一般的に、海上輸送の際は、荷主が船会社からレンタルする形でコンテナを使用することがほとんどです。
一方で、荷主自らが所有するコンテナを使用するケースもあり、そのようなコンテナをSOCコンテナと言います。
荷主自らがコンテナを所有し使用することにはメリットとデメリットがあります。
SOCコンテナを積極的におすすめできるケースは少ないものの、海上輸送サービスを利用しているならば、是非チェックしておきたいところです。
この記事では、「SOCコンテナとはなにか」、「COCコンテナとはどのように違うのか」、「どのようなメリット、デメリットがあるのか」、「SOCコンテナはどのようなケースに向いているか」、の4点について解説します。
目次
COCコンテナとSOCコンテナ
COCコンテナとSOCコンテナは、コンテナの所有者を表す言葉です。
まずは、COCコンテナとSOCコンテナについて、確認していきましょう。
COCコンテナとは
COCコンテナとは、船会社が所有するコンテナのことで、「Carrier’s Own Container」の略です。
一般的に、海上輸送の際に用いられるコンテナは、COCコンテナであることがほとんどです。
荷主が船会社からレンタルする形で使用されます。
SOCコンテナとは
SOCコンテナとは、荷主自らが所有するコンテナのことで、「Shipper’s own Container」の略です。
SOCコンテナよりCOCコンテナの方がほとんどの荷主にとって費用面と利便性で優るため、特殊な事情がなければ、荷主が積極的にコンテナを所有する必然性はありません。
COCコンテナとSOCコンテナの違い
その言葉のとおり、コンテナの所有者が異なります。
所有者が異なるだけでも様々な場面で大きな違いがあり、使用者の使い勝手にも差が出てきます。
SOCコンテナのメリット
SOCコンテナには、COCコンテナにはないメリットがあります。
どのようなメリットがあるのか、その詳細を確認してみましょう。
単独の使用
SOCコンテナであれば、所有する荷主が単独で使用することができます。
これは、衛生面、メンテナンス、塗装など、あらゆる面でメリットとなります。
例えば、衛生面です。
COCコンテナでは次々に荷主がそのコンテナを使用するので、様々な商品が輸送物としてコンテナの中に入ります。
中には臭いの強い物があり、輸送中にコンテナ内にその臭いが移ることもあります。
いざバンニング(コンテナの中に輸出貨物を入れること)の際に、その臭いが気になることも海外であれば珍しくありません。
SOCコンテナであれば、このような問題は確実に避けることができます。
そのほか、コンテナを独自のカラーリングにしたり、コンテナ内に棚を設置して輸送効率を上げたり、許される範囲内で荷主が独自仕様のコンテナにカスタマイズすることが可能です。
これは、COCコンテナにはない、SOCコンテナならではの大きなメリットと言えるでしょう。
輸出時は引取り、輸入時は返却が不要
SOCコンテナの場合、COCコンテナとは異なり、輸出時には港への引取りのため、輸入時には返却のために港へ行く必要がありません。
そのため、港へコンテナを輸送する手間を省けること、ディテンションチャージが発生するリスクを無くせることがメリットになります。
ディテンションチャージとは、コンテナの返却延滞料のことです。
レンタルしたコンテナは船会社によって定められた期限日までに返却しなければならず、この期限日を過ぎると返却延滞料が発生します。
コンテナの返却は遅れれば遅れるほどディテンションチャージが増えていくので、万が一コンテナの返却を失念するような事態が起こると、想定外の大きなコストが発生することもあり得ます。
SOCコンテナであれば、ディテンションチャージに関する心配は不要です。
SOCコンテナのデメリット
SOCコンテナのメリットに続いて、デメリットもご紹介します。
SOCコンテナの最大のデメリットは、COCコンテナと比べて費用がかなりかかることです。
コンテナの購入費用、メンテナンス費用など、様々なコストが発生します。
コンテナの購入費用
コンテナを所有するには購入する必要があります。
中古のコンテナであっても、数十万円から数百万円が相場となっており、決して少なくない初期費用がかかります。
メンテナンス
コンテナの所有者となれば、適切なメンテナンスをしなければなりません。
海上コンテナは、海風、暴風雨、直射日光などにさらされ、過酷な状況の中を輸送されます。
塗装が剥がれてコンテナが錆びることもありますし、穴が空いて雨水や海水が内部に侵入することもあります。
メンテナンス業者に作業を外部委託することも可能ですが、費用の負担は避けられません。
コンテナの往復が必須
SOCコンテナは、所有する荷主が同じコンテナを繰り返し使うことになります。
日本から相手国へ輸出する場合には、相手国から日本へ、相手国から日本へ輸入する場合には、日本から相手国へSOCコンテナを戻さなければなりません。
場合によっては、輸送物がなくとも空きコンテナを輸送しなければならないこともあるでしょう。
コストを抑えるためには、お互いに輸出入を行なうなど工夫が必要です。
SOCコンテナを検討してみたいケース
ここまで、メリットとデメリットをご紹介しました。
特殊な事情がなければ、ほとんどの荷主にとってはCOCコンテナの方が費用面と利便性で優るので、わざわざSOCコンテナを選択する必要はありません。
ただし、例えば下記のようなケースであればSOCコンテナの方が向いている可能性があります。
当てはまる場合には、メリットとデメリットを踏まえて、検討してみても良いかもしれません。
・輸送物が液体や危険物であるケース
・COCコンテナを使用できないケース
・同じ相手とお互いに輸出入を定期的に繰り返すケース
・費用よりも衛生面や輸送効率などを優先したいケース
まとめ
今回は、SOCコンテナについて、COCコンテナとの違い、そのメリットとデメリットについて解説しました。
ほとんどの一般的な貿易取引者であれば、SOCコンテナよりもCOCコンテナを利用する方が総合的には良いでしょう。
特殊な事情がなければ、SOCコンテナを選択する必然性はありません。
ただし、COCコンテナにはない、SOCコンテナならではのメリットがあることもまた事実です。
SOCコンテナを検討する際は、起用物流会社等に相談してみても良いかもしれません。