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化学製品の輸出入についてポイントや注意点を分かりやすく解説

化学製品の輸出入は「手続きが煩雑で難しそう」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、一般的な製品と比べて法規制や必要な手続きが多く、少しハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、基本的なルールを理解すれば、初心者でも十分に対応可能です。
本記事では、これから化学製品の輸出入にチャレンジしたい方向けに、押さえておくべき基礎知識と具体的な手順をやさしく解説します。スムーズな取引のための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

化学製品って輸出入しても大丈夫?知らないと困る基本ルール

化学製品は、ルールを守れば輸出入できますが、事前確認が必要です。
毒性・爆発性・環境リスクがある製品の場合は、輸出入に特別な許可が求められます。
たとえば、軍事転用の恐れがある物質や有害物質は日本では「外為法」や「化審法」により、経済産業省の許可が必要です。農薬の原料などを許可なく輸出すると、法令違反になり罰則を受ける可能性もあります。
輸入の際も、新しい化学物質であれば事前審査が必要です。また、製品を使用する際には「SDS(安全データシート)」の作成及び提示が義務付けられています。
まずは、自分の取り扱う製品がどんな分類に当てはまるかを確認しましょう。
最初は難しく感じても、流れを理解すれば確実に対応できます。基礎知識をしっかり押さえることが、スムーズな輸出入の第一歩です。

その化学製品、危険物かも?分類とルールをやさしく整理

化学製品を輸出入する際は、その製品が「危険物」に該当するかどうかの確認が重要です。
危険物に分類される製品には、特別な取り扱い・保管・輸送方法が法律で定められています。ルールを守らないと税関で止められたり、法律違反で罰則を受けたりするリスクがあります。
たとえば、引火しやすい「アセトン」や、有毒ガスである「塩素」などは、いずれも危険物です。輸出入する際は、専用の容器に入れたり、注意表示をしたラベルを貼ったりするなどの対策が必須です。
また、国際的な基準である「GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)」では、「毒性」「爆発性」「発がん性」などのリスクごとに分類されています。安全データをまとめた「SDS(安全データシート)」の作成及び添付をしましょう。

危険品の分類規則

「UN番号(国連番号)」という4桁のコードによって、危険物は輸送中にも識別されます。海上輸送では「IMDGコード」、航空では「IATA規則」によって、梱包や積載方法が細かく決められています。
初心者の方は、まず製品のSDSを確認し、「GHS分類」や「法規制情報」に目を通しましょう。
もし内容が難しく感じる場合は、通関業者や専門コンサルタントに相談するのもおすすめです。正しく分類とルールを理解すれば、安全でスムーズな輸出入の第一歩を踏み出せます。

参考:危険物国際輸送における留意点(JETRO)

SDSってなに?よく聞く書類の意味と作り方

化学製品を扱うなら、「SDS(安全データシート)」の理解が欠かせません。
SDSは製品の危険性や安全な使い方をまとめた重要な書類であり、輸出入や職場での使用時に法律で作成・提供が義務づけられているからです。
記載内容も国際規格や国内規格により標準化されており、適切に作成することが求められます。

たとえば、揮発性の高い有機溶剤には「吸入で健康被害の恐れ」「火気厳禁」などの情報が記載され、SDSを見れば適切な保護具や作業環境の整備が可能になります。
SDSは製品の製造者または輸入者が作成する責任があり、以下のような手順で進めます。

  1. 成分と性質の確認
  2. GHS分類(毒性・引火性など)の判定
  3. 絵表示・注意文の選定
  4. 関連法令に対応した内容の記載と定期更新

まずは、自社で取り扱う製品にSDSがあるかを確認し、その内容を理解することから始めましょう。
多言語での提供が求められる場合は、専門業者のサポートも検討すると安心です。SDSは、安全な輸出入の土台となる「最初の一歩」です。

参考:職場の安全サイト(厚生労働省)

輸出入で必要な手続きは?初心者でもわかるステップガイド

化学製品の輸出入には、事前に知っておくべき大切なステップがあります。化学品は毒性や危険性を持つものが多く、通常の商品よりも厳しい法律や規制があるためです。ですが、流れを理解すれば初心者でも確実に対応できます。

