国際ファクタリングとは、貿易取引における資金繰りや信用リスク回避に有効なサービスです。
ファクタリングと聞くと商品代金を通常より早く受け取れることを想像しがちですが、国際ファクタリングはそれだけではありません。
信用リスクの低減や取引の透明性などのメリットもあります。
この記事では、国際ファクタリングの概要や活用方法についてまとめています。
この記事を最後までお読みいただくことで、貿易取引に効果的な国際ファクタリングについて詳しく知ることができるでしょう。
目次
国際ファクタリングとは
国際ファクタリングとは、貿易取引における資金繰りや信用リスク回避に有効なサービスです。
なぜなら、ファクタリング会社へ手数料を支払うことで以下のようなサービスが受けられるからです。
- 商品代金の早期支払い
- 未払いなどのリスクの引き受け
例えば、貿易取引の場合、国内取引に比べ商品輸送が長期にわたります。
したがって商品を輸出した後に代金が支払われるまでに時間がかかることは珍しくありません。
代金の支払いに時間がかかることで、輸出企業は運転資金が不足してしまう可能性があるでしょう。
通常は代金の支払いを待つほか手はありません。
ですが、国際ファクタリングでは、ファクタリング会社を通じて早期に代金を受け取ることができます。
また、代金未払いなどのリスクもファクタリング会社が受けることになるため、信用リスクの回避にも繋がります。
このように、国際ファクタリングは貿易取引における「資金・信用管理のリスクヘッジ」に有効なサービスです。
補足として、国際ファクタリングの手数料は原則輸出側が負担しますので合わせて覚えておきましょう。
国際ファクタリングはどのような時に利用すべきか
国際ファクタリングは以下のような場合に利用を検討してみましょう。
- 資金繰りが難しい場合
- 信用状（L／C）の発行が難しい場合
- 取引先の信用調査が難しいとき
国際ファクタリングは商品代金を早期に受け取ることができるため、資金繰りが難しい場合に有効です。
また、貿易取引において銀行の審査が厳しく信用状を発行してもらえない場合があります。
そのような場合、国際ファクタリングを検討してみましょう。
国際ファクタリングではファクタリング会社を通じて代金回収が可能になります。
詳しくは以下のページで確認できます。
参考
国際ファクタリングの仕組み：日本 | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ
また、国際ファクタリングでは現地のファクタリング会社が綿密に信用調査を行います。
取引先の信用調査が難しいときにも国際ファクタリングの利用を検討してみましょう。
国際ファクタリングは取引の透明性を高める
国際ファクタリングは貿易取引の透明性を高めることができます。
その理由として、国際ファクタリングでは輸出企業と輸入企業の間にそれぞれファクタリング会社が介入するからです。
例えば、ファクタリング会社は代金未払いのリスクを受けることもあり、取引内容を詳細に管理し、その内容を契約している企業へと報告します。
通常、貿易においては二社間（輸出企業・輸入企業）による取引が一般的ですが、このように第三者が介入し情報共有することで取引の透明性を高められると言えるでしょう。
国際ファクタリングのデメリット
国際ファクタリングのデメリットは以下の通りです。
- 手数料が高い
- 利用できるファクタリング会社が少ない
- 契約内容が複雑
手数料が高い
国際ファクタリングのデメリットの一つとして手数料が高いことです。
なぜなら、貿易取引において一般的な信用状取引と比べると手数料が割高だからです。
※信用状取引は銀行を通して代金の支払いが行われます
例えば、信用状取引の場合の手数料は月換算で０．０４％ほどです。
対して、国際ファクタリングの保証料は月０．７％～２％と言われています。
ファクタリング会社では信用調査、資金提供のサービスを行うことから手数料が高くなる傾向があります。
このように、国際ファクタリングは信用状取引と比べて手数料が高くなると言えるでしょう。
利用できるファクタリング会社が少ない
国際ファクタリングでは「利用できるファクタリング会社が少ない」というデメリットがあります。
なぜなら、国際ファクタリングは専門的なサービスであることから提供できる会社が限られてしまうためです。
例えば、日本国内で国際ファクタリングを提供している会社は数社しかありません。
提供会社が少ないことから、サービス内容の選択肢が限られてしまうことは否めないでしょう。
契約内容が複雑
国際ファクタリングのデメリットとして、契約内容が複雑であることがあります。
なぜなら、国際ファクタリングには多くの条件や規定が存在するからです。
例えば、契約書には信用調査の方法や手数料、支払い条件などさまざまな項目が細かく記載されています。
そのため、内容の理解に専門知識が必要であったり時間がかかってしまったりする場合があるでしょう。
国際ファクタリングに向いている企業
国際ファクタリングは、資金繰りや信用リスク管理に課題を抱える企業にとって有効です。
記事前半で解説したとおり、国際ファクタリングを利用することで企業は以下のようなサービスを受けることができます。
- 商品代金の早期支払い
- 未払いなどのリスクの引き受け
このような国際ファクタリングに向いている企業は以下の通りです。
- 輸出企業
- 中小企業
- 成長企業
- 新興市場に進出する企業
輸出企業は貿易取引の特性から代金回収に時間がかかることが多いため、国際ファクタリングに向いています。
また、資金繰りに課題を抱える中小企業にとっても活用しない手はないでしょう。
成長企業においては、新しい市場に進出するための資金が必要となってきます。
国際ファクタリングで取引の回転率を上げ企業成長の加速が期待できます。
また、新興市場に進出する企業においては、取引先の信用リスク管理が重要視されます。
リスクヘッジとして国際ファクタリングが有効です。
このように、国際ファクタリングは資金繰りや信用リスク管理などの課題を抱える企業にとって有効であると言えるでしょう。
国際ファクタリングを活用する流れ
以下は、国際ファクタリングを活用する流れの一例です。
- 契約を結ぶ
- ファクタリング会社による信用調査
- 信用保証の設定
- 商品の輸出
- ファクタリング会社による代金の回収
- 代金の支払い
国際ファクタリングはまず、輸出企業（売手）とファクタリング会社にて契約を締結するところから開始します。
次に、ファクタリング会社による輸入企業（買手）の信用調査が実施され、信用保証額が決定します。
輸出企業（売手）が商品を輸出すると、輸入企業からファクタリング会社へ代金の支払いが行われ、輸出企業が代金を受け取ることができる仕組みです。
参考URL
国際ファクタリング｜ファクタリングサービス｜三菱ＵＦＪファクター株式会社 (mufg.jp)
まとめ
この記事では、国際ファクタリングについて解説しました。
国際ファクタリングの大きな特徴として、通常の取引と比べて商品代金を早く回収できます。
貿易取引では代金の回収に時間がかかるケースがあるため、資金繰りを円滑にすることができます。
また、国際ファクタリングは取引間（輸出企業・輸入企業）にファクタリング会社が介入することから、
- 信用リスクの低減
- 取引の透明性
と、いったような資金繰りの安定以外にもメリットがあります。
デメリットは、専門的な分野であるため利用できるファクタリング会社が少ない、信用状取引と比べ手数料が高いなどがあります。
貿易取引において資金繰りや信用リスク管理に課題を抱えている場合、国際ファクタリングを検討してみてはいかがでしょうか。
