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実行関税率表(輸入統計品目番号表)の見方について 画像とともに分かりやすく解説

外国から日本へ貨物を輸入するとき、輸入者は国に対して関税を納めなければなりません。

納めるべき関税額は、課税価格と関税率から計算されます。

実行関税率表(輸入統計品目番号表)は、関税率を確認する際に便利な表です。

税関のホームページで、誰でも確認することができます。

ただ、初心者の方や慣れていない方にとっては、この表の見方は難しいかもしれません。

もし誤った表の見方をすると、正しい関税率を確認できないことになります。

今回は実行関税率表の見方について、画像とともに解説していきます。

実行関税率表とは

実行関税率表は、外国から日本へ貨物を輸入するときに課せられる関税の税率を確認できる表のことです。

実行関税率表の概要

外国から日本へ貨物を輸入するとき、輸入者は国に対して関税を納めなければなりません。

輸入者が納めるべき関税額は、課税価格と関税率から計算されますが、その関税率を確認できる便利な表が実行関税率表です。

関税率は、輸入品目毎に異なります。

また、関税率は固定されておらず、国の判断等の理由により変動しますので、こまめに表を確認することが大切です。

実行関税率表は税関のホームページで確認することができます。
外部URL(税関):https://www.customs.go.jp/tariff/

※輸入関税の計算方法については、他の記事も併せてご確認ください。

実行関税率表の掲載

実行関税率表は、国の判断等の理由により設定された関税率が変わったとき、外国と新たにEPA等の協定を締結したときなど、年に数回程度更新されます。

3ヶ月に1回程度、税関ホームページを確認するのが良いでしょう。

見方の流れ

初心者の方や慣れていない方にとっては、実行関税率表の見方がわからず、正しい関税率を確認することが難しいかもしれません。

どのようにして関税率を確認できるのか、以下の条件を例にして表の見方を画像とともに解説します。

〈例、輸入条件〉
貨物:コーヒー豆(焙煎されたもの、カフェインを除いていないもの)
税率:WTO協定税率

輸入品目の分類を決定する

まずは、輸入品目の分類を決定しましょう。

類は、第1類から第97類まであります。

生きている動物は第1類、穀物は第10類といったように、ジャンルのように大きく分けられています。

コーヒー豆(焙煎されたもの、カフェインを除いていないもの)の例の場合は、第9類(コーヒー、茶、マテ及び香辛料)に当てはまると思われます。

「実行関税率表(2023年4月1日版)」(税関ホームページ)
(https://www.customs.go.jp/tariff/2023_04_01/index.htm)を加工

類注を確認する

次に、類注を確認します。

各類には注意書きがあり、その類に当てはまるものや当てはまらないもの等に関する情報があります。

一見、輸入品目がその類に当てはまりそうであっても、貨物の種類、大きさ、加工の有無などの注意書きによって、その類には当てはまらないことがあります。

注意書きがある場合には、他の類を確認し直さなければなりません。

類注を読み飛ばしてしまわないよう、注意しましょう。

コーヒー豆(焙煎されたもの、カフェインを除いていないもの)の例の場合は、貨物に関する注意書きは特段ないと思われますので、そのまま進みます。

「実行関税率表(2023年4月1日版)」(税関ホームページ)
(https://www.customs.go.jp/tariff/2023_04_01/index.htm)を加工

統計品目番号を確認する(行)

続いて、統計品目番号を確認します。

実行関税率表は、行に統計品目番号が、列に設定されている各関税率が記載されています。

行を確認してみますと、各分類の中でもさらに枝分かれしており、貨物の種類、大きさ、加工の有無などの条件によって、当てはまるべき統計品目番号が変わります。

より具体的に記載されている方が、当てはまるべき部、類、統計品目番号となります。

統計品目番号は9ケタの数字ですが、その前6ケタの数字はHSコードです。

HSコードとは、日本をはじめ、HS条約に加盟している多くの国で共通となっている番号で、世界中で輸出入を行なうのに便利なシステムとなっています。

ただ、HSコードの後の数字は各国が独自に定めたものであるため、共通ではありませんので注意が必要しましょう。

統計品目番号も、世界共通ではなく、日本独自の番号です。

統計品目番号を確認する流れとしては、まずは6ケタのHSコード、その後に後ろ3ケタのコードを確認しましょう。

コーヒー豆(焙煎されたもの、カフェインを除いていないもの)の例の場合は、HSコードは0901.21に、統計品目番号は0901.21-000に当てはまると思われます。

〜流れ〜
①コーヒーなので0901に決定
②焙煎された、カフェインを除いていないコーヒーなので0901.21-000に決定

「実行関税率表(2023年4月1日版)」(税関ホームページ)
(https://www.customs.go.jp/tariff/2023_04_01/data/j_09.htm)を加工

適用する税率を確認する(列)

さて、統計品目番号を決定できましたら、いよいよ関税率の確認です。

確認したい税率の列と統計品目番号の行の交差した部分が、その関税率となります。

例のコーヒー豆(焙煎されたもの、カフェインを除いていないもの)の場合、確認したい税率はWTO協定税率で、行と列の交差部分は「12%」と記載されています。

したがって、関税率は12%となります。

「実行関税率表(2023年4月1日版)」(税関ホームページ)
(https://www.customs.go.jp/tariff/2023_04_01/data/j_09.htm)を加工

なお、パーセンテージ以外で設定(記載)されている関税率もあります。

重量や容積等が基準となるもので、その場合は「〜/kg」、「〜/l」などと記載されています。

統計品目番号がわからないときは

当てはまるべき統計品目番号がわからないケースもあるでしょう。

統計品目番号の決定は決して簡単な作用ではありません。

委任を受けて業務を行う物流会社、通関士であっても、誤ってしまうこともあります。

そのようなときは、事前教示制度の利用を検討してみましょう。

事前教示制度

事前教示制度は、税関に対して、輸入の前に関税分類(統計品目番号の決定のこと)について照会し、その回答を受けられる制度のことです。

文書、電子メール、税関の窓口、電話で照会することができます。

文書による照会

文書で照会した場合、税関から文書で30日以内にその回答を受けられます。

回答までにやや日数がかかりますが、電子メール、窓口、電話による照会と違い、その回答から3年の間、輸入審査の際にその回答は尊重されることとなっています。

正確に輸入を申告することができますので、なるべく文書によって照会されることをおすすめします。

電子メール、窓口、電話による照会

文書のほか、電子メール、税関の窓口、電話でも照会することができます。

文書による照会では、回答を受けるまで日数がかかってしまいますが、こちらの照会であればより早く回答を受けることができます。

電子メールの場合、1〜3日程度で回答されることが多いようです。

ただし、文書による照会と異なり、こちらの場合には輸入審査の際に必ずしも尊重はしてもらえません。

輸入まであまり日数がないなど、お急ぎの場合にはこちらの照会方法を利用しましょう。

まとめ

今回は、実行関税率表(輸入統計品目番号表)の見方について解説しました。

初心者の方や慣れていない方にとっては、この表の見方は難しいかもしれませんが、業として輸入を行なっている方であれば、是非とも確認しておきたいところです。

統計品目番号の決定は、輸入者が自主的に行わなければなりませんが、決して簡単な作業ではありません。

事前教示制度を利用したり、起用物流会社に相談したり、慎重に統計品目番号を決定しましょう。

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