日本の化粧品は高品質で安全性も高いため、2015年頃より需要が急激に高まってきています。
今では化粧品の輸入量に比べ、輸出量は2倍以上です。
ここでは、化粧品を海外へ輸出する際の確認事項や注意点を説明します。
目次
化粧品を輸出する際の確認事項
化粧品を海外へ輸出する際に必要な確認事項を4点説明します。
安全保障貿易管理規制(キャッチオール規制)の対象かどうか確認
安全保障貿易管理におけるキャッチオール規制該当の有無を確認する必要があります。
キャッチオール規制とは、大量破壊兵器や通常用関連へ転用できない食料や木材、紙製品等を除く全ての貨物・技術が対象となっています。
軍事転用の可能性があることが分かった場合に、事前に経済産業省へ許可申請を行わなければならない制度です。
そのため、化粧品を輸出する際は「大量破壊兵器や通常用関連へ転用の恐れがないこと」の確認を行わなければなりません。
キャッチオール規制には一部ホワイト国と呼ばれる規制対象外の国々があります。
アルゼンチン/オーストラリア/オーストリア/ベルギー/ブルガリア/カナダ/チェコ/デンマーク/フィンランド/フランス/ドイツ/ギリシャ/ハンガリー/アイルランド/イタリア/ルクセンブルク/オランダ/ニュージーランド/ノルウェー/ポーランド/ポルトガル/スペイン/スウェーデン/スイス/英国/アメリカ合衆国/韓国
化粧品輸出許可・届け出の確認
化粧品をどのような形で輸出するかによって、必要な許可や届け出が変わってきます。
- 化粧品を日本で製造して販売する場合
・化粧品製造業の取得・輸出用化粧品製造等届書(輸出届)を厚生労働省に提出 - 日本国内で流通している化粧品を輸出する場合
・薬機法に抵触しないためそのまま輸出可能・特別な許可や届け出は不要 - 現在流通している化粧品のパッケージやラベルを変更する場合
この場合、製造とみなされるため、製造時と同じ許可および届け出が必要です。輸出用化粧品製造等届書(輸出届)を厚生労働省に提出・化粧品製造業許可の取得
必要証明書の確認
諸外国に輸出を行う際、輸出国によって証明書の提出を要求される場合があります。
代表的なものが、ヨーロッパ・ASEAN圏に輸出する際に求められる「Good Manufacturing Practice (GMP)証明」です。
これは、輸出する化粧品が薬機法にもとづいて適切に製造されているのか、製造管理基準・品質管理基準を満たしているかを証明する書類です。
輸送手段の確認・選定
化粧品を海外に輸出する際に、輸送手段を確認する必要があります。
国際輸送をするには、飛行機か船舶を用いることになります。
航空輸送
飛行機を用いた航空貨物輸送の利点は、確実性と迅速性にあります。
下記のものは航空輸送に適しています。
・迅速性の求められるもの(品質を保持など)
・緊急性の高いもの
・高価なもの
・大きすぎないもの
注意点として、航空法上、一部輸送できないものもあります。
化粧品を航空貨物として輸送する場合、航空法上で「危険物に該当するかどうか」の確認を行う必要があります。
化粧関連品では「香水・除光液・ネイルカラー・エアゾール缶」などは危険物(引火性液体など)に該当するため、飛行機に搭載することができません。
危険物は、MSDS(Material Safety Data Sheet)と呼ばれる製品安全データシートによって成分を確認できるので確認を行ってください。
ほかにも、化粧品を航空輸送する際には、次の書類が必要です。
・Invoice
・Packinglist
・Shipping Instruction(作業指示書)
・成分表コピー(税関での確認)
海上輸送
海上貨物は船舶を用いて輸出します。
基本的には、輸出規制品として規制されてないあらゆる製品の輸出が可能です。
航空貨物として搭載が禁止されている上記の「香水・除光液・ネイルカラー・エアゾール缶」も輸送できます。
化粧品を海上貨物として船舶輸送する際も同様に、次の書類が必要になります。
・Invoice
・Packinglist
・Shipping Instruction(作業指示書)
また注意点として、危険物とされる製品を輸出する際には上記の書類に加えて、次の3点が必要になってきます。
・MSDS(製品安全データシート)
・UN容器(危険品を収納する専用容器)
・危険物容器検査証
船舶輸送は、航空輸送に比べて種類および量において多くの製品を一度に輸出できる手段です。
輸送に時間はかかるものの費用を抑えることもできます。
緊急性の有無によって航空輸送と船舶輸送を使い分けるのが良いかもしれません。
輸出国での信頼できるビジネスパートナーの選定
化粧品の輸出を成功させるためには、輸出国でのビジネスパートナー選びがとても重要です。
現地での販売経路の確保や拡充・販売力まですべてビジネスパートナーにかかっています。
日本での常識が通用しないのが海外取引ですので、慎重に選定することが重要です。
ビジネスパートナー選定は、公的機関もしくはコンサルティング会社の協力を受けることができます。
- JETRO(日本貿易振興機構)など海外進出を支援してくれる公的機関による紹介
輸出国で行われる商談会や展示会を行っていたりもします。
- 海外進出を支援するコンサルティング会社による紹介
有料にはなりますが、海外進出を支援しているコンサルティング会社に相談を行い、個別に紹介してもらえることは安心です。
ビジネスパートナーの情報は、「現地での購買者や消費者・現地での評判・同業者からの評価」などさまざまな角度から確認することが賢明です。
具体的には「資本力・販売力・誠実性・取引量・経営能力・実績・経営姿勢」などを精査してください。
化粧品を輸出する際に気を付ける点
輸出国の化粧品輸入規制(化粧品の成分)確認(原料の審査)
輸出する化粧品の原料が輸出国での「使用が禁止されていないか」「容量制限がある成分が含まれていないか」各国の規定で確認する必要があります。
各国によって規制があるので、該当国の規則を確認する必要があります。
・ヨーロッパ→EU化粧品規則
・東南アジア(ASEAN)→ASEAN化粧品指令
・中国→化粧品安全技術規範(中国)
・アメリカ→FDA(連邦食品医薬品局)・CIR(化粧品成分審査委員会)・カリフォルニア州法
広告表現の規制
見落としがちですが、現地で広告表現の規制に引っ掛かり販売できないケースもあります。
各国の広告規制まで確認してください。
日本からの化粧品輸出の増えている中国では、最上級表現(中国初・最安・最高・売れ筋)の使用は罰則対象(20万元~100万元の罰金)とされています。
化粧品製造販売業許可の取得
化粧品製造販売業許可は、日本国内で化粧品を販売する際に必要な許可ですが、返品に対応するためには必要となってきます。
素早く返品に対応するためにも、上記の許可と一緒に取得するようにしてください。
まとめ
今回は、化粧品を海外に輸送する際の方法をご紹介しました。
海外へ輸出するには、日本で必要な届け出や許可・輸出国で必要な証明書など事前に多くのものを準備しなくてはなりません。
こちらを読んで、しっかりと準備を行い、円滑に化粧品の輸出を行ってください。
疑問点などがあれば、是非弊社にお尋ねください。