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内貨と外貨の違いとは貿易初心者が押さえるべきポイントをわかりやすく解説

「内国貨物」と「外国貨物」と聞いて何が違うのか分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
国際取引や貿易実務に関わるなら、「内国貨物」と「外国貨物」の違いは、ただの知識では済まされません。通関手続きの有無、関税の対象、保管・輸送のルールまですべてがこの区別に左右されるのです。

見落とせば、思わぬトラブルやコスト増に直結することもあります。この記事では、実務で迷わないために知っておくべき「内貨と外貨」の基本とその違いを、わかりやすく解説します。

内貨と外貨の基本的な定義と違い

貿易の基本を学ぶ上で、「内国貨物」と「外国貨物」の違いは必ず押さえるべきポイントです。なぜなら、この区別は「輸出入通関の可否」や「関税の課税対象かどうか」など、あらゆる貿易実務に直結するからです。貨物の状態によって扱い方が大きく変わるため、最初の段階でしっかり理解しておくことが大切です。

内国貨物とは、「日本国内で自由に流通できる状態の貨物」を指します。これは、日本国内で生産された製品はもちろんのこと、外国から到着した貨物であっても、輸入通関を済ませ、関税や消費税の支払いが完了したものも内国貨物となります。

また、輸出の手続きを始めていない、いわゆる「輸出許可前の貨物」も同様に内国貨物とみなされます。

一方で、外国貨物とは、「まだ日本に正式に入っていない貨物」、または「輸出許可を受けてすでに日本を出る手続きが済んでいる貨物」のことです。具体的には、海外から日本に到着したばかりで、まだ輸入通関が完了していない貨物が含まれます。

また、輸出の許可を受けて海外へ出荷される直前の貨物も、外国貨物に該当します。これらは多くの場合、保税地域と呼ばれる、関税の支払いを一時的に保留できる専用エリアに保管されています。内国貨物と外国貨物の比較は下記になります。

比較項目 内国貨物 外国貨物
所属先 日本 外国(または未帰属)
使用・販売の自由 あり なし(通関・許可が必要)
税関での扱い 通関済み 通関前または輸出許可後
代表例 国内製造品、通関済み輸入品 到着直後の輸入品、保税倉庫内の貨物



内国貨物は「すでに日本の一部として自由に扱える貨物」、外国貨物は「まだ外国のもの、または一時的に保留されている貨物」と考えるとわかりやすいでしょう。
この違いを正しく理解しておくことで、通関のタイミングや取引の可否、税の有無など、貿易実務での判断がスムーズになります。

なぜ貿易取引で「内貨/外貨」の区別が重要なのか

通貨の種類を明確にしないまま貿易取引を進めると、取引条件の誤認や支払ミス、さらには収益予測の大幅な誤差といった、ビジネス上の重大なトラブルを引き起こす可能性があります。

特に貿易では、「異なる通貨を使う国どうしがやりとりを行う」ことが前提となるため、自国通貨(日本円=JPY)と外国通貨(外貨=USDやEURなど)をきちんと区別することが、すべての取引の出発点になります。

日本の企業がアメリカの企業と輸出入契約を交わす場合、契約金額が「ドル建て(USD)」なのか「円建て(JPY)」なのかで、支払いや収益に大きな影響が出てきます。通貨を明確にしておかないと、為替相場の変動による損失(=為替差損)や、送金時のトラブルを引き起こしかねません。起こりがちなトラブル例は下記の通りです。

  • 為替差損の発生:ドルで請求されていたが、受取時に円高が進み利益が大幅に減った
  • 通貨誤認による送金エラー:ドル建て請求に対し、円で送金してしまい支払いトラブルに
  • 契約時の通貨誤解:契約金額が「円」だと思い込んでいたが実は「ドル」で、金額換算に失敗
  • インボイス記載ミス:書類に通貨単位が記載されておらず、処理時に混乱

通貨トラブルを防ぐためには、基本的なルールの徹底が欠かせません。まず、契約書や合意文書には「円(JPY)建て」か「外貨(USD・EURなど)建て」かを必ず明記し、双方で確認しておくことが大前提です。

また、見積書や請求書、インボイスなどには、金額とあわせて通貨コード(例:JPY、USD)を記載することが重要です。書類上での誤認を防ぎ、社内外の処理をスムーズにします。

すべての金額に「JPY」「USD」などの通貨表記を添えるクセをつけるだけでも、日々の書類業務での混乱を大幅に防げます。
一見地味な作業ですが、こうした基本の徹底が、契約の信頼性、支払いの正確性、そして企業間の信頼関係を守ることにつながるのです。

為替リスクと外貨管理の基礎知識

外貨建て取引では、為替の変動が利益・コストに直接影響します。この「為替リスク」を理解しないまま取引を進めると、想定外の赤字になる可能性があります。
まず代表的なのが、「為替差損益」です。これは、帳簿に売上や費用を計上したときの為替レートと、実際に入金や支払いが行われたときのレートに差があることで生じる損益です。

