日本は世界的にみても、とても港の多い国です。
漁港なども含めると、3000以上の港があるといわれています。
貿易港も大きな港から小さな港まで、多くの数が存在します。
その貿易港を大まかに分けるとすると、主要港と地方港に分類することができるでしょう。
この記事では主要港と地方港は何が違うのか、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説しています。
国際輸送において主要港・地方港をどのように使い分ければよいのか、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
目次
主要港とは
実は主要港という言葉に、厳密な定義はありません。
主要港と呼ばれる港の範囲は、フォワーダー業界や国によって異なるのが現状です。
国が特に重要と位置付ける「国際戦略港湾」は5カ所あります。
- 東京港
- 横浜港
- 大阪港
- 神戸港
上記の国際戦略港湾に加えてフォワーダー業界などでは、主に貨物の取扱量や、貿易額の上位の港を主要港と位置付ける場合が多いです。
- 名古屋港
- 博多港
- 門司港
などが入ります。
また、川崎港は取扱貨物量が上位に入っていないため、主要港からは外されるケースが多いようです。
主要港として扱われる港は、貨物の取扱量の多い大きな港が中心になります。
参考:国土交通省・コンテナ取扱貨物量上位20港ランキング
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001515316.pdf
主要港のメリット
国際輸送で使われる主要港には、メリットがいくつかあります。
- 船の便数が多いので選択肢が多い
- 比較的運賃が安い
ひとつずつ見ていきましょう。
船の便数が多いので選択肢が多い
発着する船の量がとても多い主要港は、さまざまな選択が可能になります。
主要港は「メガキャリア」と呼ばれる、世界的規模で事業展開する運送会社が多数関わっています。
多くの船会社が参加していることから、それぞれを比較・検討することができ、利用者に適したサービスを選ぶことが可能です。
また、急なスケジュールの変更なども、便数の多さから別の便への変更もスムーズに行うことができるでしょう。
多くの船会社が集う主要港は、選択肢の幅が広いことが特徴です。
比較的運賃が安い
主要港には多くの船会社が関わっています。
同業他社が多数いるということは、必然的にさまざまな面での競争につながります。
当然運賃面でも競争することになり、輸送費は比較的安く抑えられます。
利用者にとって主要港の運賃の安さは、大きなメリットとなるでしょう。
主要港のデメリット
多くの船が発着することでメリットがある主要港ですが、当然デメリットも存在します。
主要港ならではのデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
- 書類の手続き・貨物の搬出入が遅い
- 国内の輸送手段が取りづらい
便数が多いからこそのデメリットです。
詳しく見ていきましょう。
書類の手続き・貨物の搬出入が遅い
主要港は多くの業者が関わるため、書類などの手続きに時間がかかります。
取引貨物量の多い主要港は、それだけ税関などがこなす仕事量も多くなりがちです。
その結果、審査スピードが遅くなってしまう傾向があります。
また扱うコンテナ数も膨大なため、物理的に貨物の搬出入にも時間がかかってしまうでしょう。
取引量が多いということは、作業に時間がかかるということにつながります。
国内の輸送手段が取りづらい
取り扱う貨物の量が多いということは、その分だけ国内で移動するための手段が必要になります。
ですが、主要港でドレージを行う業者を確保するのは、難しいのが現状です。
搬入されたコンテナの移動には、通常はドレージ業者を利用することになります。
主要港では搬入コンテナが多いため、ドレージ業者のスケジュールを抑えるのが大変です。
ドレージ業者側も慢性的なドライバー不足などにより、過酷なスケジュールを組むことになり、余裕のない状況が続いています。
主要港を通じての国際輸送を行う際は、国内での輸送方法もしっかりと検討しましょう。
地方港とは
地方港とは、通常主要港以外の港のことを指します。
こちらも厳密な定義はありません。
地方港は全国に多数存在しており、主要港よりも圧倒的に多いです。
国が定めた「国際戦略港湾」「国際拠点港湾」「重要港湾」以外を地方港と呼ぶ場合もあります。
地方港のメリット
基本的には、主要港よりも規模が小さいのが地方港です。
地方港ならではのメリットは、どのようなものがあるのでしょうか?
- 手続きや貨物の搬入が迅速に行われる
- 利用に対して補助金が出る場合がある
- 国内輸送にかかる費用が安くなる場合がある
地方港には、主要港にないメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。
手続きや貨物の搬入が迅速に行われる
地方港では主要港に比べて、書類の手続きや貨物の搬入が手早く行われるケースが多いです。
これは地方港で取り扱う貨物量が、主要港よりも大幅に少ないためです。
税関での手続きや、船からの搬入作業にも時間的な余裕があります。
規模が小さい分、手続きがスムーズに進むのは、地方港の大きなメリットの1つです。
利用に対して補助金が出る場合がある
地方港は自治体が利用を促進するために、補助金を出す場合があります。
地方港の利用の増加は、その自治体の活性化につながります。
補助金を出すことによって、事業者に地方港を利用しやすくしています。
主要港にはない、地方港のメリットです。
国内輸送にかかる費用が安くなる場合がある
ドレージ場所が地方港に近い場所だと、国内輸送にかかる費用が安くなる場合があります。
そのため、主要港を利用するよりも、トータルの費用が安くなる可能性があります。
国内輸送にかかる費用も忘れずに、検討するようにしましょう。
地方港のデメリット
地方港には小規模ならではのメリットがありますが、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
- 便数が少ない
- 運賃が高い
それぞれ見ていきましょう。
便数が少ない
地方港に発着する船は、便数が少ないです。
そのため、目当ての日時に到着しないことが多くなります。
確実に届けたい時などは、注意が必要です。
運賃が高い
地方港に関わる業者は少ないです。
業者が少ないということは、運賃が固定されることが多くなります。
主要港と比べると、運賃が高いことが多いです。
主要港と地方港を選ぶ際の比較ポイント
主要港と地方港にはそれぞれメリット・デメリットがあり、利用の際はしっかりと比較することが重要です。
- 費用面
- 利便性
- 迅速さ
ここでは、比較する上で大事なポイントを見ていきましょう。
費用面
主要港と地方港を比較する上で、費用面はいちばんの比較ポイントになるでしょう。
単純に船の利用料だけではなく、搬入後のドレージの費用も考えることが必要です。
主要港から距離のあるドレージ場所だと、ドレージ料金が高くなります。
ドレージ場所に近い地方港を利用すると、その後のドレージ料金が安くなり、結果的にトータルで費用が安くなることもあります。
船の料金だけではなく、トータルの料金を考えることが大事です。
利便性
とにかく手間暇をかけたくない場合は、やはり便利な港を使うべきでしょう。
あえて遠くの主要港を使わなくても、地方港にもメリットは多くあります。
利便性は港を利用する上で、大切な比較ポイントです。
迅速さ
急ぎの荷物を送る時などは、主要港の方が有利です。
多くの船が発着することから選択肢が豊富なため、希望の便を選ぶことができるでしょう。
近くの地方港を使わずに、あえて遠くの主要港を使う方が早く到着する場合も多いです。
まとめ
日本には大変多くの港が存在します。
主要港・地方港をしっかりと比較して、使い分けられるといいでしょう。