ブログ

輸出におけるリスト規制とは 内容や違いをわかりやすく解説

輸出におけるリスト規制は簡単にいうと、輸出する貨物・技術が海外で兵器の開発などに用いられる恐れがないか事前に政府が審査し輸出管理をすることです。

 

今回は、リスト規制の意味や目的が知りたい、具体的なリスト規制の品目にはどういったものがあるのか?

このような疑問にお応えしていきます。また、リスト規制とセットでよく耳にするキャッチオール規制についても触れていきます。

 

この記事を最後までお読みいただくことで、輸出におけるリスト規制についての基本を理解することができます。

また、リスト規制品を理解しやすいように、代表的なものを一覧表にまとめていますのでぜひご活用ください。

 

輸出におけるリスト規制とは?

 

輸出におけるリスト規制とは、輸出される貨物や技術が大量破壊兵器やその他の通常兵器の開発に用いられる恐れがないか政府が審査を行い輸出管理することを指します。リスト規制はその名の通り、品目がリスト化されており該当する場合は審査を通して経済産業大臣の許可が必要となります。

 

また、リスト規制は、国際的な合意を踏まえた上で平和を乱す可能性のある国へ武力を与えることを防止することが目的とされています。

 

詳しくは後述しますが、リスト規制品目は輸出貿易管理令別表に記載されており、輸出をする場合このリスト規制に該当しているか否かの確認が必要となります。また、リスト規制に該当していない場合であってもキャッチオール規制に該当している場合があるため注意が必要です。

 

ちなみに、リスト規制の最新の法令は経済産業省の安全保障貿易管理ホームページにて確認ができます。リスト規制の法令は毎年改正が行われるため、定期的に確認するようにしましょう。

 

リスト規制品目

 

では、具体的に輸出規制となる品目にはどういったものがあるのでしょうか?

リスト規制の品目は、輸出貿易管理令別表第一の1項〜15項に記載されています。

その中から、リスト規制を理解しやすいように代表的な物を以下のリストにまとめました。

 

■輸出貿易管理令の別表1

 

輸出貿易管理令別表 規制品 代表的な物
1項 武器 鉄砲、鉄砲弾、爆発物、火薬類、軍用燃料、火薬・爆薬の安定剤
2項 原子力 核燃料物質、核原料物、原子炉
3項 化学兵器 経済産業省令で定める、軍用の化学製剤の原料となる物質など
4項 ミサイル ロケット、無人航空機、複合サイクルエンジン、
5項 先端素材 チタン、アルミニウム、ニッケル合金、チタン合金、ニオブ合金、アルミニウム合金、
6項 材料加工 軸受、数値制御を行うことができる工作機械、歯車製造用の工作機械、
7項 エレクトロニクス 集積回路、マイクロ波用機器、音響光学効果を利用する信号処理装置、
8項 電子計算機 電子計算機、
9項 通信 電子式交換装置、伝送通信装置、通信用の光ファイバー、フェーズドアレーアンテナ、
10項 センサー 音波を利用した水中探知装置、光検出器、センサー用の光ファイバー、電子式のカメラ、
11項 航法装置 加速度計、ジャイロスコープ、慣性航法装置、ジャイロ天測航法装置、水中ソナー航法装置、
12項 海洋関連 潜水艇、水中から物体を回収するための装置、水中用の照明装置、水中用のロボット
13項 推進装置 ガスタービンエンジン、人工衛星、ロケット推進装置、無人航空機、
14項 その他 粉末状の金属燃料、火薬又は爆薬の主成分、添加剤又は前駆物質となる物質、
15項 機微品目 無機繊維、電波若しくは赤外線の吸収材又は導電性高分子、核熱源物質
16項 キャッチオール規制 リスト規制品目以外の全品目(食料品・木材等は除く)

 

輸出管理貿易令の別表1に記載の通り、武器・原子力・化学兵器・ミサイルといったように大量破壊兵器の開発に繋がりそうなものは網羅的に規制されています。また、そのもの自体が武器になり得る物だけではなく、武器の開発に繋がりそうなセンサーや推進装置なども規制されていることがリスト規制の特徴です。

 

