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布製品を海外に輸送する際の方法を分かりやすく解説

輸出の際の「布製品」の定義

 

布製品とは、繊維や布を主要材料として製造された製品を指します。

具体的には、衣類(スーツ、ワイシャツ等)や布団、カーテン、バッグなど、布や布地を縫製して作られた製品が該当します。ただし、靴や帽子のように布以外の材料が主体となっているものは布製品に含まれません。輸出取引上の布製品について、織物と編み物を区別する場合があります。織物とは、糸を横糸と縦糸で交わらせた織機によって作られる布のことを指します。一方、編み物は糸を針で組み合わせて作られる布で、織物と編み物があります。これらは製法が異なることから、輸出通関上も次のように区別されます。

  • 織物: 関税定率法上の布類分類
  • 編み物: 毛皮着衣用製品分類 など

通常は織物が布製品の主流ですが、編み物も布製品の一種に含まれます。税関手続き上、製法による織物と編物の区別は重要なポイントとなります。輸出通関上、この定義に当てはまる製品は、関税定率法の布類分類に分類されます。たとえば、輸出申告書の品目欄には「綿製ワイシャツ」のように記載するのです。

布製品輸出に関連する法令

 

日本から布製品を輸出する際に遵守すべき法令等について説明します。

まず、衣類などの布製品に使用される繊維製品の原産地表示が義務付けられている点が挙げられます。例えば綿100%のTシャツを輸出する場合、国名表示規則に基づき「Made in Japan」または「Japan」の表示が必要となります。

また化学処理された衣類の輸出入には、特定化学物質の規制に関する法律(CSCL)に基づく表示も必要です。CSCLとは、衣類などの繊維製品に使用される化学物質を規制する日本の法律です。この法律では、発がん性など人体に有害な化学物質のうち、アゾ染料や禁水銀の使用が規制されています。CSCLの規制対象となる衣類や布製品を輸出する場合、製品の表示タグに

「JIS L 1940 A」の適合表示を付すことが義務づけられています。

この表示がない場合、輸出先国の規制当局により輸入が拒否されることがあるため、CSCLへの適合性を事前に確認する必要があります。特にEU向けの衣類輸出ではCSCL表示が必須とされており、日本国内向けとは異なる管理が求められます。加えて、輸出先国・地域の表示規制や安全基準を事前に確認し、その判断基準に適合していることを証明する必要があります。

これらの法令等を遵守しない場合、関税定率法違反等で罰せられますので、十分な確認が重要です。

日本から輸出を行う際に適応される「貿易管理令」は布製品に対しても適応されるのでしょうか。日本から布製品を輸出する場合、貿易管理令が適用されるケースは原則としてありません。貿易管理令は、武器や核関連技術など、安全保障上懸念のある貨物を輸出規制しています。一般的な衣料品や布製品は、規制対象としてリスト指定されていないため、布製品の輸出に特別、貿易管理令が適用されることはありません。

ただし、いわゆる「ぜいたく品」や「先進国向けでない製品」の場合、税関で輸出許可審査を受ける必要がある点には注意が必要です。しかしそれは安全保障目的の規制ではなく、税関手続き上の審査ですので、区別してください。布製品の輸出自体は貿易管理令の対象外で、自由な輸出入が認められています。

布製品の輸入を規制している国

 

布製品の輸入規制を厳格化している国として、中国が挙げられます。中国では2018年から「中国強制製品認証制度」が施行されています。

この制度に基づき、輸入される衣料品や布製品に対して、中国国家認証認可監督検験検疫総局(CNCA)による検査と認証取得が義務づけられています。認証には、中国の試験機関で行う製品テストの合格が条件とされていて厳格です。このCNCA認証の表示ラベルが付されていないと、中国税関で布製品の通関が認められず、事実上、輸入できません。

日本から中国に衣料等の布製品を輸出する場合は、この認証手続きと表示対応が必須だという点に注意が必要です。

中国以外にも布製品の輸入制限や規制強化を進めている国・地域があります。代表的な例としてEU(欧州連合)が挙げられます。EUでは、REACH規則という化学物質規制法に基づき、衣料や布製品で使用される化学物質の管理が厳格化されています。REACHで指定された懸念化学物質の含有量基準を超えた衣類のEU向け輸出入は禁止されます。日本からEUに布製品を輸出する際には、このREACH規則の適合性を証明することが必要不可欠な法規制となっています。