危険品の輸出入のステップ

化学品を輸入したい場合、下記のステップで確認を進めます。

  1. 日本に輸入する場合は、まず製品の情報(成分やSDS)を確認し、化審法や毒劇法などの規制に該当するかをチェックします。
  2. 必要書類をそろえて、必要な検疫を受け、税関に輸入申告を行い、関税・消費税を支払って製品を引き取りましょう。
  3. 場合によっては厚労省などの検査が必要になることもあるため、時間に余裕をもった対応が大切です。

一方、輸出する場合は、輸入国での規制の確認が必要です。

  1. 輸出先の法規制(EUならREACH、米国ならTSCAなど)に製品が適合しているかを確認します。
  2. 日本国内の規制の確認
    日本の外為法に基づき、リスト規制対象品であれば経産省の許可が必要です。
  3. 必要書類を揃えて、輸出申告の手配
    SDSやインボイスなどの書類を整えたうえで税関に輸出申告を行い、許可が下りれば出荷が可能になります。

化学製品の輸出入は手続きが多く、初めての方には難しく感じるかもしれません。しかし、必要な情報と書類をきちんと整えれば、スムーズに対応できます。常に最新の規制情報をチェックし、通関業者や行政のサポートも上手に活用することが成功のカギです。

輸送中の事故を防ぐには?安全な梱包とラベルの基本

化学製品の輸送時には、適切な梱包と正確なラベル表示を行うことで、事故のリスクを大幅に低減できます。どんなに危険性の高い製品でも、適切な方法で梱包・表示すれば、安全に国内外へ輸送が可能です。

梱包の注意点

化学製品は、可燃性・腐食性・毒性など、物理的・化学的なリスクを伴うものが多いため、輸送中の衝撃や温度変化によって漏洩・爆発・反応などの事故が起こる可能性があります。
また、誤った製品の取り扱いや、内容物を正しく理解していない作業者によるミスも事故の原因となります。
そのため、化学製品を安全に輸送するには、内容物の特性に合った容器や外装を使用すると同時に、内容物の危険性を明確に伝えるラベル表示が必要です。
これらは各国で法的に義務付けられており、違反すると通関が止まるだけでなく、罰則の対象となることもあります。
また、化学製品を安全に輸送するには、内容物の特性に合った容器や外装を使用すると同時に、内容物の危険性を明確に伝えるラベル表示が必要です。

危険品ラベルの国際ルール

国際的なルールとしては以下の規則が代表的です。

  • IMDGコード(国際海上危険物規則)
  • IATA危険物規則
  • GHSラベル表示

日本国内においても、消防法や労働安全衛生法により、危険物や有害物質の運搬には専用のラベル表示や容器仕様が義務づけられています。これらの法律では、運搬業者や荷受人が一目で内容物の性質を理解し、適切に対応できるよう配慮されています。
特に初心者の方は、輸送業者や梱包資材メーカー、ラベル印刷会社と連携を取りながら、法令に準拠した安全な出荷体制を整えるのがおすすめです。正しい梱包と表示は、製品の信頼性だけでなく、企業の安全意識を示す重要な証明でもあります。

どこの役所に相談すればいい?輸出入の頼れる相談先まとめ

化学製品の輸出入に関して不明点がある場合、適切な行政機関に相談することで、スムーズかつ正確な対応が可能になります。分からないまま進めるのではなく、専門窓口を活用することが成功の鍵です。

化学製品は、製品の種類によって関係する法律・規制が異なり、それに伴って対応すべき行政機関も変わります。
「輸出だけ」「輸入だけ」といった区別だけではなく、製品が毒物・劇物か、危険物か、環境への影響があるかといった分類も関係してくるため、自分のケースに最も合った相談先を選ぶことが重要です。
また、正しい手続きを怠った場合、製品の通関が止まる、罰則を受ける、輸出入自体が禁止されるなど、事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
したがって、専門機関に早めに相談し、正確な情報を得ておくことがリスク回避につながります。

輸出入の頼れる相談先

化学品の輸出入でよく使われる相談窓口は下記になります。

  • 経済産業省(METI)
  • 厚生労働省
  • 環境省
  • 税関(財務省)
  • 商工会議所・JETRO(日本貿易振興機構)
  • 通関士

まとめ

初心者の方は、目的に最も近い相談機関に連絡してみることをおすすめします。電話やメールだけでなく、最近ではオンライン相談にも対応している窓口など手軽にアクセスできるようになっています。
不安なまま進めるより、プロの力を借りながら正確な知識と手続きを積み上げていくことが、安心で安全な輸出入ビジネスの第一歩です。

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