医療機器は、医薬品医療機器等法において規制対象となっており、さまざまな許可を受けなければ輸入を行うことができません。
ここでは医療機器を輸出する際に必要な許可や注意点について説明します。
目次
医療機器を輸入する際の確認事項
医療機器を輸入する際に必要な許可など、確認事項を7点説明します。
製造販売業許可の申請
製造販売業許可の申請は、下記3点を輸入及び販売を行う予定の事業所(総括製造販売責任者の所在する事務所)・所在地を管轄する都道府県薬務主管課(都道府県知事)に提出を行う必要があります。
・製造販売後安全管理方法(GVP)が適していることを証明する書類
・管理方法(GQP)が適していることを証明する書類
・総括製造販売責任者(常任雇用)の資格を証明する書類
医療機器は、国際区分に従って、必要とされる許可の種類が違います。
製造所・区分ごとに許可の取得を行ってください。
一般医療機器:第三種医療機器製造販売業許可
不具合が起きた際、リスクが極めて低い医療機器。
具体例(絆創膏・温度計・綿棒・メス・ピンセット)
管理医療機器:第二種医療機器製造販売業許可
不具合が起きた際、比較的リスクが低い医療機器。
具体例(心電図装置・血圧計・人工関節・メス・補聴器)
高度医療機器:第一種医療機器製造販売業許可
不具合が生じた場合、リスクが高いと考えられている医療機器。下記具体例のように病気のあらゆる予防・診断・治療などに使用されている。
具体例(人工心臓、脳神経外科用インプラント、人工肝臓・ペースメーカー)
「製造業登録」(国内)
製造には梱包(包装)・表示・保管を含むため、輸入後に倉庫にて保管等が必要になる場合は製造所ごとの登録が必要です。
製造業許可は、事業所所在地を管轄する都道府県薬務主管課で得ることができます。
「外国製造業者登録」(国外)
医療機器を海外の製造所で製造している場合、外国製造業者が「外国製造業者登録」を受けていることが製造販売承認の要件になっています。
これは国内でいう製造所の製造業登録に該当するものです。
外国製造業者登録申請は、具体的に下記3点を行う必要があります。
・製造販売業許可を有する選任製造販売業者を通じて医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ「外国製造業者登録申請」
・厚生労働大臣に「製造販売承認」申請
・登録認証機関への「製造販売認証」申請
「販売業許可」
高度管理医療機器および特定保守管理医療機器を輸入・販売を行う場合、販売業許可が必要になります。
「修理業許可」
医療機器を販売したあと、アフターケアであるメンテナンスを行う場合には修理業許可が必要です。
電気用品輸入事業届出書
電動・電熱式医療機器について「特定電気用品」(116品目)と「特定電気用品以外の電気用品」(341品目))の輸入を行う際、経済産業大臣(地方経済産業局)に「電気用品輸入事業届出書」を届け出る必要があります。
電気用品輸入事業届出書は、事業開始日から30日以内での届け出が必要となりますので、注意してください。
・特定電気用品:国の登録検査機関による適合性検査に合格後、適合性証明書の交付を要する
・特定電気用品以外の電気用品:国によって定められた検査方式による自主検査を行う必要がある。
一般的に、家庭用治療器の多くが「特定電気用品以外の電気用品」に該当します。
「特定電気用品以外の電気用品」の自主検査は、登録検査機関へ委託することも可能です。
自主検査を行う場合、以下のことが求められています。
・自主検査は経済産業省の定める規格基準に合っていること
・電気用品の販売時には、「PSEマーク・事業者名・定格電流等」を付すこと
工業標準化法(JIS規格)など各種規格の確認
登録認証機関による指定管理医療機器の認証を行う時、JIS規格に合致していることが求められることがあります。
上記以外にも、下記のようなさまざまな規格があり、機器によって規制を受けるものがあります。
医療機器を輸入する際には、製品ごとに規制を確認してください。
・製造物責任法(PL法)
・消費生活用製品安全法(重大事故報告・公表制度)
・リサイクルや医療系廃棄物の適正処理関係法令
・品目によっては電波法(一部補聴器など)
・放射線防止法(放射線医療機器基準)
・医療法
医療機器を輸入する際に気を付ける点
ここでは、医療機器を輸入する際、気を付けるべき点を説明します。
1、提出書類の変更事項
以前要していた輸入届の厚生局への提出は、2016年1月1日以降不要。
一方、輸入通関時に税関へ製造販売業許可証、製造業許可証、製造業登録証の写しの提出が義務付けられるようになりました。
2、表示義務
医療機器を輸入する際、表示についても注意が必要です。
虚偽や誤りを防ぐため、医薬品医療機器等法に従い「製造販売業者名・名称・製造番号」など必要事項を表示することが求められています。
3、販売・賃貸時の遵守事項
医療機器を販売・賃貸する際、分類によって順守すべき下記の項目があります。
・営業所の管理記録を作成、保存すること
・働く人の訓練
・報告(不具合など)
4、景品表示法(医療業界自主規制)
「医療機器業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約及び施行規則」が医療業界自主規制として存在します。
不当な顧客の誘引防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保することを目的として定められています。
景品限度額を超えて提供を行った場合、消費者庁長官は、景品提供の制限もしくは景品の提供を禁止することが可能です。
5、個人による輸入
個人が下記のものを輸入する場合は、輸入許可は不要です。
ただし、転売や譲渡は禁止されているので注意を要します。
・体温計などの家庭用器具:1組
・使い捨てコンタクトレンズ:2か月分
医療器具の中でも、健康被害が生じる恐れのあるものは個人輸入することはできません。
6、保険の加入
医療機器の輸入は、製品によっては温度管理が難しく振動や衝撃に弱いものもあるため、万が一に備えて保険に加入しておくことがおすすめです。
輸送
医療機器の輸送に関して、医薬品の品質や安全性保持のため、厚生労働省では「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」が制定されています。
医薬製品によって適温は異なるので、医療機器の輸送・保管を行う際には、ガイドラインを順守して温度管理などを行うことが重要です。
医療機器の輸入に関して、製品によって取り扱いが変わってきます。
疑問点があれば物流会社など専門家の判断を仰いでください。
<まとめ>
医療機器輸入には、さまざまな規制事項や取り扱いに注意が必要です。
こちらを読んで、事前準備を行い、円滑に輸入を行ってください。