの梱包に向いていますが、風袋重量が軽く、リサイクル可能などの利点もあります。
パレットを使用するメリット
カートンを20箱も30箱もバラで輸送すると、積替え地や到着地で無くなる、または数個が積み残され、先に到着している貨物の輸入通関が止まる事もあります。
しかし数量が多い荷物をパレットに全て積載すれば、途中で無くなる事もありません。
またバラの荷物を運びこむ作業の手間を手数料として徴収されることもありますが、パレットに組んでいれば、フォークリフトで運ぶため作業が早く完了し、ダメージも少ないというメリットがあります。
バラで運ぶ時は人の手で運べる重量にしておかなければ、トラック輸送後の積み下ろし時に大変苦労します。人の手で運ぶため、海外では投げるように積み下ろしをする光景も見られるため、ダメージは容易に想像できるのではないでしょうか。
その点、パレットに組んでいれば、倉庫入れや積み下ろしの時間を短縮できたり、ダメージを最小にしたり、積替え地での紛失や抜き取りのリスクを下げることができます。
1トン単位の大型輸送が可能になり、パレットは大きさが一定で四角形のため、トラックやコンテナに隙間なく積載することが可能という特徴もあります。
高さが低いパレットを積載する時は、2段にして2倍積載する事も可能です。トラックの荷台の中で落下しないように、ベタ積み(1段だけ)をするよりもしっかり固定する事が必要になります。
デメリットとしては、納品先にフォークリフトや大きな倉庫が無いと利用できないので先方の環境も確認しておきましょう。
国際輸送で使用するパレット
国際輸送では木製梱包材の輸入規制(ISPM No.15)があり、この輸入規制を導入している国々があります。
合板ではない木製パレットを使用する場合は熱処理されている事を証明するHTスタンプが押されている木材を使用したパレットを使用しましょう。
ISPM No.15を導入している国々は下記の通りです。
輸出用木材こん包材に関する各国の情報:植物防疫所 (maff.go.jp)
ヨーロッパ州 | アフリカ州 | アジア州 | 大洋州 | 北アメリカ州 | 南アメリカ州 |
EU ウクライナ グルジア スイス ノルウェー モンテネグロ ロシア |
エジプト ケニア セーシェル ナイジェリア 南アフリカ |
イスラエル インド インドネシア 韓国 スリランカ シリア シンガポール タイ 台湾 中国 トルコ フィリピン マレーシア ヨルダン オマーン レバノン ベトナム 香港 |
オーストラリア ニュージーランド |
アメリカ カナダ キューバ グアテマラ コスタリカ ジャマイカ トリニダード・トバゴ ニカラグア パナマ ホンジュラス メキシコ |
アルゼンチン エクアドル コロンビア チリ パラグアイ ブラジル ベネズエラ ペルー ボリビア |
パレットには各国で流通しているパレットの訳3分の1が、下記の標準パレットになります。
標準パレットは物流上の効率化を図るために各国で決めてあります。
日本・韓国 | 中国 | 台湾 | EU | アメリカ | オーストラリア |
1100×1100 | 1200×1000 | 1200×1000 1100×1100 |
1200×800 1200×1000 |
1219×1016 | 1165×1165 |
単位:mm
日本の標準サイズのパレットであれば、例えば10トントラックなら2×8=16枚のパレットが積載できます。
また4トンロングトラックは2×5=10枚、2トンロングトラックは1×3=3枚、2トンスーパーロングドラック1×4=4枚、
20トントラック2×23=24枚とトラックの大きさによって積載できるパレットの数があらかじめ分かるので、トラックを何台必要か簡単に計算する事ができます。
まとめ
パレットやコンテナは輸送業界の大発明品といえます。物流拠点での荷物管理や輸送の効率化に大いに役立っています。
さらに今後は環境にも配慮したパレットも登場し、世界基準が出てくるのではないでしょうか。
輸送業界の縁の下の力持ちともいえるパレットたち。今日も、世界のあちこちで私たちの生活を豊かにする働きをしていますよ。
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