本記事では、貿易に関わる数量や単位の種類についてご紹介します。
重さの単位である「トン」1つをとっても、メトリックトン・米トン・英トンと3種類あります。
数量や重量、サイズの種類の紹介と合わせて輸出入共通の認識に基づいた取引が重要であるその理由も解説します。
重量の認識不足によるトラブルを防ぐためにも重要ですので、是非ご確認ください。
目次
数量単位の種類
貿易に関わる単位、重さや長さ、容積の単位は複数あるために、注意が必要です。
単位ごとにそれぞれ種類を紹介します。
重量
先に少し触れましたが、重量には以下の3種類あります。
- メトリックトン(M/T)
- 米トン(Short ton)
- 英トン(Long ton)
長さ
長さには以下の2種類があります。
- メートル(m)
- フィート(ft)
容積
容積には以下の2種類があります。
- リットル
- 立法平方メートル(㎥)
共通認識が欠けると生じるトラブル
先に紹介した重量や単位はそれぞれ種類がありました。
国際輸送であるために、単位は国によって異なることは多いです。
数量や単位について認識を共通にしておく必要があります。
数量の違い
重さの単位を1つとってもその単位によって実重量は異なります。
例えば以下のように異なります。
- メトリックトン1トン=1000キログラム
- 米トン1トン≒907.2キログラム
- 英トン1トン=1016キログラム
以上の具体的に例をあげてもそれぞれ数量は異なります。
取引双方の認識の違い、輸出者は米トンだと思って取引をしていたが輸入者は英トンと思って取引をしていたらトラブルに繋がってしまいます。
トラブルにならないために数量の単位を取引者双方で認識を共通にしておく必要があります。
品質の違い
貿易の取引で異なってしまうのは数量だけではありません。
異なるのは品質もあります。
契約前に提示されたサンプリングの質と契約後実際に購入した商品の質に差があることがあります。
過不足が生じたトラブル
船積み条件とイコールの重量だとオーバーして船積みできないというケースは多くあります。
トラブルを起こさないための共通認識
輸出者と輸入者において、数量や質の共通認識を決定しておく必要があります。
共通認識を決定する条件や証明する書類について解説します。
単位や基準の共通認識
双方でどの単位を使うのかあらかじめ共通認識を定めておく必要があります。
重量であるならばメトリックトンを使用するのか、米トンを使用するのかそれとも英トンを使用しるのかを前もって決めておく必要があります。
質の共通認識
サンプリングと商品の質の差を生まないために、あらかじめ品質の基準を定めておくと良いです。
品質の基準を決定づける条件も解説します。
契約時に共通認識を決定する方法
過不足容認条件
イコールの数量で船積みできないケースを想定し契約書の数量欄に過不足容認条件(More or less terms)と明記しておくことで対応できます。
過不足における条件とは
イコールの数量や重量では、船舶輸送するための船積みができないケースが多いことが重要です。
例えば契約上の数量は1トンですが、実際船積みするのに1トンぴったりにできない場合が多くあります。
多少上下した数量である過不足については、契約書の数量欄に過不足容認条件(More or less terms)と明記し多少の過不足は容認してもらえます。
輸出者に対するクレームを回避できるのです。
具体的な数値を合わせて明記することでより容認してもらえる条件を満たします。
記載例をあげると「3% more or less at seller’s option」と毎期しましょう。
数量を決定するのはいつ
貿易の主な特徴ですが、輸送中に数量が減ってしまうことがあります。
例をあげるなら、液体貨物は蒸発により数量の減りに対して契約書の数量を満たしていると判断する時期は輸出者と輸入者の双方で決定しておく必要があるのです。
決定する条件として把握しておくべき時期は2つあります。
- 船積数量(重量)条件である輸出国での船積み時点で判断
- 陸揚数量(重量)条件である輸入国での荷降ろし時点で判断
輸出入者それぞれの立場で有利な場合もありますので判断基準を決定する際は注意をしましょう。
トラブルを回避するために重要な容量重量証明書
輸入者は重量などによる取引相手の輸出者との異なる認識からトラブルに発展しないために、輸出者から容量重量証明書を受け取らなければなりません。
重さなどの単位の違いを生じさせないために、輸出者からしっかりと提示してもらうよう求める必要があります。
容量重量証明書発行は検量業者
容量重量証明書は国から認められた検量業者によって発行されます。
輸出者が検量業者へ作成を依頼し、発行してもらい、取引相手の輸入者に提示するのです。
品質を定める条件とは
サンプリングと実際の商品の品質を守るために、貿易では品質に対する条件をもうけています。
売買する方法と商品の品質条件
- 見本品いわゆるサンプリングの売買
- 仕様書売買
- 規格売買
- 銘柄売買
- 標準品売買
見本品売買
商品の見本品の品質を約束することを条件とします。
質に差があるなら、輸出者にクレームをつけられます。
仕様書売買
仕様書に記載された商品のスペックに見合っている品質を条件とします。
規格売買
指定した規格であるかを品質の条件とします。規格の主な例はJIS規格です。
銘柄売買
ブランドといった商標がついているかを条件とします。
海外ブランドを購入したにも関わらず偽物だったというトラブルがあります。
標準品売買
契約者双方で決定した標準の商品を品質基準とします。
標準品は2種類あります。
- 平均的な質を基準とするFAQ(Fair Average Quality Terms)
- 市場で売買される価値に足る品質であるGMO(Good Merchandise Quality Terms)
FAQの主な例は農産物です。その季節に収穫された中等程度の品質を取引条件とします。
GMQの主な例は木材や水産品といった見本取引が難しい商品です。
品質を決定するのはいつ
品質を保ったまま輸送を困難にするケースもあります。
食品が良い例です。
輸出者と輸入者が品質条件を決定する時期を共通で認識していなければトラブルに発展しかねません。
品質条件を守ってくれる輸送中の品質劣化に対応する品質の決定条件は2種類あります。
- 船積品質条件
- 陸揚品質条件
数量条件と同じです。
品質条件を保障する品質検査証明書
品質を守るための条件を明示するのが品質検査証明書です。
輸入者は取引相手の輸出者に品質検査証明書の提示を求めトラブルを防ぐことができます。
まとめ
今回は貿易に関わる数量や単位、サイズに注目しご紹介しました。
合わせて貿易取引に欠かせないことは、数量や単位にはいくつか種類があり、輸出者と輸入者で共通の認識を決定しておく必要があるということです。
共通の認識に基づいた取引でなければ、トラブルに発展してしまいます。
単位や数量と合わせて品質についての共通認識の条件についても詳しく解説しています。
貿易取引は信頼の上で成り立ちます。
国際取引であるからこそ長期的な質への配慮も含めた条件設定になっているのが特徴です。
この記事を読んだ方にオススメの記事はこちら!