また最近ではアフリカの国々でも、中古衣料の輸入規制や関税引き上げを進める動きがあり、注視が必要な地域といえます。

布製品を輸出する際の手順

 

布製品を輸出する際の手順を船便と航空便に分けて説明します。

船便の場合

 

布製品を船便で輸出する際の手順を説明します。

  • 輸出先国の輸入商社と数量・金額・納期等で輸出契約を締結します。
  • 船会社と布製品の容量に応じて20フィートコンテナや40フィートコンテナを手配します。
  • 倉庫にある布製品をトラックなどで港のコンテナヤードに運び、架台に上げてコンテナに詰め込みます。
  • 税関に輸出申告書を提出して輸出通関の手続きをします。
  • 船便で輸出先国の港まで海上輸送し、到着後に輸入通関手続きをします。
  • 輸入国の倉庫で荷揚げし、輸入商社を通じて販売流通させます。

以上が基本的な流れです。

商品がスーツやコートなどの重衣料の場合、ハンガーコンテナを利用して輸出することも可能です。これはコンテナの内部に商品を吊るした状態で輸送するので輸入した際に輸入者サイドでの商品のプレスなどの手間を省くことができます。ただし、通常のたたみ輸送に比べ運賃は割高になるので商品のコストを考えて利用するか検討する必要があります。

航空便の場合

 

布製品を航空便で輸出する際の手順を説明します。

  • 輸出先の航空会社の貨物部門と、輸送スケジュールと料金を確認します。
  • 輸出通関書類として商業送り状やインボイス等を作成します。
  • 布製品をトラック等で空港の貨物エリアまで運びます。
  • 成田税関で輸出申告し、通関検査を受けます。
  • 航空会社カウンターに通関書類と布製品を提出します。
  • 航空機で輸出先国の空港まで輸送されます。
  • 輸入空港で入国通関手続きが行われます。
  • 輸入代理店を通じて、国内倉庫へ配送されます。

以上が基本的な流れです。船便と比べるとスピーディなのが特徴です。ただし、布製品はコストが安いものが多いので航空便を使う際はコストに見合うかを検討する必要があります。

布製品を輸出後の業務

 

布製品を輸出した後のフォローアップや業務についてですが、手順を詳しく説明いたします。

  1. 輸出通関手続き: 日本から商品を輸出したあとは、相手国の通関手続きが必要です。必要書類の用意や税関の申告など、相手国の輸入規定に沿って進めましょう。
  2. 納品検査: 相手国で商品の受け入れ検査が行われます。成約通りの商品が納品されたかどうかを確認します。不良品が見つかった場合は、円滑に交換できる体制をしておきましょう。
  3. 代金回収: 相手国のバイヤーから輸出代金を回収します。銀行取引で回収するケースが一般的です。手形での代金回収もありえます。
  4. アフターサポート: 相手国のユーザーから品質や使い勝手などでクレームが発生する可能性があります。迅速かつ丁寧に対応できる体制が必要です。
  5. 次回商談のフォロー: 今回の輸出で構築した関係を大切にし、次回の商談につなげましょう。定期的に連絡を取るなどして、長期的な取引を目指します。

一つ一つ丁寧に対応して次回の取引につながるようにしましょう。

船積み完了後は速やかに輸出書類一式(B/L・AWB,INVOICE,Packing List)をメールもしくはFAXで相手先に送付してください。相手国での速やかな通関の手助けとなります。

まとめ

 

布製品を海外に輸出する際の方法について解説をしてきました。通常の輸出の際には重要な法令となる「貿易管理令」は布製品の場合は基本的には適用されません。布製品は比較的自由に輸出が可能です。

ただし、相手国、地域によっては布製品の輸入について厳格な基準を設けているところもありました。例えば中国やEUなどです。輸出前には相手国の法令やルールを十分に確認し事前の準備をしっかり整えておく必要がありました。

布製品の荷姿は通常、畳んだ製品をカートンに梱包するのが一般的です。ですがアイテムによっては、例えばスーツやコートのような重衣料はハンガーコンテナを使って畳むことなく相手先まで輸出することが可能でした。布製品は単価の比較的低いものが多いので船便と航空便の使い分けは納期以外にもコストをしっかり計算した上で行ってください。布製品だけでなく製品を輸出する際全般にいえることですが、事前に国内および相手国の法令やルールを十分に確認し必要な手続きを早めに進めておくことが重要です。

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