ドル建てで請求した売上が、円高になったタイミングで入金された場合、受け取る円の金額が減ってしまい、結果として利益が目減りします。
たとえば、1ドル=150円の時に契約した売上100ドルが、受取時には1ドル=140円になっていた場合:

  • 契約時:100ドル × 150円 = 15,000円相当
  • 受取時:100ドル × 140円 = 14,000円相当

つまり1,000円の為替差損が発生するということです。

また、「通貨選定ミス」も重要なリスク要因の一つです。本来は円建てで契約すべきだったのにドル建てを選んでしまった、あるいは逆に外貨建ての方が有利だったのに気づかず円建てにした、というケースでは、為替変動によって本来得られたはずの利益を逃すことになります。

こうしたリスクに備えるためには、いくつかの基本的な管理方法があります。まず有効なのが、「為替予約(Forward Contract)」です。これは、将来の特定時点での為替レートをあらかじめ金融機関と契約しておくことで、為替変動の影響を受けずに取引を行える手段です。特に大型契約や長期プロジェクトにおいては有効です。

次に、「通貨の分散」もリスクを抑える方法です。すべてを一つの通貨に集中させるのではなく、複数の通貨で契約を分けることで、ある通貨が急変動した際の影響を軽減できます。

為替リスクを完全にゼロにすることはできませんが、「通貨の明確化」「ルールの事前設定」「素早い対応」が損失を防ぐポイントです。取引時は常に為替の動きと契約条件をセットで確認しましょう。

支払い・請求書処理時の注意点とは

取引の状況に応じて「内貨(円)」と「外貨」を適切に使い分けることで、トラブルのない柔軟な対応が可能になります。グローバル化が進む中、取引通貨の選定は企業にとって重要な判断材料となっています。特に海外との取引が初めての企業や担当者にとっては、「円で進めるべきか、外貨でやり取りすべきか」で迷う場面も多いでしょう。ここでは、それぞれの通貨を選ぶタイミングとポイントを紹介します。
相手が日本企業、または円での支払いに対応している場合には、内貨での取引がもっとも簡単です。為替リスクを回避でき、会計処理や予算管理もスムーズになるため、特に経理体制が整っていない企業には円建てが安心です。
一方で、海外企業との取引で外貨決済を求められる場合や、契約で「ドル建て」「ユーロ建て」が指定されているケースでは、外貨でのやり取りが必要になります。市場の為替状況によっては、外貨建ての方がコスト面で有利になることもあります。たとえばドル安時には、ドル建て契約が競争力のある価格設定につながります。

為替レートは「契約時」と「支払い時」の2回確認するのが基本です。請求書には通貨名と円換算価格を併記すると、社内処理がスムーズになります。外貨取引に不慣れな場合は、円建てを基本にしながら為替オプションや予約レートを組み合わせた「ハイブリッド型」で始めるのも有効です。

 

初心者でも安心!内貨と外貨の活用方法

取引の内容や相手先に応じて、「内貨(円)」と「外貨」を適切に使い分けることで、安全で柔軟な取引が実現できます。特に国際取引に不慣れな初心者にとっては、状況に応じた通貨選びがトラブル回避のカギとなります。

まず、内貨(円)での取引が適しているのは、取引相手が日本企業であったり、円での支払いに対応している場合です。また、為替変動による損益リスクを避けたいときや、会計処理・社内管理をシンプルに保ちたい場合にも、円建ての取引が有効です。

一方で、外貨での取引が効果的なのは、相手から外貨での支払いを求められている場合や、契約書上で「ドル建て」や「ユーロ建て」など特定の通貨が指定されているケースです。為替状況によっては外貨建ての方が価格競争力を高められることもあります。

初心者が押さえておくべきポイントとしては、まず為替レートは「契約時」と「支払い時」の2回確認することが基本です。また、請求書には通貨名とともに円換算価格を併記しておくと、社内での処理が格段に楽になります。外貨取引に不安がある場合は、初めは円建てを基本に、為替オプションなどを活用した「ハイブリッド型」で段階的に対応していくのも有効な方法です。

まとめ

貿易では、「内国貨物」と「外国貨物」の違いを理解することが基本です。通関や関税の可否に関わるため、貨物の状態に応じた対応が求められます。

また、「円建て(内貨)」と「外貨建て」の使い分けも取引の成否に直結します。通貨を明確にしないと、為替差損や送金ミスなどのトラブルが発生しやすくなります。契約書や請求書には通貨コードを必ず明記しましょう。

外貨取引では、為替変動によるリスクも考慮が必要です。為替予約や通貨分散などで損失を抑える対策を取りましょう。初心者は、円建てを基本に為替オプションを活用する方法から始めるのが安心です。

通貨・貨物・為替の基本を押さえることで、貿易のミスや混乱を防ぎ、安定した取引が可能になります。

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