家具やインテリア業界に携わる方々にとって、海外展示会は新たなトレンドや技術に出会える貴重な機会です。
世界の市場では、日本とは異なるニーズやデザインが求められており、それらを直に見ることで、自社商品の開発や販路拡大のヒントが得られます。
また、出展することでブランドの認知度を高め、バイヤーや業界関係者とのネットワーク構築も可能です。
本記事では、家具・インテリア業界に携わる企業・個人に向けて、欧州・アジア・北米を中心としたおすすめの海外展示会を紹介します。
目次
海外展示会に参加するメリットとは?
家具・インテリア業界において、海外展示会への参加は単なるイベントではなく、ビジネス成長の大きなチャンスです。
ここでは、その主なメリットを3つに分けてご紹介します。
最新トレンドの把握
海外の展示会では、欧州やアジア、北米を中心に、その年のトレンドとなる素材、カラー、機能が多数発表されます。
例えばミラノサローネでは、サステナブル素材を使った家具や、スマートホームと連動するインテリア製品が年々増加しており、今後の市場の方向性を示しています。
このような潮流を現地で直接見て体感することができれば、国内市場ではまだ取り入れられていない斬新なアイデアを自社商品に活かすこともできるでしょう。
世界のバイヤーと直接つながるチャンス
展示会は単なるショーケースにとどまらず、バイヤーやデザイナー、OEM先との貴重な商談の場でもあります。
特に出展者として参加する場合、製品への関心を持った業者とその場で名刺交換ができたり、具体的な価格交渉に進むことも可能です。
自社ブランドの認知拡大
国内では知名度のあるブランドも、海外ではゼロからのスタートです。
しかし、現地の展示会に継続的に出展することで、「このブランドは品質が良い」「ユニークなデザイン」といった印象を根付かせることができます。
特に、デザイン性を重視するヨーロッパ市場では、製品のストーリー性やクラフトマンシップに注目が集まる傾向があり、日本製家具の魅力が高く評価されやすいのです。
家具・インテリア業界で注目の海外展示会【欧州編】
ヨーロッパは、世界の家具・インテリア業界を牽引するトレンド発信地として知られています。
洗練されたデザイン、美しい素材使い、そして文化的背景を反映した製品が世界中から集まる欧州展示会は、特に注目すべきイベントです。
ミラノサローネ(イタリア・ミラノ)
ミラノサローネは、世界最大級の家具見本市であり、インテリアデザインに関わる全ての人にとって聖地とも言える存在です。
毎年4月にミラノで開催され、数十万人規模の来場者が世界各国から集まります。
特徴的なのは、単なる製品展示にとどまらず、街全体がデザインイベントと化す点です。
会場内の展示はもちろん、ミラノ市内の至るところでブランドごとのショールームイベントやポップアップ展示が開催される「フォーリサローネ」は、特に人気があります。
環境配慮型素材の活用や、デジタルと家具の融合といった最先端テーマも豊富に見られ、日本では得難い刺激が得られるでしょう。
メゾン・エ・オブジェ(フランス・パリ)
フランス・パリで年2回開催される「メゾン・エ・オブジェ(Maison & Objet)」は、インテリア雑貨、家具、ライフスタイル製品を網羅した総合展示会で、モダンからクラシック、エスニックまで、ジャンルを問わず多様なデザインが集まります。
また、世界中から集まるバイヤーに向けたプレゼンテーションの場としても活用され、海外進出を狙うブランドにとっては登竜門的存在です。
商品だけでなく、ディスプレイ方法やブースデザインなど売り方のヒントも豊富です。
immケルン(ドイツ・ケルン)
ドイツ・ケルンで開催される「immケルン」は、ヨーロッパで最も歴史ある家具見本市の一つで、毎年1月に開催される業界のスタートを切る展示会として知られています。
immケルンの特徴は「実用性と品質」へのこだわりです。
洗練されたドイツデザインや堅牢な構造、環境への配慮などが評価されており、サステナビリティに関心のある企業にとって重要な学びの場になります。
家具・インテリア業界で注目の海外展示会【アジア編】
アジア地域は近年、急速に家具・インテリア分野で存在感を増していて、製造拠点としての優位性に加え、デザイン力の向上や地域特有の文化的背景を活かした提案力が強みです。
ここでは、日本からもアクセスしやすいアジア圏の注目展示会を紹介します。
CIFF(中国国際家具見本市/広州・上海)
CIFF(China International Furniture Fair)は、中国を代表する家具見本市であり、広州と上海の年2回開催が特徴です。
来場者数は毎回数十万人規模にのぼり、家具、オフィスインテリア、ホームデコ、OEM製品など、幅広いカテゴリが網羅されています。
大手製造業者が多数出展しており、直接交渉を行えるチャンスがあります。
加えて、最新の製造技術や材料を紹介するセクションもあり、ものづくりの最前線を学べる貴重な展示会です。
IFFS(シンガポール国際家具見本市)
IFFS(International Furniture Fair Singapore)は、アジアのハブとしてのシンガポールで開催される国際家具展示会です。
ASEAN諸国からの参加者が多く、特に東南アジア市場への進出を目指す企業にとっては有望な場といえるでしょう。
IFFSでは、木材を使った家具や伝統的な素材を活かしたデザインが多く見られる一方、近年ではミニマルで機能的な都市型インテリアにも注目が集まっています。
欧米や中東のバイヤーも多く訪れるため、多国籍な出会いの場としても価値があります。
家具・インテリア業界で注目の海外展示会【北米・その他】
北米や中東などの地域では、独自の市場特性に合わせた展示会が開催されています。