また、上記表における1項〜15項までがリスト規制であり、16項はリスト規制でカバーしきれない部分を補うキャッチオール規制となります。詳しくは以下のリスト規制とキャッチオール規制の違いにて解説します。

 

リスト規制とキャッチオール規制の違い

 

ここでは、リスト規制、キャッチオール規制の概要とその違いについて解説します。

 

輸出におけるリスト規制とは、前述の通り、輸出される貨物や技術が大量破壊兵器やその他の通常兵器の開発に用いられる恐れがないか政府が審査を行い輸出管理することを指します。リスト規制の品目は、輸出貿易管理令別表第一の1項~15項に記載されています。

 

キャッチオール規制とはリスト規制品目以外で、大量破壊兵器などにはまずなり得ないと思われる製品(食料・木材など)を除外した全ての貨物や技術を対象とした規制です。

 

よって、このようなことからリスト規制とキャッチオール規制の違いは、リスト規制は輸出貿易管理令別表第一の1項~15項の規制品目であるのに対して、キャッチオール規制はリスト規制以外の品目をカバーする規制と言えるでしょう。

リスト規制の対象地域

 

リスト規制は大量破壊兵器や通常兵器開発の防止が目的であることから、全ての国・地域を対象とした規制です。

その中でも輸出貿易管理令別表第4にも記載がある通り、イラン、イラク、北朝鮮は、国際的な懸念がある地域として規制されています。

 

ちなみにキャッチオール規制においては、以下の「輸出貿易管理令別表第3で規定された国」を除いた国・地域が対象となります。

 

■キャッチオール規制対象外の国・地域(輸出貿易管理令別表第3より)

・アルゼンチン

・オーストラリア

・オーストリア

・ベルギー

・ブルガリア

・カナダ

・チェコ

・デンマーク

・フィンランド

・フランス

・ドイツ

・ギリシャ

・ハンガリー

・アイルランド

・イタリア

・大韓民国

・ルクセンブルク

・オランダ

・ニュージーランド

・ノルウェー

・ポーランド

・ポルトガル

・スペイン

・スウェーデン

・スイス

・英国

・アメリカ合衆国

 

このように、リスト規制とキャッチオール規制では対象地域が異なりますので覚えておきましょう。

 

リスト規制の申請先

 

輸出する貨物・技術がリスト規制またはキャッチオール規制に該当する場合は経済産業大臣の許可が必要になりますので、経済産業省へ許可申請を行います。許可申請には個々の契約ごとに申請を行う個別許可申請と、輸出者が輸出管理の体制を整備し、自主管理で審査機能を担える場合に一定の範囲について包括的に許可を受けることができる包括許可制度がありますので事前に確認しておきましょう。

 

■許可申請の流れ

1.許可申請(輸出者)

2.申請受理(経済産業省)

3.審査(経済産業省)

4.許可・条件付許可・不許可(経済産業省)

5.取引開始(輸出者)

 

経済産業省の審査期間は、原則として申請の受理から90日以内となっていて、品目などによって審査期間が変わりますので日程に余裕をもって許可申請するようにしましょう。あくまでも原則であり、審査期間が90日を超える場合は経済産業省から申請者に事前連絡がありますのでこの点も注意しておきましょう。

 

詳しくは、経済産業省の安全保障貿易管理ホームページに安全保障貿易管理ガイダンスがありますのでそちらが参考になります。

参考: 安全保障貿易管理ガイダンス

(https://www.meti.go.jp/policy/anpo/guidance.html)

まとめ

 

今回は輸出におけるリスト規制について解説しました。

リスト規制とは輸出する貨物・技術が海外で兵器の開発に用いられる恐れがないか事前に政府が審査し輸出管理をすることです。

具体的な品目は輸出貿易管理令別表第一の1項~15項に記載されていて、武器、原子力、化学兵器など大量破壊兵器などの開発に繋がりそうなものを網羅的に規制しています。リスト規制で補いきれない部分はキャッチオール規制の方で規制する仕組みとなっています。

 

>>弊社サービスについてのお問合せ・お見積りはこちらから!

PAGE TOP
advanced-floating-content-close-btn無料相談・お見積もり