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TPP11とは 関税の特恵待遇とともに解説

2018年12月、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11)が発効しました。

アメリカを含む12カ国がTPP協定に署名していましたが、2017年にアメリカが離脱を宣言したため、アメリカを除く11カ国間での協定となりました。TPP11の参加国間で輸出入取引を行っている場合、この協定を上手く活用することで、有利な関税率を適用できる可能性があります。

ただし、TPP11の特恵関税率を適用するには、原産地規則を満たす、原産地証明書を準備する等、いくつかの条件をクリアする必要があります。

TPP11は他の多くの経済連携協定(EPA)とは異なる部分もあるため、難しいと感じる取引当事者の方も多いかもしれません。

いざ適用する際に困る事のないよう、事前に十分に把握と確認をしておくことが大切です。

今回は、TPP11の概要と関税の特恵待遇についてご紹介します。

当記事では、次のような内容に沿ってお伝えします。

TPP11とは

TPP11とは、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定のことです。

2018年に12月に発効となりました。

TPPとは

TPPとは、環太平洋パートナーシップ協定のことです。

モノの輸入にかかる関税を撤廃してスムーズな貿易を目指すだけではなく、ヒトやマネーの流れもスムーズにし、投資や知的財産などあらゆる分野のルールを参加国で構築することで、アジア太平洋地域の強大な市場を作り出すことが、TPPの意義とされました。

TPP11とTPPの違い

もともとTPPはアメリカ主導のもと進められていましたが、そのアメリカが2017年に離脱を表明しました。

その後、アメリカを除くTPP参加の11カ国で協議され、2018年にTPP11が発効となりました。

したがって、現在発効となっているのはTPPではなくTPP11です。

TPPはTPP12と呼ばれることもあります。

TPP11の参加国

TPP11の参加国は、下記のとおりです。

日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシア、チリ、ブルネイ

このうち、2023年2月現在の時点でブルネイは未締結となっており、そのほかの国では既に発効となっています。

TPP11を活用するメリット・デメリット

貿易における、TPP11を活用するメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

全てのケースとは言えませんが、多くのケースにおいて、通常よりも有利な条件で輸入できることが最大のメリットです。

TPP11に参加している国から輸入するとき、又はその国へ輸出するとき、基本税率やWTO協定税率など、一般的なものより有利な関税率を適用できることがあります。

例えば、ベトナムから、カフェインを除いていない焙煎されたコーヒー(輸入統計品目番号:0901.21-000)を輸入するとします。

税関のホームページに掲載されている実行関税率表を確認してみると、2023年2月21日現在、基本税率は20%、WTO協定税率は12%で設定されているのに対して、TPP11協定税率は無税となっています。

このように、輸入品目によっては有利な関税率が設定されています。

TPP11をうまく活用することで、納めるべき関税額が減少する又はゼロとなるので、物流コストを抑えることができます。

デメリット

最大のデメリットは、準備に時間を要することです。

TPP11を活用するためには、この協定について理解を深めたり、輸入申告の際に提出が必要となる原産地証明書を準備したり、通常の輸入申告手続きのほかに、追加で対応が必要となります。

特に、TPP11では自己申告制度というものが採用されています。

これは、他の多くの経済連携協定(EPA)とは異なる部分であるため、難しいと感じる取引当事者の方も多いようです。
詳細については後ほど解説します。

また、TPP11協定税率を適用して輸入申告したものの、原産地規則を満たしていない、正しい原産地証明書を提出していないなど、TPP11で定められた条件をクリアしていないと税関によって判断された場合は、申告内容での輸入許可がおりません。

その場合は、基本税率やWTO協定税率など、その他の税率を適用しなければ輸入することができなくなります。

TPP11の活用はケースバイケース

必ずしもTPP11を活用することが良いとは限りません。

基本税率やWTO協定税率など、他に設定されている税率の方がTPP11協定税率よりも有利な場合や同じ場合には、必ずしもTPP11協定税率を適用する必要はありません。

例えば、ベトナムから、カフェインを除いていない、焙煎していないコーヒー(輸入統計品目番号:0901.11-000)を輸入するとします。

税関のホームページに掲載されている実行関税率表を確認してみると、2023年2月21日現在、基本税率、WTO協定税率、TPP11協定税率、いずれも無税で設定されています。

TPP11協定税率を適用するためには、輸入申告の際に原産地証明書を併せて提出するなど、通常に加えて別の対応が必要となりますが、基本税率やWTO協定税率を適用する場合は、これらの対応は不要です。

このように、TPP11の適用条件をクリアしていたとしても、あえて協定税率を適用せずに、基本税率やWTO協定税率を適用する方が良いこともあります。

TPP11の活用はケースバイケースであると言えます。

原産地規則とは

経済連携協定(EPA)を活用するためには、その締結国の原産品でなければなりません。

単純に、相手輸出国が締結国であることや、締結国から輸送されることだけでは、原産品としては認められません。

原産品として認められるためには、各EPAで定められた原産地規則を満たす必要があります。

TPP11も同様で、TPP11で定められた原産地規則を満たす必要があります。

原産地規則については、輸入品目毎に細かく定められており、税関や外務省のホームページ等で確認することができます。

原産地証明書とは

原産地証明書は、輸入しようとする商品が相手国の原産品であることを証明する書類です。

TPP11を活用する際は、輸入申告の際に原産地証明書の提出が必要です。

原産地証明書が必要となるのは、TPP11に限らず、他の経済連携協定(EPA)でも同様です。

第三者証明制度

現在日本が締結している経済連携協定において、最も一般的なのが第三者証明制度です。

指定された事業者(第三者)が原産地証明書を発行するというものです。

例えば、日本においては、日本商工会議所が経済産業省から指定発給機関に指定されています。

同所が、輸出品が日本の原産品であるかどうかを審査し、承認した場合のみ原産地証明書を発行します。

自己申告制度

第三者証明制度に対して、自己申告制度は輸出者または輸入者が自ら原産地証明書を作成する制度です。

日本では、日豪EPAで初めて採用となりました。

原産地証明書を作成する者は、各経済連携協定で定められた事項を記載しなければなりません。

具体的には、原産地証明書の作成者、作成者の情報、輸出者の情報、生産者の情報、輸入者の情報、作成者の宣誓文などです。

これらが記載されていなかった場合、原産地証明書としては無効になります。

TPP11は、この自己申告制度を採用しています。

TPP協定税率を適用したい場合、基本的には、輸出者または輸入者によって、TPP11で定められた事項を明記された原産地証明書を提出しなければなりません。

まとめ

今回は、TPP11の概要と関税の特恵待遇についてご紹介しました。

TPP11をうまく活用することで、物流コストの削減に繋がる可能性があります。

一方で、内容が難しいと感じられる方も多くいらっしゃるようです。

TPP11の活用には事前の確認と準備が必要です。

TPP11の活用を検討している場合には、税関や物流会社等に事前に相談してみても良いでしょう。

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