特にアメリカは巨大な消費市場であり、高級志向が強い中東は富裕層向けビジネスにチャンスがあります。
ここでは、日本ではあまり知られていないものの、参加する価値の高い展示会を紹介します。
High Point Market(アメリカ・ノースカロライナ)
High Point Marketは、アメリカ・ノースカロライナ州で年2回開催される、北米最大級の家具見本市です。
展示会場は町全体に広がり、家具専門店・量販店・デザイナー・インテリアコーディネーターなど、幅広い業界関係者が訪れます。
特徴としては、実用性や機能性を重視した製品が多く、アメリカ市場に適したラインナップを確認するのに適しています。
また、トレンドの把握はもちろん、ディスプレイ手法や販売戦略の面でも学ぶことが多い展示会です。
出展者の多くは大量生産や流通網を意識した商品展開を行っており、量産化・価格帯調整を意識する日本企業には実用的なヒントが豊富です。
INDEX Dubai(UAE)
アラブ首長国連邦(UAE)の首都・アブダビで開催されるINDEX Dubaiは、中東市場向けの高級家具・インテリア製品を中心とした展示会です。
特に、デザイン性・素材の高級感・カスタマイズ可能な製品が評価される傾向にあり、富裕層ビジネスとの相性が良い製品を展開している企業に適しています。
中東市場は欧米と比較して展示会の数こそ少ないものの、1件ごとの成約規模が大きいのが特徴です。
また、アフリカ市場や南アジアとのつながりもあり、販路拡大のハブ拠点としても注目されています。
日本製家具は「品質の高さ」「精密さ」で評価が高く、競合の少ないエリアであるため、参入のチャンスも多く存在します。
展示会参加前に押さえておきたいポイント
海外展示会への参加は多くのチャンスをもたらしますが、事前準備を怠ると費用や時間が無駄になってしまうこともあります。
視察であれ出展であれ、事前に明確な目的と戦略を立てることが成功のカギです。
目的を明確にする(出展 or 視察)
まず大切なのは、自社が「出展する」のか「視察に行く」のかというスタンスをはっきりさせることです。
出展を検討している場合は、どの国・地域に向けたPRが必要か、どのような製品を出すか、展示ブースの設計はどうするかなど、入念な準備が求められます。
一方、視察が目的であれば、関心のあるカテゴリやメーカーの展示スケジュールを事前に調べておき、時間を有効に使えるように動線計画を立てておくのが理想です。
通訳・物流・サンプル準備のチェックリスト
海外展示会では、言語の壁が意外な落とし穴になることがあります。
とくに交渉や商談を目的とする場合、通訳者を帯同するか、英語に堪能なスタッフを同行させることをおすすめします。
また、出展する際には展示用の家具や装飾品、販促資料(カタログ、名刺、サンプルなど)の準備が不可欠です。
現地で入手しにくい工具や部材も含めて、日本からの持ち込みが必要なものはリスト化して抜け漏れのないよう確認しておきましょう。
渡航計画・宿泊先は早めの手配を
人気の高い展示会ほど、開催期間中のホテルや航空券は早々に予約が埋まってしまいます。
直前に手配しようとすると価格が高騰したり、展示会会場から遠く不便な場所しか残っていない場合もあります。
よって、展示会場までのアクセスや交通事情も調べた上で、利便性の高い宿泊先を確保することが、現地での疲労やトラブル回避につながります。
また、渡航に際してはビザの有無やワクチン接種証明など、国ごとの最新情報も確認しておくことも大切です。
海外展示会に出展・視察する際の国際輸送のコツ
展示会で自社製品を海外に持ち込む際には、輸送のトラブルは絶対に避けたいところです。
展示品の破損や遅延は、ブランドイメージに大きく関わるだけでなく、機会損失にも直結します。
この章では、安全・確実に展示品を現地へ届けるための輸送のポイントを解説します。
展示品の輸送には専門業者を
展示会用の貨物輸送は、通常の国際配送とは異なる注意点があります。
特に家具のような大型・重量物の場合、梱包や輸送手段の選定を誤ると、破損や関税トラブルのリスクが高まります。
そこで重要なのが、展示会貨物に精通した国際輸送業者の活用です。
「展示会場への直接搬入」「通関手続き」「返送時の対応」まで一貫してサポートすることができるため、初めての海外展示でも安心して臨めます。
現地での搬入・設営スケジュールに注意
展示品の輸送が完了しても、現地での搬入スケジュールや設営時間の制限に注意が必要です。
特に海外の展示会場では、事前の入場申請や搬入口の使用時間にルールが設けられている場合があるため、入念なチェックが欠かせません。
現地の言語や文化の違いから、日本の感覚で行動するとトラブルにつながることもあるため、輸送業者と密に連絡を取り、スケジュール管理は慎重に行うべきです。
また、ブース装飾品や照明などを別送する場合は、会場内の設営許可や消防法規制なども確認しておくと安心です。
まとめ
家具・インテリア業界において、海外展示会への参加は情報収集や販路拡大、新たなビジネスチャンスを掴むためには有用な手段です。
欧州のデザイン先進国はもちろん、アジアや北米、中東においても個性的で成長性の高い展示会が数多く開催されています。
出展や視察を成功させるには、単に現地を訪れるだけでなく、「目的の明確化」「事前準備」「物流対応」までを含めた総合的な計画が必要です。
特に輸送面は、商品品質や企業イメージに直結するため、信頼できる専門業者と連携することが不可欠でしょう。
国内市場が成熟するなかで世界のトレンドを肌で感じ、グローバル視点で自社の強みを再発見する機会として、海外展示会はますます重要性を増していきます。
本記事をきっかけに、貴社にとって最適な展示会との出会いが生まれ、次の成長につながることができれば幸いです。