おもちゃの国内市場規模は2022年に過去最高を記録しており、今注目されている業界です。
本記事では、おもちゃを輸入する方法を流れで説明します。
輸入・販売時の注意点やポイントも併せて確認してください。
おもちゃを輸入する方法を流れで解説
おもちゃを輸入するときの方法を流れで解説します。
輸入に関する相談
厚生労働省検疫所・輸入相談窓口にて、予約制で相談を受けられます。
輸入相談窓口へ電話で問い合わせてください。
書類の準備
輸入申告時に必要な書類を準備します。
- 食品等輸入届出書(=食品届出)
- 2部(1部はコピー)
- 商品に関する情報
- 品名(アイテム名・商品名など)
- 製造者、住所
- 形状、材質、色柄の資料
- 塗膜、可塑剤の有無(フタル酸エステル使用の有無についての資料)
- 対象年齢、使用方法が分かる資料
- 商品説明書など
検疫所へ輸入届の提出
商品が届いたら、厚生労働省へ輸入届を提出しなくてはなりません。
届け出先 | 輸入を行う空港や港を管轄する厚生労働省検疫所 |
届け出時期 | l 原則貨物到着後
l 特例:事前届け出制度 (貨物到着予定日の7日前から届け出ができる制度) |
輸入届の提出は、通関業者や国際宅配業者も可能です。
検疫所における審査
届け出を受けた検疫所の食品衛生監視員は、提出された「食品等輸入届出書」「添付書類」をもとに、下記について確認を行います。
- 輸入する製品に有害・有毒な物質が含まれていないか
- 食品衛生法の規格基準に合致しているか
検査の実施
検疫所における審査の結果、検査が必要な場合「命令検査」「自主検査」「モニタリング検査」いずれかを実施します。
命令検査 | l 食品衛生違反の可能性が高いとき、輸入者に輸入の度に受けることを義務付ける検査
l 結果が出るまで貨物の輸入は不可 l 費用は輸入者負担 |
自主検査 | l 食品衛生法違反の可能性が高いとき、輸入者を指導して行う検査
l 輸入手続き保留 l 費用は輸入者負担 |
モニタリング検査 | l 年間監視指導計画に基づいて国の実施する検査
l 貨物の通関は可能 l 費用は国負担 |
.食品等輸入届出済証の発行
審査に通れば、食品等輸入届出済証が発行されます。
2回目以降、継続的に同じおもちゃを輸入するとき、以下に該当する場合、検査が免除されます。
- 同一輸入者
- 同一製品(同一材質、着色料、製法、製造所)
- 初回審査で合格した試験成績証のコピーの添付
- 試験成績証(欄外)への届出番号の記載
おもちゃを輸入するときのポイント
おもちゃの輸入を円滑に行うために、以下2つを確認することがポイントです。
食品衛生法
食品衛生法では、指定おもちゃとされる「6歳未満の乳幼児が口に接触することにより健康を損なうおそれがあるおもちゃ」に関して輸入規制がされています。
具体的には、下記のおもちゃを指します。
- 乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃ
(例:おしゃぶり・歯固め・笛など)
2.アクセサリー・がん具
(例:積み木・人形・口に接触する恐れのある知育玩具・折り紙など)
上記の玩具に該当する場合、厚生労働省への届け出が必要になります。
届け出先 | 厚生労働省検疫所輸入食品監視担当 |
提出書類 | 食品等輸入届出書 |
【指定おもちゃ判断基準】
1.商品パッケージが6歳未満
2.乳幼児専用のおもちゃとして開発
3.口に入れて使うもの
4.おのずと口に接触するもの
5.乳幼児向けであることが外観で判断できるもの
関税法
関税法では、下記について輸入してはならないものとして規制をしています。
・偽ブランド品や模倣品など知的財産権に抵触するもの
(知的財産権とは、商標権・著作権・著作隣接権・特許権・実用新案権・意匠権)
上記商品を輸入した場合、例え過失であったとしても輸入が差し止められます。
原則、並行輸入の禁止はされていません。
おもちゃを輸入するときに注意すること
おもちゃを輸入する時には、販売時の法律・規制があるので注意が必要です。
輸入後、販売が不可能になる可能性がありますので、事前に確認しておきましょう。
