日々忙しく働いている人を助けてくれる冷凍食品。多種多様なものが売られ、味や便利さが増し、温めたらすぐに食べることができる冷凍食品を活用されている方も少なくないのではないでしょうか。
冷凍技術が発達し、とても身近なものになっている冷凍食品。そんな人々の生活も支えてくれる便利な冷凍食品の輸入の流れについてお話したいと思います。
冷凍貨物はどうやって運ばれるの?
日本に到着したら手続きは?配送先までの手配は?
冷凍食品の取り扱いもあるフォワーダー歴6年の筆者が、輸入される冷凍食品についてまとめました。
目次
輸入前に確認すること
まず、輸入される前に書類で内容を確認します。
なぜなら冷凍食品は様々な原材料、添加物を使用している場合があり、物によっては日本の基準を満たさず、輸入できない場合があるからです。食品の輸入に関して特に日本は厳しく、細かくチェックされます。
製造工程で殺菌に放射線を使用していないか、日本で使用できない添加物が含まれていないか、添加物が基準値を超えていないかなど、まずは書類で確認します。
必要な書類は下記の通りです。
原材料表
何が何%含まれているのか、そして全てを合計すると100%にならなければいけません。
製造工程表
商品が作られる過程を詳しく説明した表。原材料をどのように加工して、何分加熱した、冷凍したなどの詳細が分かるものが必要です。
その他の確認事項としては、「加熱して食べるものか、加熱せずに食べるものか」「商品の凍結直前に加熱されたものか、商品の凍結食前に加熱していないものか」などがあります。
これらの書類を検疫所 食品監視課輸入相談室で確認します。
書類が不十分な場合は、海外メーカーに再度問い合わせる必要があります。
原材料の配分などが企業秘密と言われる場合でも詳細が分からなければ輸入できません。
食品輸入時の注意点
もし事前に相談せず日本に商品が到着し、輸入が出来ないとわかった場合「積戻し(返送)」や「廃棄(滅却)」処分となってしまいます。輸入に関してはすべて輸入者の責任で行われますので、積戻しや廃棄処分となった場合の費用等は全て輸入者の負担になります。
こういったトラブルを避けるために、事前相談は必須です。
冷凍貨物の輸送方法は?
Door to Doorサービス、クーリエ、EMSなど
DHL, FedEX, UPS, EMSなどDoor to Doorでの冷凍輸送サービスは現在、新型コロナウィルス感染拡大のため行われていません。
フォワーダーに依頼
フォワーダーとは、国際利用運送事業者のことで、お客様からの貨物をお預かりし、他の業者の運送手段(船舶・航空・鉄道・トラックなど)を利用し、貨物輸送を行う事業者のことです。ちょっと大きな荷物になってしまった場合で費用も抑えたい時は、国際貨物輸送のプロ(フォワーダー)に尋ねると大きな力になってくれます。航空便と船便、どちらも手配可能なフォワーダーがいいでしょう。
航空輸送
サプライヤーから冷凍で出荷された商品を、航空輸送に最適な梱包に組み直すこともあります。トライウォールにドライアイスを詰めて輸送します。ドライアイスの量は調整することが可能ですが、積み替えなどで気温の高い地域で降ろされる場合は、設定温度を航空会社へ伝えておくことで冷凍庫に保管してもらえます。
海上輸送に比べて日数が掛からない、輸入申告がスピーディーなどのメリットがありますが、輸送費はその分高くなります。
海上輸送(コンテナ)
コンテナに満たない少量貨物LCLは限られた混載業者でしかサービスがありません。
アジア圏ですと長くても1週間~10日で到着しますが、欧州、アメリカ等は温度設定のできるリーファーコンテナで運ぶのが主流です。リーファーコンテナは船社のコンテナヤードから空コンテナを引取る際からの温度設定も可能です。輸送中は常に設定温度を保っているので、船足の長い航路でも温度が上昇する心配がありません。
料金はドライコンテナ(温度設定できないもの)に比べて、運賃、陸地でのハンドリング等は高く設定されています。
冷凍貨物の輸入手続きと配送先までの手配
必要書類
輸入の際に必要な書類は下記の通りです。
- 製造工程表(メーカー作成)
- 原材料表(メーカー作成)
- インボイス・パッキングリスト(輸出者作成)
- AWB(航空輸送の場合。フォワーダーが発行)
- BLまたはSEA WAYBILL(海上輸送の場合。フォワーダーが発行)
- ARRIVAL NOTICE(海上輸送の場合。日本の船会社が発行)
食品等輸入届出
人の口に触れる商品を輸入する場合は厚生労働省に対して「食品等輸入届出」が必要です。インボイス・パッキングリスト・原材料表・製造工程表を基に申請書類を作成し、厚労省食品監視課へ申請します。
食品監視課は規格検査(自主検査)を受けるよう指導をすることがありますので、その場合には規格検査(自主検査)を実施しなければいけません。日本の規格基準を満たしていることの証明をする必要があります。
税関申告
上記の必要書類をもって、税関に申告します。輸入申告書を作成し、厚労省の「済証」を添付して税関へ申請します。
審査が終了し輸入関税・消費税を支払うと輸入許可となり、貨物を引き取ることができます。
この一連の流れを通関業者が代行してくれますが、個人で申告を行うと数日掛かりその間にも冷凍の保管料が加算されていくことになります。
貨物の引取と配送
輸入許可になった貨物は、DO(デリバリーオーダー)を航空会社や船会社に発行してもらい、保管されている倉庫へ引取に行きます。この作業も通関業者またはフォワーダーが手配してくれます。
配送を手配してもらった場合、受け取る側は、貨物を受け取る際に外装に大きな破損が無いか、必ず確認しましょう。確認した上で受け取りのサインを書くことが重要です。確認をせず、うっかりサインしてしまったらクレームは上げられません。
外装に傷があるのを発見した場合は、まず配送業者に伝えること。そして、配送業者と一緒にその箇所を確認し、写真に残します。送り状には必ず「ダメージあり」など、受け取り時にはすでに外装ダメージがあったことを記しておきましょう。その後、クーリエやフォワーダーなど手配を依頼した会社に症状を伝えます。クレームノーティスを発行し、手配した業者に確認してから商品にダメージがないか確認するようにしましょう。
食品はいきなり大きな量から始めてはリスクが大きいので、まずは少量から輸入し、実績を積み上げていくのがおすすめです。
これからもっと色々な種類の冷凍食品が食卓を彩る事でしょう。
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