ドレー、もしくはドレージという言葉を聞いたことはありますか。
ドレーとは、貿易用語の1つでコンテナを陸上輸送することを指します。
荷物をそれぞれ個別に輸送するのではなく、コンテナごと発送元から発送先まで移動させます。
ドレーは時間のかかる積荷・積み降ろしが必要ないため、スムーズな取引ができることで人気です。
本記事では、貿易におけるドレーについて、ドレーを使うメリットやデメリット、料金体系などを解説していきます。
目次
ドレーとは?
ドレーとは、コンテナを陸上輸送することです。特殊な大型トラックの走行が国内ドレーを担います。
輸入の場合は貨物が積み降ろしされた港(コンテナヤード)から目的地まで輸送すること、輸出の場合は輸出者の発送元(工場など)からコンテナヤードまで輸送すること、また広義では荷物の入っていない空のコンテナを輸送する事をドレーと言います。
運転席のある、トラックでいう”頭”の部分は、ドレーの”ヘッド”と呼ばれ、コンテナはヘッドに取り付けられて移動します。
ドレーはドレージとも呼ばれることもありますが、同じ意味です。
シャーシの種類
シャーシとは、コンテナを載せるトラックのことです。
シャーシにはいくつか種類があり、それぞれのシャーシごとに最大積載量が決まっています。
シャーシの種類 | コンテナの種類 | タイヤの数 | 最大積載量 |
20フィート 2軸シャーシ | 20フィートのコンテナ | 8個 | 20トン320キロ |
20フィート 3軸シャーシ | 20フィートのコンテナ | 12個 | 24トン |
40フィート 2軸シャーシ | 40フィートのコンテナ | 8個 | 24トン |
40フィート 3軸シャーシ | 40フィートのコンテナ | 12個 | 30トン480キロ |
上記のシャーシに追加して、「MGシャーシ」があります。
発電機がついていて、コンテナ内の温度を一定に保つことができるシャーシです。
食品や化学製品など、温度変化によるダメージを与えたくない貨物の運搬時に活躍します。
MGシャーシはメンテナンスが大変であること、保有しているドレー会社が少ないことにより、通常のシャーシより数倍の費用がかかります。
ドレーの料金体系
ドレーの料金体系は、ラウンド制です。
基本的に港からの往復距離で決められますが、細かい距離料金は設定されていません。
宅配便と同じように、配送の地域別に基本料金が定められている場合が多いです。
この輸送料は、ドレー会社によって、またドレー会社との関係性によって変わってきます(使う頻度の高い顧客の場合には、輸送量が安めに設定されているなど)。
たいていの場合には、このラウンド制で決められた輸送料のみ支払うことになりますが、追加料金が発生する場合があるので注意が必要です。
以下、発生しうる追加料金を3つご紹介します。
①ドライバー待機料金
待機料金とは、ドライバーがコンテナを目的地に届けたあと、コンテナをトラックから降ろす作業のためにドライバーが待機する時間に発生する料金です。
待機料金は基本料金に入っていることが多く、目安時間は2時間と定められています。
基本料金に含まれている2時間を超えてドライバーを待たせてしまうことがあると、追加料金が発生する可能性があります。
早く次の仕事に向かいたいドライバーにとって、待機しなくてはいけない時間はもったいないものです。
積み荷・積み降ろしに契約の2時間を超えることがないようスケジュールに余裕を持ちましょう。
②キャンセル料金
不可抗力な理由で予約していたドレーをキャンセルする場合にかかる、一般的なキャンセル費用をお伝えします。
- 当日キャンセル:100%
- 前日キャンセル:100%
2日前までのキャンセル費用は、ドレー会社によって異なるので契約時に確認しましょう。
③ドレーリカバリーチャージ
近年、日本ではトラックドライバー不足が深刻化しています。
そのため、希望の日程で輸送を受けてもらえないこともしばしば。
ドライバー不足による危機に対処すべく、安定したサービスを提供するために、ドレー会社は2019年ごろから「ドレーリカバリーチャージ」を導入しています。
ドレー輸送のメリット
物流に欠かせないドレー輸送のメリットを3つお伝えします。
メリット①コストが安い
港で積荷・積み降ろしを必要としないドレー輸送は、人件費や手数料を安く抑えられます。
メリット②輸送時間が短い
コストが削減できるというメリットと同様に、荷物の積み替えをしないドレー輸送はスピーディーな輸送が可能です。
メリット③荷物へのダメージが少ない
コンテナごと輸送されるドレー輸送は、荷物に直接作業員が触る機会も少ないため、荷物の破損リスクも低くなります。
ドレー輸送のデメリット
メリットの多いドレー輸送ですが、デメリットも知って利用しましょう。
デメリット①手配が難しい
ドレー不足により、特に北米や日本ではドレーの手配が難しくなってきています。
手配が難しい理由は、3つです。
- ドレー製造の部品や材料の不足
- コンテナヤードの混雑
- ドライバー不足
単純にドライバー不足も理由として挙げられますが、そもそもドレーを製造するための部品や材料、労働力が足りていません。
そのため、ドレー会社は需要に対応できるほどの在庫がなく、取引相手を制限しているのです。
また材料不足だけでなく、コンテナヤードの混雑によるドレー不足も悪化しています。
温暖化によって増えている台風や災害、またオリンピックなどのイベントによって港の容量を上回る需要が発生することも。
港の混雑により、ドレーのやりくりがうまくいかずスムーズな手配が難しくなるのです。
コンテナヤードが混雑するにつれて、ドライバーの待機時間も多くなります。
ドライバーの労働時間や会社利益の観点でも問題が多く残ります。
競争率が年々上がっているドレーの手配は、早めに行いましょう。
繁忙期である年末年始やGW、お盆休みの周辺は、ドレーの確保がより難しくなってきます。
目安として、納期が決まり次第、ドレーを手配しましょう。
デメリット②料金が上がってきている
ドライバー不足とドレー不足によって、年々ドレー料金が上がっています。
例として、2019年ごろから「ドレーリカバリーチャージ」といった追加料金を設定するドレー会社が増えてきていることが挙げられます。
さいごに 陸上を駆け巡るドレー輸送
本記事では、海上輸送に使うコンテナを陸上で運搬することを、「ドレー」と紹介しました。
国と国を結ぶ船や飛行機だけでなく、港から目的地(または発送基地)を結ぶドレーは、貨物輸送において大きな役割を担います。
メリットとデメリットをおさらいすると、
・ドレー輸送のメリット
①コストが安い
②輸送時間が短い
③荷物へのダメージが少ない
・ドレー輸送のデメリット
①手配が難しい
②料金が上がってきている
でした。スピーディーでコストが抑えられるドレー輸送ですが、世界情勢によってデメリットが変化してきています。
手配をお願いするフォワーダーさんと相談をして検討してみてください。
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