電気用品安全法(PSEマーク)
電気用品安全法は、電動式のおもちゃによる危険および障害の発生の防止をするものです。
(例:電気遊戯盤、その他の電子応用遊戯器具等)
電気用品安全法が指定する電気用品は「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」があります。
以下にてどちらに該当するか確認を行ってください。
また、それぞれ検査を行い基準に適合しているかの確認が必要になります。
電気用品 | 検査方法 | |
特定電気用品 | l おもちゃ用変圧器
l 電熱式おもちゃ l 電動式おもちゃ l 電気乗物 |
国の登録検査機関
適合性証明書の交付が必要 |
特定電気用品以外の電気用品 | l 内蔵部分品
l リチウムイオン蓄電池 |
自主検査
(国が定めた検査方式による検査で、登録検査機関に委託することも可能) |
該当するおもちゃの輸入を行う場合は、事業開始の日から30日以内に届け出が必要です。
届け出先 | 経済産業大臣(経済産業局) |
提出書類 | 電気用品輸入事業届出書 |
販売時には以下の表示が義務付けられています。
- PSEマーク
- 事業者名
- 定格電流等
電波法
電波法は、無線の周波数体・電界強度によって、規制を行うものです。
携帯電話やタブレットにアプリをダウンロードして活用するおもちゃがこちらに当てはまります。
Bluetooth対応のおもちゃの販売には、技術基準適合証明等を受け、技適マークを付す必要があります。
消費生活用製品安全法
消費生活用製品安全法によって、製品に重大製品事故が起きたときは10日以内に以下について報告義務があります。
報告内容 | l 名称
l 型式 l 事故内容 l 輸入数量 l 販売数量 |
報告先 | 内閣総理大臣 |
製造物責任法(PL法)への対応も別途要します。
認定するSGマーク
SGマークとは、製品安全協会が安全な製品としての必要基準を設け、適合していると認められた製品に付けられる任意マークです。
以下のおもちゃが対象品目とされています。
対象品目 | l 三輪車
l ローラースケート l ブランコ l すべり台 l 幼児用鉄棒 |
玩具安全基準・業界基準(STマーク制度)(Safety Toy)
ST(Safety Toy)マークとは、一般社団法人日本玩具協会の玩具安全基準(ST)基準を設定しており、合格したおもちゃに表示している任意のマークです。
STマーク付き製品が欠陥しており、万一消費者が怪我をした場合、損害賠償金が支払われます。(一定金額の範囲内)
同時に、商品の自主回収が要求されます。
資源有効利用促進法・リサイクル法
電動式おもちゃを輸入および販売する際には、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法・リサイクル法)を確認する必要があります。
電動式のおもちゃは「指定再利用促進製品」「指定再資源化製品」のどちらかに該当します。
指定再利用促進製品
(再生資源または再生部品の利用促進に取り組むことが求められる製品) |
l 小型二次電池 |
指定再資源化製品
(密閉形蓄電池の自主回収に取り組むことが求められる製品) |
l ニカド電池
l ニッケル水素電池 l リチウムイオン電池 l 小形シール鉛蓄電池の密閉形蓄電池 |
販売する際には「使用済み電池の自主回収」「再資源化への取り組み」と「分別回収」に関して、表示すべき事項の義務付けがあるので確認が必要です。
不当景品類および不当表示防止法(景品表示法):「不当景品類及び不当表示防止法」
不当景品類及び不当表示防止法では「過大な景品付販売」や「誇大表示」「虚偽表示」が禁じられています。
おもちゃによっては、各業界団体が制定している公正競争規約に対応した表示のルールが必要です。(電気用品、楽器、スポーツ用品など)
まとめ
6歳未満の乳幼児を対象としたおもちゃを輸入する時には、食品衛生法と関税法を確認して、輸入を円滑に行ってください。
不明点がある場合、運送会社など専門家に問い合わせましょう。